上海・北京の空港免税店 経営権相次ぎ交代 「江沢民系資本の時代の終焉」との見方も

2025/12/26
更新: 2025/12/26

上海と北京の二大空港で免税店の経営権が一斉に交代した。単なる事業者の入れ替えにとどまらず、長年にわたり空港免税という国家管理の参入ゲートを掌握してきた江沢民系資本が完全に市場から退場したとの見方が広がり、中国の経済権力構造における一つの時代の終焉を告げる出来事として注目を集めている。

中国本土の資本業界関係者によると、上海浦東、虹橋空港と北京首都国際空港免税店の元主要経営者である日上免税行(上海)有限公司は、新たな免税経営権の名簿に名を連ねていない。公開入札の結果、上海空港の三つの入札区分は中国免税品集団とデュフリー(Dufry)が落札した。北京市商務当局と中国免税品集団の公表情報によれば、中国免税品集団と王府井集団が免税経営を引き継ぐ。澎湃新聞は、これにより日上上海が「上海空港免税事業に別れを告げた」と報じた。

中国の政商関係を研究する姚氏は、免税経営権は長年にわたり世論の中で「旧時代資本の象徴」として語られてきたと指摘する。そのため、経営権の交代は容易に「一つの時代の終わり」と解釈されやすいという。

同氏は、この種の判断は公式文書に基づく事実ではなく、あくまで政治構造に関する推論だと強調する。

「権力の交代が最終的に資本の交代をもたらし、多くの人は江沢民系資本が市場から退場していくと見ている」

免税経営権が政治的意味を帯びる理由

日上免税行は、中国系アメリカ人の江世乾が1999年に創業し、当時としては異例となる浦東空港の免税経営権を獲得。その後、虹橋空港や北京空港へと事業を拡大した。

2011年には、江沢民の孫である江志成が関与して設立された博裕資本が日上免税行の約40%の株式を取得。これにより、空港免税という「参入ゲート型の権益」が、資本市場で初めて江家と直接結び付けて認識されるようになった。規制当局の文書には家族関係は明記されていないが、ロイター通信が取引経路を報じ、中国の免税流通チャネルは長期にわたり江沢民系資本の重要な窓口と見なされてきた。

20年以上続いた江沢民系資本の免税支配

2018年以降、中国免税品集団は約15億500万元で日上上海の51%を取得し、免税経営の主導権は徐々に国有企業へと移行した。今回の上海免税店の再入札は、この流れの最終局面とされる。

姚氏は「江沢民の死去により、その家族の政治的影響力は権力中枢から退き、もはや当局が『配慮する』『避ける』必要のある存在ではなくなった。輸入型資源が維持される構造も消えた」と語った。

2025年12月17日に上海国際空港股份有限公司が発表した公告によると、中国免税品集団とフランスのデュフリー商業有限公司が浦東空港、虹橋空港の免税経営権を獲得し、日上免税行が26年間維持してきた体制は幕を閉じた。

経営方式も、従来の固定賃料制から「固定賃料+売上歩合」方式へと改められ、空港の収益が免税販売と連動する仕組みとなった。

さらに新契約では、スマホ、小型ドローン、健康食品、母子用品、ペットフード、一般用医薬品などが免税品目に追加され、経営面積も浦東で1181平方メートル、虹橋で383平方メートル拡張すると報じられている。

業界関係者「自発的な撤退ではない」

入札過程に詳しい関係者によれば、日上免税行は自ら撤退したのではなく、中国免税品集団から必要な承認を得られず、入札書類を提出できなかったという。これは単なる商業競争の結果ではなく、中央政府の経済統治方針の下で進められた免税制度に関わる権益の再配分だと受け止められている。

上海財経大学の研究員は「ここ数年、土地、出版・文化、医療などの分野で国有主導への回帰が進んでいる。財政圧力と経済減速の中で、中央は高いキャッシュフローを生み、輸入属性を持つ資産を優先的に回収している。免税店はその一つの節点にすぎず、より重要な観察点は北京にある」と指摘した。

現時点で、当局は免税経営権の変更について、政策的な意味づけを示す説明をまだ行っていない。

欣玲