カナダ 中国系団体創設者を国外退去へ 解放軍時代の戦争犯罪疑惑と虚偽申告

2026/10/14
更新: 2026/10/14

カナダ国境サービス庁(CBSA)は、中国系団体「カナダ・中国友好関係促進協会」の創設者、容翔遠(63)に対する国外退去手続きを開始した。中国で軍隊在籍中に「人道に対する罪」に関与した疑いがあるとしている。CBSAは、容翔遠がカナダの永住権を申請した際、軍歴を虚偽申告したと主張している。容翔遠がカナダ政界と幅広く交流し、自由党への献金歴がある点も注目を集めている。

Global Newsによると、容翔遠はカナダ移住後、約20年にわたりカナダと中国の関係強化を掲げて活動してきた。

容翔遠はカナダ・中国友好関係促進協会を設立し、トルドー前首相とも面会していた。

カナダの移民当局は現在、容翔遠が戦争犯罪への関与や永住権申請時の虚偽申告を疑っている。

中国生まれの容翔遠はカナダ国籍を取得しておらず、戦争犯罪への関与などを否定している。

永住権申請で軍歴を虚偽申告した疑い

CBSAは、容翔遠が1980年代に中共軍に所属していた際、人道に対する罪に関与した疑いがあるとしている。さらに、2008年にカナダの永住権を取得した際、移民当局に軍歴を虚偽申告したと主張している。

カナダ移民・難民委員会(IRB)の報道担当者はGlobal Newsへの声明で、CBSAから容翔遠の案件を受理し、入国・滞在資格に関する審理を行う予定だと明らかにした。

IRBは「容翔遠に関するCBSAからの付託を受理したことを確認できる。「移民・難民保護法」第35条1項aおよび第40条1項aに基づき、入国資格審理を行う。審理の日程はまだ決まっていない」としている。

第35条1項aは、カナダ国外で戦争犯罪や人道に対する罪に当たる行為を行った人物について、カナダへの入国・滞在を認めない根拠となる規定である。

第40条1項aは、重要な事実について虚偽の説明をしたり、事実を隠したりした結果、移民資格に関する判断に誤りを生じさせた場合に適用する。

中国共産党(中共)軍に所属 中越国境紛争に参加

中共官製メディアの報道やSNSへの投稿によると、容翔遠は1979年から1991年まで中共軍に所属していた。

弁護士はGlobal Newsへの書簡で、容翔遠が中越国境での戦闘で負傷し、その後表彰されたことは認めた一方、戦争犯罪への関与は否定した。

弁護士のダニエル・リード氏は「容翔遠はいかなる戦争犯罪にも関与していないと強く否定している」と述べた。

1979年2月17日、中共軍は雲南省と広西チワン族自治区からベトナム北部への攻撃を開始した。その後、軍は国境を越え、ベトナム側の複数の国境都市を占領した。

中共は同年3月7日に撤退を発表し、16日までに部隊を中国へ戻した。中国とベトナムの双方が勝利を主張したが、いずれも多数の死傷者を出した。

その後も中越国境では約10年間にわたり衝突が続いた。

1987年、当時20代だった容翔遠はベトナム国境地域に派遣された。

中共機関紙の人民日報は1988年3月23日付の記事で、容翔遠を小隊長と紹介し、ベトナム軍との戦闘作戦に参加したと報じている。

ネット上に残る関連資料によると、容翔遠は人軍第13偵察小隊を率い、雲南省の前線で作戦に従事し、ベトナム兵を捕虜にしたとの記述もある。

容翔遠は1991年に軍を退役した。

弁護士によると、その後、中国本土や香港で事業を展開し、「中国情勢への不安」を理由に2008年にカナダへ移住したという。

430万カナダドルの豪邸 高額賭博で資金源に疑い

裁判所や企業登記の記録によると、容翔遠はカナダ移住後、約430万カナダドルの住宅に住んでいた。

住宅は約1万平方フィート(約930平方メートル)の広さで、寝室7室、浴室9室を備える。ブリティッシュコロンビア州チリワックで「最も高価な住宅」としてメディアに取り上げられた。

現地記者は、この住宅に32台の監視カメラを設置していたと報じた。隣接地には約4エーカーの結婚式場があり、住宅には複数のクラシックカーも保管していたという。

政府資料によると、容翔遠はポートコキットラムの銃器販売会社「Tiger Arms Ltd.」の取締役を務めたほか、「不動産会社経営者」「高リスクギャンブラー」にも分類されていた。

2015年には、ブリティッシュコロンビア州リッチモンドのリバー・ロック・カジノで、現金400万カナダドル以上を使ってチップを購入していた。

この高額な賭博は、州のマネーロンダリング対策当局の注目を集めた。容翔遠は、現金の出所を証明できない限り、カジノで賭博を行わないよう通知を受けた。

ブリティッシュコロンビア州のゲーミング政策・執行部門の記録には、その理由について、カジノに持ち込まれた現金の形態などから「認可された金融機関を通じた資金ではなく、資金源に疑いがある」と記している。ただし、容翔遠がマネーロンダリング罪で起訴されたことはない。弁護士も、容翔遠はマネーロンダリングへの関与を否定していると説明した。

