中国 「まるで今の中国」共感広がる

「跪(ひざまず)くな」 1800年前の反乱劇が中国で1000万再生

2026/08/28
更新: 2026/08/28

「あなたたちは、跪(ひざまず)くために生まれてきたんじゃない」

約1800年前の中国を舞台にしたこのセリフが、いま中国のネットで大きな共感を呼んでいる。

AIで制作された約26分の短編ドラマ『問蒼生』は、8月17日に中国の動画サイト「bilibili(ビリビリ)」で公開され、わずか5日で1000万再生を突破。26日までに1528万回を超えた。

舞台は、政治の腐敗や重い税に苦しむ人々が反乱を起こした後漢末期。

主人公の役人が各地で起きる不可解な事件を調べると、その背後にいたのは「妖怪」ではなく、厳しい政治に追い詰められた普通の人々だった。

真実を書けば、彼らは反逆者として処罰される。そこで主人公は、人々を守るため、あえて「妖怪の仕業」と記録していく。

物語はやがて、184年に始まった大規模な農民反乱「黄巾の乱」へとつながる。

反乱を率いる張角は、民衆にこう訴える。「あなたたちは、跪(ひざまず)くために生まれてきたんじゃない」

やがて反乱は鎮圧され、張角は「妖術を使った反逆者」として扱われる。

しかし劇中では、彼の最大の「妖術」をこう表現する。「運命を受け入れていた人々を、受け入れなくさせたこと」

中国のネットには「人を妖怪にしたのは世の中だ」「今の社会を言っているようだ」「テレビドラマでは描けないものをAIが作った」といった反応が相次いだ。

作品は黄巾の乱を下敷きにしたフィクションで、作者も実際の歴史を再現したものではないと説明している。

それでも、多くの視聴者が心を動かされたのは、歴史そのものではなく、物語に込められた言葉だった。

「あなたたちは、生まれながらに跪(ひざまず)くためにいるのではない」

そして、張角の最大の「妖術」は、奇跡を起こすことではなく、「運命だから仕方がない」と諦めていた人々を、もう諦めない人間に変えたことだった。

こうした描写は多くの視聴者の共感を呼び、ネットには「人を妖怪にしたのは世の中だ」「こんな世の中だから、人は妖怪にならざるを得なかった」といったコメントが相次いだ。

理不尽に耐え、「仕方がない」と諦めていた人々が、最後には「もう跪かない」と立ち上がる。1800年前を描いたその物語が、今の中国で1000万回以上再生され、多くの共感を集めている。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!