去年も仮装した人たちが警察に連行された。こんなタブーすれすれの衣装で街を歩けば、今度は自分が捕まるかもしれない。
かつて中国最大規模の街頭仮装イベントとして知られた上海のハロウィーン。取り締まりが年々厳しくなるなか、「今年は例年より静かだった」と話す市民もいる。それでも、上海の一部地域や杭州、合肥、青島などには大勢の若者が集まった。

内モンゴル自治区包頭市では、若者2人がコロナ禍の防護服姿でPCR検査を呼びかけ、当時の厳しい防疫政策を皮肉った。西安でも同様の仮装が登場したが、複数の警察官に囲まれ、防護服を脱ぐよう命じられる様子が撮影された。

ほかにも、場所は不明だが、中国の求人サイト「BOSS直聘(ボスが直接採用)」を「BOSS直騙(ボスが直接だます)」ともじり、求人詐欺を皮肉る仮装も登場した。福州では自由の女神に扮した人物が現れ、多くの市民が足を止めて撮影した。

一方、上海では、仮装した女性2人が警察に連行されそうになると、周囲の若者たちが警察車両を囲み、「放せ! 放せ!」と声を上げて抗議する場面もあった。
杭州ではウルトラマン姿の人が警察に連れて行かれ、天津ではトランプ米大統領に扮した男性が職務質問を受けた。

こうした仮装による社会風刺が大きな注目を集めたのは、ゼロコロナ政策の終了後、初めてのハロウィーンとなった2023年だった。若者たちは白紙や監視カメラ、コロナ検査員、暴落する株価などに扮し、社会への不満をユーモアに変えた。以降、当局は警戒を強め、取り締まりを続けている。
一方、中国本土に比べ、まだ一定の自由が残る香港では、さらに大胆な風刺が見られた。繁華街・蘭桂坊では、ファーウェイ幹部の孟晩舟氏が中国帰国時に着ていた赤いワンピースを再現し、足首に電子足輪まで付けた仮装者が登場。「祖国よ、私は帰ってきた!」と、孟氏が帰国時に発した言葉まで再現した。
同じく香港では、ファーウェイ幹部の余承東氏を模し、魚の頭をかぶって「界」の文字を掲げた人物も登場。事故や安全性への懸念が指摘されている同社系の電気自動車「問界(AITO)」を皮肉った。

海外では、さらに大胆な抗議が繰り広げられた。
米ニューヨークでは、華人らが習近平を模した姿で登場し、習の顔写真を遺影風に加工して貼り付けた棺桶を担いで行進。写真には大きな「×」印が付けられていた。ロサンゼルスでも、中国共産党への抗議を掲げた人々がハロウィーンの行進に参加した。


海外のような大胆な抗議は、中国国内では難しい。それでも若者たちは、逮捕される危険を承知で仮装を続けている。
取り締まりは年々厳しくなり、かつてのにぎわいは失われつつある。それでも、若者たちは街に出る。そんな小さな意地が、今年のハロウィーンにも息づいていた。
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