容翔遠はかつて、賭博によって1千万ドルを失ったと述べていた。

ある裁判所の決定文には、「容翔遠は、ジウシャオ・ワンという人物から多額の現金を借り、リバー・ロック・カジノで賭博に使ったと述べた」との記載がある。「容翔遠は中国でワンへの借金を返済したと説明した」としている。

弁護士によると、カジノやゲーミング当局、捜査機関が、この賭博について容翔遠に面談を求めたことはない。

中国系団体を設立 カナダ政界と幅広く交流

容翔遠が頻繁にカジノを利用していた時期に、カナダ・中国友好関係促進協会が設立された。

企業登記によると、容翔遠は同団体の創設理事の1人だった。

規約には、団体の目的を「カナダと中国の友好関係を促進すること」と記している。容翔遠は同団体を代表して中国系コミュニティーの行事に参加し、連邦、州、地方自治体の政治家や中共領事館関係者が出席する場で演説していた。

容翔遠の弁護士は2020年、Global Newsに対し、「タイガー・ロンは成功した実業家であり、長年にわたりカナダの中国系コミュニティーで積極的に活動してきた」と説明している。

報道によると、トルドー氏の首相就任後の第1期に、リッチモンドのホテルで容翔遠と面会した。2016年に開催された自由党のイベントの写真には、容翔遠がトルドー氏の隣に座る姿も写っている。

その後、容翔遠はトルドー氏のモントリオールの選挙区協会に1500カナダドルを献金した。

Tiger Armsの取締役3人も、それぞれ1500カナダドルを献金していた。4人はいずれもブリティッシュコロンビア州在住だった。

カナダ選挙管理当局の記録によると、容翔遠は2016年に自由党へ別途2800カナダドルを寄付した。

同年、Tiger Armsの取締役3人とカナダ・中国友好関係促進協会の理事1人も、合わせて1万1500カナダドルを献金していた。

ブリティッシュコロンビア州選挙管理当局の記録では、同協会も2017年、州自由党に1050カナダドルを寄付している。

報道やSNSへの投稿によると、容翔遠は2018年、同協会が主催したカナダ・中国ボクシングイベントに、当時自由党所属の連邦議員だったジョー・ペシソリド氏とともに出席した。

2018年のイベントで、中国籍の容翔遠(通称「タイガー」、中)と、当時自由党所属の連邦議員だったジョー・ペシソリド氏(右から2人目)(Xより)

2人は高級プライベートクラブの開業イベントにも出席した。当時の報道は、この施設を「中国系富裕層向けの高級プライベートクラブ」と紹介し、「各界の著名人」を招いたとしている。

弁護士のリード氏は、容翔遠が長年カナダ社会や中国系コミュニティーに貢献してきたと主張し、2016年には山火事の被害を受けたアルバータ州の地域社会のために3万カナダドルの寄付を集めたと説明した。

「容翔遠は、市、州、連邦レベルの政治家が参加するさまざまな公開行事や地域活動にも出席してきた」としている。

2019年、ブリティッシュコロンビア州政府は、必要書類が提出されなかったため、カナダ・中国友好関係促進協会の法人登録を抹消した。その後も容翔遠は地域行事で演説を続けた。

2023年には、カナダのコミュニティー団体が開いた晩餐会で登壇した。トルドー氏はこの非営利団体に送った書簡で、「わが国に大きく貢献している」と評価していた。

主催者によると、この日の行事には自由党の連邦議員2人、ブリティッシュコロンビア州の閣僚1人、州議会議員2人、地元市長らも出席していた。

専門家「政治家との幅広い接触に懸念」

マウント・ロイヤル大学の犯罪学教授、ケリー・サンドバーグ氏は、「カナダに居住する外国籍の人物に戦争犯罪への関与疑惑があることは、極めて重大な問題だ」と述べた。

サンドバーグ氏は元CBSA職員で、国境警備を専門としている。

今回のような案件は、厳格な移民審査と移民制度の重要性を示していると指摘した。

さらに、「これほど重大な疑いをかけられている外国籍の人物が、政界の有力者や政治ネットワークに接触できていたことも懸念される」と述べた。

別件で2つの刑事罪に問われる

ブリティッシュコロンビア州の裁判記録によると、容翔遠は別の刑事事件にも直面している。

アボッツフォード警察は今年7月、容翔遠を2つの刑事罪で起訴した。

容翔遠は9月14日に州裁判所へ出廷し、危険運転と、警察による適法な路上での要求に従わなかった罪に問われた。今週、再び出廷する予定だという。

アボッツフォード警察はGlobal Newsに、「容翔遠は2026年7月19日深夜近く、ハイウェー1号線上で逮捕されたことが確認できる。適法な路上での要求に従わなかったため逮捕」と説明した。逮捕時にはピックアップトラックを運転していた。

裁判記録によると、容翔遠は5年前にも、運転禁止期間中に車を運転したとしてブリティッシュコロンビア州メープルリッジで起訴され、罰金と3か月間の運転禁止処分を受けている。

また今年7月、ブリティッシュコロンビア州政府は、容翔遠の住所として登録のフレーザーバレーの不動産に対し、50万7千カナダドルの州税滞納を理由に担保権を設定した。

王蘭