日本とアフリカが共に成長する未来へ 茂木外相が語る新外交戦略

2026/05/05
更新: 2026/05/05

2026年5月3日、ケニアを訪問中の茂木敏充外務大臣は、「『自由で開かれたインド太平洋』と、日アフリカ関係の未来を拓く」と題した対アフリカ外交政策のスピーチを行った。本スピーチでは、誕生から10年を迎えた「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の進化と、日本のアフリカ外交の基軸となる3つの柱が提示された。

2026年5月3日、ケニアでスピーチする茂木敏充外相(出典:外務省)

進化した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」

FOIPは、2016年にケニアで開催されたTICAD6において、故・安倍晋三総理によって提唱されたビジョンである。茂木大臣は、高市総理がベトナムで表明したFOIPの「進化」に触れ、国際情勢が厳しさを増す中で各国の「自律性」と「強靱性」を強化していく重要性を強調した。進化したFOIPは、「自由」や「法の支配」といった中核的理念を維持しつつ、サプライチェーンやデータセンターなどAI・データ時代の新たな経済基盤の強靱化、官民一体での社会課題解決、そして安全保障分野での連携強化に重点が置かれている。

日本のアフリカ外交における三本柱

茂木大臣は、進化したFOIPの下で展開する日本のアフリカ外交の三本柱を明らかにした。

第一の柱は、「平和大陸アフリカの実現」である。これまでアフリカ14か国のPKO訓練センターへの支援や教官派遣を行ってきたほか、ソマリアや南スーダンの平和維持ミッションへの貢献を継続している。また、政府安全保障能力強化支援(OSA、Official Security Assistance)をジブチに実施し、今後ケニアにも拡大する調整を進めているほか、新たに「国際和平調停ユニット」を設置して世界の平和と安定により機動的に関与する姿勢を示した。

第二の柱は、「アフリカと日本の成長の好循環」である。日本企業の進出を通じた現地雇用創出や、「日本アフリカ産業共創イニシアティブ」によるスタートアップ支援・AI人材育成を推進する。加えて、昨年のTICAD9で発表した「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」に基づき、アフリカ各地の回廊整備による連結性向上を図る。さらに、レアアースや銅といった重要鉱物のサプライチェーン強靭化に向けた協力を深め、アフリカの成長が日本への投資を生み、それが再びアフリカを押し上げるという好循環の創出を目指すとしている。

第三の柱は、「次世代の共創による誰もが豊かさを実感できる社会の実現」である。医療研究や高等教育の向上支援に加え、世界トップとなる累計1万6千人超の日本の海外協力隊員の派遣を通じ、日アフリカの若い世代が共に未来を創り上げることができる環境の構築を目指している。

TICAD(アフリカ開発会議)の進化 

1993年に始まったTICADは、日本のアフリカ外交の中核として「平和と安定」「経済」「社会」を議論の柱に機能してきた。昨年8月に横浜で開催されたTICAD9では、アフリカ49か国が参加し、300件を超えるビジネス関連の協力文書に署名した。茂木大臣は、2年後にアフリカで開催されるTICAD10に向けて、急速に変化する国際社会の情勢を踏まえ、アフリカとの「共創」の精神の下でTICAD自身を進化させていくとの考えを示した。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。