「原点回帰」ブランシュ米司法長官 司法省の最優先課題を概説

2026/10/15
更新: 2026/10/15

「悪人を刑務所へ送る本来の姿に戻る」とブランシュ氏、大紀元(エポックタイムズ)の単独インタビューで語る。

選挙の公正性、出産ツーリズム、そして国境を越えた弾圧や「政府の武器化」への対処が司法省(DOJ)の優先課題の一部であると、トッド・ブランシュ司法長官は大紀元の単独インタビューで明かした。

ブランシュ氏は「アメリカン・ソート・リーダーズ」の司会者ヤン・エキレック氏に対し、前政権下で武器化されたと同氏が指摘する司法省の再編を進めるにあたり、その重点課題、直面する難局、そして成果について語った。

極めて重要な中間選挙が数週間後に迫る中、司法長官は現時点で最大の脆弱性は何かと尋ねられた。

「それは明らかだと思う。投票資格を持つ人物のみが確実に投票し、それが遵守されていると確信を持てるようにすることだ」「それが我々の最大の目的である」とブランシュ氏は述べた。

司法長官はまた、アメリカが直面している国境の内外からの脅威に対し、司法省が講じている最新の措置についても共有した。

 

選挙の公正性

トランプ大統領の政権は、非市民による不法投票への対策を強化してきた。

「これは特定の州に限られた孤立した問題ではない。残念ながら多くの州で起きている事態だと考えている」とブランシュ氏は語った。

10月5日、司法省は連邦選挙での外国人による投票、有権者登録や投票を目的とした虚偽の米国籍主張、市民権申請書類への虚偽記載などの容疑で16人を訴追したと発表した。

また司法省が9月30日に発表したところによると、ミネソタ州において2022年、2024年、2026年の各選挙で不法に有権者登録し投票した疑いで、大陪審が10人の外国人を起訴した。

2026年4月21日、バージニア州アレクサンドリアの投票所で、選挙区再編に関する住民投票の際に有権者の受付が行われている様子(Madalina Kilroy/The Epoch Times)

ブランシュ氏によると、これまでに司法省が不法投票で訴追した外国人は100人近くにのぼる。

「批判的な人々が何と言っているか。『それほど多くないではないか。起訴したのはたった96人だ』と。それが何だと言うのか」とブランシュ氏は述べた。「何ヶ月もの間、『不法投票している者がいるという証拠などない』と言われ、次には『まあいい、わずかな証拠はある』となり、そして今や我々が次々と具体例を明るみに出し続けているのだ」

司法省は現在「数百件以上」の進行中の事案を抱えていると司法長官は述べた。

連邦検察当局は最近、ある裁判で痛手を受けた。フロリダ州南部地区連邦地裁のデイビッド・レイボウィッツ判事が、米国の連邦選挙で投票したジャマイカ人女性に対する起訴(訴追)を棄却したためだ。同判事は、司法省が適用した「非市民による連邦選挙への投票禁止規定」は違憲であるとの判断を下した。

ニュージャージー州では、ミキー・シェリル知事が2023年6月から2024年6月の間に約6600人の非市民が有権者登録されていたと発表した。実際に投票したのは400人未満であった。

「司法長官として私にできる唯一のことは、捜査を継続し、(不法投票が)起きている事例を暴き、白日の下に晒し続けることだと考えている」とブランシュ氏は語った。

同氏は、不法投票事件の捜査と起訴は極めて困難であるとしつつも、問題の解決策は全国的な「有権者ID(身元証明書)の提示義務化」という単純なものであると指摘した。

「これは極めて党派的な問題となってしまっているが、本来そうあるべきではない。なぜ共和党だけが『1人1票』を気にかけるのか理解できない。民主党も同様に重視すべきだ」と語った。「今後数ヶ月のうちに、双方が歩み寄り、投票に関する基本的な慣行のいくつかを見直す必要があると認識することを願っている」

2026年6月16日、ワシントンD.C.で市長選挙の投票が行われている(Madalina Kilroy/The Epoch Times)

 

