米 防衛関連企業の中国調達を制限 重要鉱物の例外措置を厳格化

2026/07/21
更新: 2026/07/21

7月20日、トランプ大統領は、防衛関連企業が例外措置を受けるための条件を厳しくする行政命令に署名した。これにより、防衛関連企業は中国など、調達を禁止している外国の供給業者から重要鉱物やその他の材料を調達することは、これまでより難しくなる。武器生産における中国共産党(中共)政権など敵対国へのサプライチェーン依存を減らすため、トランプ政権が打ち出した最新の措置である。

この命令は国防総省に対し、国防関連サプライチェーンの管理を強化し、鉱物、磁石、化学品、鍛造品に至るまで、各種部品や材料について、サプライチェーンの各階層にある供給業者の実態を把握するよう求めている。目的は、中国、北朝鮮、ロシア、イランなどの外国供給業者に由来する製品を特定することにある。

また命令は、「信頼できない外国」の供給業者から重要鉱物を調達する場合の例外措置を制限し、アメリカ国内の防衛関連企業に対して、国内または同盟国から物資を調達するよう促している。

新規則の下では、防衛関連企業は「中国の供給業者が最も調達しやすい、または最も安価である」という理由だけで、例外措置を申請することはできない。例外措置を求める企業は、代替先を探したことを証明し、材料の調達元を開示したうえで、禁止対象の供給業者への依存を減らす計画を示さなければならない。

ホワイトハウスで貿易・製造業を担当するピーター・ナヴァロ上級顧問は、この行政命令の発表前に行われた説明会で、命令は「例外措置の乱用に歯止めをかけるものだ」と述べた。これまで、連邦政府の防衛関連企業や下請け企業は、例外措置を利用し、中国、ロシア、イラン、北朝鮮から特定材料を調達することを禁じた現行法を回避してきたという。

この命令は2027年1月1日に発効する。新たな要件を満たせない企業は、調達面で不利益を受け、契約獲得の機会を失うこともあり得る。

重要サプライチェーンの再構築

今回の行政命令は、アメリカ政府が国防産業や自動車産業に必要なレアアースの採掘・加工分野で、中国の支配的地位を崩そうと取り組みを強める中で出された。中共はこれまで、この優位性を米中貿易交渉や日本との対立における交渉材料として利用してきた。

ナヴァロ氏は「『何も試していないのに、ほかに選択肢がない』という言い訳は、もはや通用しない」と述べた。

またナヴァロ氏は、中国は、「一気に締め上げるのではなく、じわじわと供給を絞る戦略を取っている」と指摘した。 その狙いは、「手続きを遅らせ、その責任を官僚主義に押し付けることで、世界が中共に屈しなければ悪い結果を招くというメッセージを発しようとする点にある」

「しかし重要鉱物の問題については、われわれは極めて速いペースで行動しており、『中国にそのメッセージを発せさせないことこそが目的だ』」 と述べた。

ナヴァロ氏は、新技術に加え、Vulcan ElementsとReElement Technologiesの提携にも言及した。これは、アメリカ国内にレアアース磁石のサプライチェーンを構築することを目的とした取り組みであり、国防、航空宇宙、AIインフラ分野における中国からの供給依存を減らす狙いがある。

説明会で政府高官が明らかにしたところによると、現政権はこれまでに約150件の合意を成立させ、数百億ドルを投じたほか、民間部門から400人の交渉・案件形成の専門人材を採用し、鉱物やその他の重要サプライチェーンの強化を加速している。

国防産業基盤の可視化

国防総省はこれまで、ロッキード・マーティンやボーイングなどの防衛関連企業に対し、武器生産を迅速に拡大するよう求める一方で、軍事サプライチェーンの奥深くに潜む脆弱性の特定と解消にも取り組んできた。

政府高官は記者に、「国防総省が重要材料、部品、ソフトウエアの調達元を把握していなければ、アメリカは現代の戦場で優位に立つことはできない」と説明した。

ナヴァロ氏は「戦闘機、ミサイルシステム、海軍艦艇、レーダーシステム、ドローン、装甲車などの製造は、主契約企業の工場から始まるわけではない。鉱物、金属、磁石、半導体、化学品、ソフトウエア、鋳造品、鍛造品、つまり世界のサプライチェーンで流通する数千種類の部品から始まる」と述べた。

さらに、「大規模な国防プロジェクトでは、こうしたサプライチェーンが5〜6層にも及ぶことがある。しかし、政府の監督が届く範囲は、多くの場合、第1層か第2層にとどまっている」と説明した。

同氏はまた、「本当のリスクはサプライチェーンの下流層に埋もれている。特殊金属、電子製品、化学品、ソフトウエア、原材料を供給する下請け企業や供給業者は、しばしばアメリカ政府の監督が届かない領域にある」と指摘した。

トランプ氏が20日に署名した行政命令は、国防総省に対し、産業基盤の中流・下流部分を可視化するよう指示している。これにより、政府当局者は重要鉱物、部品、その他の材料の調達元をより明確に把握し、外国勢力の影響下にある供給業者が、有事に武器生産を脅かす可能性があるかどうかを評価できるようになる。

ナヴァロ氏は「これは単なる事務作業ではない。戦争への備えだ」と述べた。

同氏は、国防総省が紛争発生前に、ミサイルシステムやその他の軍事プラットフォームが外国勢力の影響下にある供給業者に依存しているかどうかを把握しておく必要があると強調した。

さらに、この行政命令は防衛関連企業に対し、供給業者の外資持ち株比率、財務上の脆弱性、製造上のリスクを評価し、信頼できないと判断した供給業者を入れ替えることも求めている。

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