西安市でまたも信じられない銀行トラブルが発覚した。
70代の夫婦が12万元(約240万円)を定期預金にしたつもりが、実際は翌年以降も毎年12万元を支払わされる保険契約にされていたのだ。紙の契約書もなく、本人が異変に気づいたのは数週間後。まさに預金が保険にすり替わっていたという事例は、今や定番ネタのような「銀行あるある」である。
銀行側は「録音も署名もあり、20日の猶予期間もあった」と正当性を主張するが、当事者は「預金の確認だと思って『同意』と答えただけ」と反論。スマホ契約や電子署名に不慣れな高齢者を狙い撃ちにする、あまりに露骨な仕組みが浮き彫りになった。
こうした事例は決して珍しくない。本紙はこれまでに、中国工商銀行や中信銀行、郵政銀行などで同様のケースを報じてきた。利息の高い定期預金として勧誘し、実態は解約困難な保険商品だったというパターンだ。20万元(約400万円)の預金が保険に化け、解約しようとした際には「おまけ」でもらった品を1千元以上(約2万円)で買い取らされるという不条理な例もある。
また別の利用者は、昼寝中にかかってきた銀行の電話に「はい」と答えただけで保険契約が成立し、解約後には「金融ブラックリスト」に載せられ数年間不利益を被ったと訴えた。
預金がいつの間にか保険に化けるという事例は、もはや一部行員の不祥事ではなく、中国全土で繰り返される「あるある」現象となっている。
販売ノルマに追われた銀行員が庶民の老後資金や生活資金をリスク商品へとすり替え、抗議があれば、担当者の勝手な行為と切り捨てる。日本では「銀行に預ける=安心」という常識があるが、中国では「銀行に預ける=何に化けるかわからない」が現実の笑えないジョークになっている。


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