同氏は、連邦選挙での投票前に米国籍の証明を義務付ける「SAVEアメリカ法案」を可決させていない議会に対して苛立ちを表明した。

同法案は今年初めに下院を通過したが、上院で停滞している。

1960年代以降のすべての選挙と同様に、司法省は2026年の中間選挙を監視すると司法長官は述べた。

ハルミート・ディロン司法次官補は先月、11月の一般選挙に向けて全国に1千人の連邦選挙監視員を派遣する計画を発表し、これを「(司法省)史上最大の監視活動」と称した。

リック・スコット上院議員(フロリダ州選出、共和党)、ジェームズ・ランクフォード上院議員(オクラホマ州選出、共和党)、ジョン・ハステッド上院議員(オハイオ州選出、共和党)、マイク・リー上院議員(ユタ州選出、共和党)、ケイティ・ブリット上院議員(アラバマ州選出、共和党)は、2026年3月19日、米国議会議事堂でSAVEアメリカ法案に関する記者会見を開いた。この法案は、連邦選挙での投票に市民権の証明を義務付けるものである(Chip Somodevilla/Getty Images)

 

政府の武器化

原点への回帰――これこそが、パム・ボンディ前司法長官、カシュ・パテルFBI長官、ブランシュ氏自身、そして他の司法省高官たちが省内の職員に徹底させてきたメッセージである。

「街から薬物を排除し、カルテルを追い詰め、詐欺を阻止し、不法移民を阻止し、凶悪犯罪を抑止することだ」「検察官や捜査官がそうした犯罪の対処に専念していれば、関与すべきでない事柄に首を突っ込む時間などない」とブランシュ氏は語った。

ブランシュ氏は、「原点回帰」を果たすためには、自身が「武器化」と表現する過去の行為を認識し、それに対処しなければならないと述べた。

司法省は10月5日に報告書を公表し、学校理事会(教育委員会)の会合で抗議した保護者を「国内テロリスト」とラベル付けし、連邦法の下で訴追しようとしたバイデン政権時代の計画を明らかにした。

その調査結果は、複数の連邦機関の当局者から強い反発があったことも詳述している。当局者らは、この計画がおそらく連邦の管轄権を超えており、言論の自由を保障する憲法修正第1条に違反し、政治的動機に基づいていると見なされる恐れがあると警告していた。

「保護者たちは、学校や自分の子どもたちに起きていることについて発言したり声を上げたりすることを、物理的あるいは言葉で阻止され、時には立ち上がって発言しただけで逮捕され起訴されることさえあった」とブランシュ氏は語った。

2021年7月27日、フロリダ州タンパの教育委員会会議に先立ち、マスク着用義務化の可能性に抗議する家族たち(Octavio Jones/Getty Images)
2021年10月12日、バージニア州アッシュバーンのラウドン郡公立学校教育委員会会議の開会式で国歌が演奏される中、抗議者たちは直立不動の姿勢をとっている。司法省は10月5日、教育委員会会議で抗議活動を行った親たちを「国内テロリスト」とレッテルを貼り、連邦法に基づいて訴追するというバイデン政権時代の計画を明らかにする報告書を発表した(Andrew Caballero-Reynolds/AFP via Getty Images)

メリット・ガーランド前司法長官下の司法省および全米学校理事会協会は、COVID-19関連の義務付け、批判的人種理論(CRT)の教育、学校におけるトランスジェンダー方針などの重要課題に反対する保護者を捜査するためのタスクフォースを立ち上げるよう、FBIや他の連邦機関に求めていた。

司法省によると、25人がタスクフォースの捜査対象としてフラグを立てられた。起訴された者はいなかった。

「活動家組織がFBIや司法省に出向き、子どものために声を上げている保護者を実際に逮捕し捜査するよう促すなどということが、どうしてあり得るだろうか」とブランシュ氏は述べた。

この司法省報告書は、こうした事態がいかにして起きたのか、そして今後二度と繰り返さないためにどうすべきかをアメリカ国民に示すためのものであると、司法長官は語った。

同氏は、政治的信条を理由に報復を行ったり個人を起訴したりするという考え方を否定した。

「『バイデンがやったのだから、あなたもやるべきだ』と言う人もいる」とブランシュ氏は語った。「それはトランプ大統領が私に言ったことではなく、アメリカ国民に語ったことでもない。大統領は、正しいことを行い、その使命を遂行する司法省を望んでいると述べている」

