四川省成都市の学校前で白い乗用車が人々に向かって突っ込み、次々とはねる事件が起きた。当局は少なくとも5人が負傷したと発表しているが、本紙の取材結果とは食い違いがあり、死者が出ている可能性も含め、正確な死傷者数は不明である。
事件は4月20日午後6時26分ごろ、温江区の学校前の道路で発生した。地元警察は「交通事故」と発表し、少なくとも5人がけがをしたとしている。運転していた38歳の男はその場で拘束され、飲酒や薬物の影響は確認されなかった。
しかし、本紙の取材に応じた目撃者の証言は、より深刻な状況を示している。
現場で車にはねられ負傷した李さんは本紙に対し、「車は学校の門の前からそのまま走り抜け、人を次々とはねていった。自分も子供と一緒に電動バイクごと倒され、腕を骨折した。(公式発表の)5人負傷というのはおそらく重傷者で、実際にはねられたのは5人どころではなく、10人以上いた。あれは社会への報復と聞いている」と語った。
別の地元住民も、「男は金銭トラブルで追い詰められ、それで社会への報復に及んだ」との話が現地で広がっていると明かしているが、当局は動機について説明していない。
現場周辺には複数の学校があり、事件当時はちょうど放課後の時間帯だった。ネット上に出回った画像では、白い車が道路脇に突っ込み、倒れた自転車や散乱した持ち物が周囲に広がり、複数の救急車が集まるなど、現場が騒然となっていた様子が確認できる。
事件後、当局は情報統制に乗り出した模様。事件関連動画を投稿したユーザーのもとには警告と削除要請が相次ぎ、「詳しいことは書けない」「話すとトラブルになる」といった、発言すれば当局に目をつけられるのではないかという強い警戒感がネット上に広がっている。実際、SNS上の関連動画や投稿は次々と削除されている。
中国では近年、生活困窮や借金、家庭不和などを背景に、個人の怒りが社会に向けられる「社会報復」事件が相次いでいる。そのため、こうした暴走が起きると、市民がまず「また社会報復か」と疑うのは、今や当たり前の反応になっている。
一方で、類似事件が発生するたび、当局は「精神的問題」や「突発的な事故」といった説明で処理してきた。過去にも同様の事例が繰り返しあり、状況が十分に明らかにされないまま終わることは珍しくなかった。その積み重ねが、市民の不信をいっそう強めている。
「政府が白と言ったら黒だ」「官製メディアの句読点すら信用できない」。こうした皮肉が社会の常用句になっている事実そのものが、当局の公表する情報への信頼が地に落ちている現実を物語っている。
そのため、こうした事件が起こるたびに「また社会報復ではないか」との見方が広がり、噂だけが独り歩きする。もちろん、個人的な恨みによる犯行や単なる事故の可能性も否定はできない。だが、信じられる情報がないからこそ、人々は「最もありそうな絶望」を信じてしまうようだ。
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