石破茂首相の後継を決める自民党総裁選が22日に告示され、小林鷹之元経済安全保障相(50)、茂木敏充前幹事長(69)、林芳正官房長官(64)、高市早苗前経済安保相(64)、小泉進次郎農相(44)の5人が立候補した。
総裁選は、9月22日午前10時に告示、10月4日に投開票となる。国会議員票295票と全国の党員票295票、合わせて590票で争う。「石破票」がどの候補に流れるかが勝敗のカギとみられる。
22日に自民党本部で行われた所見発表演説会では、5人の候補者が自身の政策や思いなどを発表。よく取り上げられたテーマは、自民党の現状や改革、外国人問題、賃上げ・物価高対策などだった。抽選結果による届け出順で見ていく。

自民党本部で行われた所見発表演説会で、小林氏は、「閣僚経験が少ないとのご指摘もいただく。確かに少ない。でも、経験したポストの数だけで国を力強く牽引できるかといえば、そうじゃない。大事なことはぶれないこと、そして構想する力、事を成し遂げる強い意志」と述べた。
「全国各地を回る中で肌で感じたことは、賃上げ! 賃上げ! 政府与党が声高に叫んでも実感が届いてない現実。そして、何よりも次の時代を担う若者たちが不安や諦めを抱いているという現実だ」と現状を憂えた。
自身の強みとして「0から1を作り出すこと」と述べ、「誰も(経済安全保障に)関心がないときに、自ら取り組んで、わが国の中心政策と取り組んでいる」と実績をアピールした。
「所得税改革で高所得者の方に一定の負担を頂きつつ、中間層や現役世代をしっかりと後押ししていく」と語った。

茂木氏は冒頭、「(党は)最大の危機にある。その責任の一端は昨年の秋まで党執行部として党の中枢を担ってきた自分にもある」と語った。
外国人による土地取得についても言及し、「大きな不安」と話し、「土地の買収や所得についてしっかりと一元的に管理し、透明性を高め、不当な問題については厳しく対処する」と強調した。
「目指すのは政権の安定だ」との見方を示し、「基本政策、外交、安全保障、エネルギー、そして憲法といった政策が一致する政党と連立の枠組みを広げ政権基盤を固めていきたい」と連立拡大に前向きな姿勢を示した。
人事について、自民党の強みは「人材力」とし、「若手や女性を思い切って登用する。閣僚の平均年齢は10歳若返らせる。3割は女性を登用する」と明言し述べた。

林氏は、「わが党、わが国を取り巻く状況は明るいものではない。厳しい状況しか伝わってこない」と現状認識を語り、「しかし、これだけの人材・蓄積がある。ほかの国から訪れた人はみんな治安が良くて、優しくて素晴らしい国だと言う」「うまく政策をつなぎあわせて運営すればまだまだやれる」と語った。
「岸田、石破政権と2年にわたり官房長官を務めた。(岸田政権や石破政権の)継承の中に変化・革新を求める。こうした気持ちで政策を進めていく」と意気込みを語った。
20年以上前から取り組んできたというコンテンツ産業の外貨獲得を挙げ、また「実質賃金を1%ずつ上昇させていく、これを定着させる」と賃上げの必要性も訴えた。

高市氏は冒頭、「高市早苗、奈良の女です。大和の国で育った」と述べ、「奈良の女としては、奈良公園に1460頭以上住んでいる鹿のことを気にかけずにはいられない」と訴えた。
「奈良の鹿を足で蹴り上げるとんでもない人がいる」「神社の鳥居を鉄棒かなにかのように見立ててぶら下がって、そして遊ぶ観光客がいるとか。神社をなんと思っているのか? 」
「日本をかけがえのない国にしてきたこの古来の伝統を守るために体を張る」と意気込みを語った。
また、外国人政策として「外国人と穏やかに、お互いに思いやりを持って生きられる付き合い方はどうすればできるか、いっぺんゼロベースで考えるつもり」と表明した。
最後に「日本をもう一度、高い位置へと押し上げる。強い経済、強い国土、安全な社会を次世代に送ると決意している」と締めくくった。

小泉氏は、「少数与党として厳しい政治環境の中であっても丁寧な国会運営と野党との対話を通じて政治を前に進めてこられた石破総理に心からの敬意を表したい」と述べ、石破氏をねぎらった。
自民党が解党的出直しを要するまでになった理由について「国民の声を聞く力、国民の思いを感じ取る力が足りなかった」と反省した。
外国人問題については、「一部の地域では外国人の不法就労や地域住民との軋轢、治安の悪化などにより地域住民の不安に繋がっている」と述べ、「外国人問題に関する司令塔機能を強化し総合的な対策を進める」と語った。
野党との連携については、「政策や理念の一致を慎重に見極めながら政権の枠組みのあり方についても議論を深めていく」と述べ、連立拡大に含みをもたせた。
「誰が総裁になっても、総裁選が終われば、みんなが国民のために汗をかく。谷垣禎一総裁のように一つになれるよう全身全霊を尽くす」と訴えた。

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