民主党側は、連邦大陪審が銀行詐欺および虚偽答弁の罪でニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官を、また虚偽答弁および刑事事件の妨害の罪でジェームズ・コミー元FBI長官を起訴したことを受け、トランプ政権の司法省が政敵を標的にしていると非難した。

両件とも棄却されたが、司法省は連邦控訴裁判所に審理の再開を求めている。コミー氏は4月、トランプ氏に対する危害や殺害の脅迫容疑で別の連邦大陪審から起訴された。同氏はこれを報復的訴追であると主張し、裁判官に事件の棄却を求めている。

2026年3月11日、ワシントンの司法省(
Madalina Kilroy/The Epoch Times)

司法省における反武器化の取り組みは、2020年大統領選挙での敗北後にトランプ氏やその家族、その他の関係者に起きた出来事に大きく影響されているとブランシュ氏は語った。

当時トランプ氏の近辺にいた人物は誰もが、「前政権によって生活をめちゃくちゃにされた」という。

「我々は悪人を刑務所へ送り込み、地域社会を安全にするという本来の姿に戻る」とブランシュ氏は語った。

同氏はまた、司法省が自己検証を行うとも述べた。

トランプ氏の復権以降、全米の凶悪犯罪率は低下している。トランプ氏は米国の殺人発生率が過去125年間で最低となったことを強調している。

(左から)米国連邦検事ジャニーン・ピロ、当時の司法長官代行トッド・ブランシュ、FBI長官カッシュ・パテル、FBIワシントン支局担当副局長ダレン・コックスが、2026年4月27日、ワシントンの司法省で行われたホワイトハウス記者会見での銃撃事件に関する記者会見で発言した(
Madalina Kilroy/The Epoch Times)

 

出産ツーリズム

最高裁判所が6月30日、不法移民や合法的な一時滞在者の子どもが出生時に米国市民権を取得することを阻止するトランプ氏の大統領令を退けたことを受け、司法省は8月に出産ツーリズム防止タスクフォースを立ち上げた。

「(最高裁判所は)あの裁判で我々が望んでいた判断を下さなかった」とブランシュ氏は述べた。

しかし判事らは、子どもを産むためだけに米国へ入国することを防ぐための「一定のセーフガードを(司法省が)設けることができる旨を明確にした」と語った。

トランプ氏は8月6日、出生地主義による市民権取得の制限を狙い、適用対象を絞った大統領令に署名したものの、連邦裁判所から執行差し止めを命じられた。

最高裁によってトランプ氏の最初の大統領令が退けられたことで、敵対国の国民がこの法的な抜け穴を悪用するのではないかという懸念が高まった。

出産ツーリズムの広告は中国人を標的としており、ヒューストンのある施設は中国人向けに1千件以上の出産を手配した後に閉鎖された。

「ビザの取得手続きや申請手続きの中で、旅行会社を経営する人物であれ、渡航する妊婦であれ、その過程で問われる質問に不誠実な回答がなされている」とブランシュ氏は述べた。

2024年3月13日、テキサス州エルパソで、ベネズエラ出身の妊婦が他の不法移民たちと共にリオグランデ川の岸辺を歩いている。彼女はメキシコとの国境を越えた後、リオグランデ川の岸辺を歩いている。司法省は8月、最高裁判所が6月30日にドナルド・トランプ大統領の出生地主義による市民権付与に関する大統領令を却下したことを受け、出生地主義による米国市民権付与を阻止するための「出産ツーリズム防止対策本部」を発足させた。この大統領令は、不法移民や合法的な一時滞在者の子供が米国市民権をすぐに取得することを阻止するものだった(John Moore/Getty Images)

立証は困難であると司法長官は語るが、司法省は国土安全保障省や税関・国境警備局と連携してビザ審査体制の強化に取り組んでいる。

国務省は、出産ツーリズムに関与したとされる外国人から数百件のビザを取り消した。

パテルFBI長官は9月15日の議会証言で、この手口を減らすための法案策定に向けて議会と連携していると議員らに伝えた。

 

国境を越えた弾圧

ブランシュ氏は、中国共産党(中共)によるスパイ活動および国境を越えた弾圧事案を、司法省における「極めて大きな優先事項」と位置づけた。

過去1年間で、同省は中国共産党の反体制派を沈黙させようとした複数の人物を起訴しており、中には物理的暴力を伴う事例もあったと述べた。

多くの事案が進行中であり、そうした行為が続く限り逮捕を継続するとブランシュ氏は語った。

ニューヨークでは、中国の秘密警察署を運営していたとして男性が告発された。同被告は5月、中国の対外工作員(外国の代理人)であるとして有罪評決を受けた。

2026年5月13日、弁護士のスーザン・カーマン氏(左)とジョン・カーマン氏(右)が、依頼人の盧建旺とともに、ブルックリンにあるニューヨーク東部地区連邦裁判所の外で記者団に語った。盧氏は中国政府の未登録代理人として活動した罪で有罪判決を受けた。検察側は、盧がマンハッタンのチャイナタウン地区で北京のために秘密警察署を運営していたと主張した(Nicholas Zifcak/ The Epoch Times)

すべての事案がこれほど明確というわけではない。

ブランシュ氏は「こうした事件の刑事訴追は容易ではない。当人の行為が、アメリカが重んじる自由や権利の行使なのか、明白な法律違反なのかを見極めにくいからだ」と語った。

カリフォルニア州の元市長アイリーン・ワンは5月29日、中国の代理人として活動した1件の罪状について有罪を認めた。

米国の地方都市における最高権力層の一角に彼女が浸透していたことは、米国における中国の影響力の大きさに疑問を投げかけた――この脅威は一層深刻化すると専門家らは警告している。

こうした複雑な事案に対応できる法的手続きや法制度が整っているのかという質問に対し、ブランシュ長官は、現行の国内法や、スパイ活動・弾圧を支援する機関に対する財務省・商務省の経済制裁を合わせれば「法的な武器としては十二分だ」と断言した。

その上で、「問題は捜査の難しさにある。犯行の意図や動機の特定が難しいだけでなく、1人を摘発したところで次々と別の人物が現れるため、実態の把握と摘発が非常に困難だからだ」と実情を語った。

 

トランプ氏との歩み

トランプ政権下で司法長官に承認される前、ブランシュ氏は解任される前の前任者ボンディ氏のもとでナンバー2を務めていた。また、2024年の大統領選挙でトランプ氏が勝利する以前は、同氏の個人弁護人を務めていた。

「彼ほど多くの弁護士を必要とした元大統領はいない」とブランシュ氏は語った。

同氏は、アトランタ、ニューヨーク、フロリダ、ワシントンD.C.での訴訟においてトランプ氏を弁護した約10人の主要弁護団の一員であった。

ブランシュ氏は、両者のこれまでの関係が司法長官としての職務にある程度の影響を与えているとしつつも、過去に同職を務めた人物たち以上のものではないと述べた。

「私は世界中のどの男性よりも彼を尊敬している。彼も私を尊重してくれていると願っているが、彼は私から常に、都合が良いか悪いかにかかわらず率直な答えが得られると分かっている」とブランシュ氏は述べた。

行政機関の長は大統領に責任を負う役職であると規定する合衆国憲法第2条に言及し、ブランシュ氏は、すべての司法長官は最高司令官に対して忠誠義務を負っていると述べた。

憲法第2条には、大統領は「法が忠実に執行されるよう配慮しなければならない」とある。トランプ氏自身がすべての法令を直接執行することはできないが、代行する者たちを指揮する権限を有している。

「私は日々、アメリカ国民のために働いている」「そしてそれは、私の生涯において最大の特権である」とブランシュ氏は語った。

ドナルド・トランプ大統領(中央)は、当時のパム・ボンディ司法長官(右)と当時のトッド・ブランシュ司法副長官(左)とともに、2025年6月27日、ホワイトハウスのジェームズ・S・ブレイディ記者会見室で記者会見を行った(Madalina Kilroy/The Epoch Times)
エポックタイムズのシニアエディター。EPOCH TVの番組「米国思想リーダー」のパーソナリティーを務める。アカデミア、メディア、国際人権活動など幅広いキャリアを持つ。2009年にエポックタイムズに入社してからは、ウェブサイトの編集長をはじめ、さまざまな役職を歴任。ホロコーストサヴァイバーを追ったドキュメンタリー作品『Finding Manny』 では、プロデューサーとしての受賞歴もある。