中国共産党(中共)の軍機関紙が最近、「倹約による軍建設」を集中的に宣伝し、空軍のある部隊では集中訓練で「使い古した書類かばんを支給」した。北京大学などの大学も「節約生活」の徹底を呼びかけ、「節約はスローガンではなく、生き残りの問題だ」としている。
インターネット大手は従業員の福利厚生を削減し、相次いで「ただ日々をやりくりする」時代に入っている。分析では、過当競争と消費の低価格志向が次々と中盤に入り、経済の衰退が続けば、終盤にはさらに大きな社会・経済危機を招く恐れがあると指摘されている。
中共軍、古い書類かばんを回収・再利用
軍事費への投入は、中共が従来、揺るがせにできない分野の一つと位置付けてきた。しかし、「節約生活」の風潮は軍にも広がっている。
中共軍は最近、「倹約による軍建設」を集中的に宣伝している。軍機関紙は10月24日、空軍のある部隊で専門分野の中核要員を対象とした集中訓練を行う前、参加する将兵に使用済みの跡がある書類かばんが支給されたと報じた。担当者は、今回の集中訓練では新品を支給せず、全員が古いかばんを使用し、終了後に返却して次回も再利用すると説明した。
報道によると、この部隊は「一括購入、集中保管、会議前の配布、会議後の回収、清掃・消毒、繰り返し使用」という管理方式を設けた。書類かばんは全て台帳に登録し、無断で捨てることを厳禁している。
軍機関紙の10月26日の報道によると、武装警察河南総隊のある支隊は、廃棄された古い部品を「修理して有効活用」し、ねじに至るまで廃品を資源に変え、非戦闘経費を厳しく削減している。各班・グループは共同で「部品の共有」活動も行っている。
必要不可欠な用途に充てる軍事費まで節約を徹底し始めたことについて、在米の時事評論家、唐靖遠氏は大紀元の取材に、「経済の悪化が党・政府の組織から、もともと絶対的な保障があった軍の組織にまで広がった。そのため、軍も倹約による軍建設を強調し始めた」と述べた。
同氏は、景気後退が中国共産党の財政の一層の悪化を招いていることは争いようのない事実であり、これが内在する実質的な原因だと指摘した。さらに、軍事費が逼迫するもう一つの要因として汚職を挙げた。
唐氏は、最近、閉幕した5中全会では軍の中央委員の出席者数が大幅に減少したが、その理由は多くの汚職将官が失脚したためだと述べた。誇張せずとも、将官1人から押収された不正蓄財が、書類かばんなど補助用品の予算総額をはるかに上回る可能性があり、古い書類かばんの回収は、ある意味で「政治的な演出」でもあるとした。
大学も「節約生活」 節約はスローガンではなく生き残りの問題
中国本土の公的制度下にある大学も、北京大学を含め、「節約生活」を具体的に徹底するよう通知を出している。南方週末の10月28日の報道によると、北京大学は9月1日、「節約生活の要求に関する実施規則」を公布し、各部局が五台山、太湖、黄山など21か所の景勝地で会議を開くことを厳禁した。研修名目での公費旅行も厳禁した。
北京大学の学生、余彤さん(仮名)は大紀元に、「北京大学が節約生活を提唱しているのは本当だ。出張旅費が削減されたと聞いた。本当にお金がないのかもしれない」と語った。
その8日後、北京林業大学の計画財務処は「節約の励行と節約生活の堅持に関する実施意見」を発表し、具体的な細部にまで徹底するよう求めた。会議では花や観葉植物を置かず、背景パネルを制作せず、果物を提供せず、文化関連グッズや記念品を配布しないこと、飛行機を利用する際は低価格の航空券を優先して購入すること、大学の会議や研修は原則として学内で行うことなどが盛り込まれた。
南方週末は、「節約生活」は新しい表現ではないが、今は実際の行動にまで徹底することが求められていると報じた。北京航空航天大学のある博士課程の学生は同紙に、大学教員が会議を開く際、以前は5つ星ホテルの会議場を借りることが多かったが、今は大学近くの事務所を選ぶことが増えたと明かした。
同紙が引用した東部のある教員養成系大学の准教授によると、2026年は中華人民共和国の建国日と中秋節の慰労品が一括で支給され、教員はトイレットペーパー2巻や大量の歯ブラシなどの日用品を受け取った。歯ブラシがあまりに多かったため、「独り身なら、いつになったら使い切れるのか」と冗談を言う教員もいた。
報道は、一部の大学が現在、資金面の圧力を公然と口にするようになったことにも触れた。江蘇省の宿遷学院で後勤処長を務める呉凱氏は、「節約はスローガンではなく、生き残りの問題だ」と率直に述べた。
西部にある「985プロジェクト」対象大学の准教授、楊昊氏(仮名)は南方週末に、大学の研究部門が教員に個人的な人脈や資金まで使って経費不足を埋めるよう求めており、もはや「少し支出を減らす」という次元の圧力ではないと明かした。こうした「資金探し」の圧力の下、同氏と同僚は対応しながら様子を見るしかないという。
政府の公共支出「年々悪化」
広東省のある大学の数学教員、王泰栄氏(仮名)は大紀元に、「新型コロナの流行期が転換点だった。2020年に予算配分が突然、大幅に減少した」と述べた。「全国の大学が同じ状況だ。どうしようもない。今は財政が非常に厳しい」と率直に語った。
山東省臨沂市で政府の公共支出事情を知る呉博均氏(仮名)も、大紀元の取材に、「良い時代が終わった」おおよその時期に言及した。同氏によると、2022年以降、地元政府の公共支出は「年々悪化」している。地元の都市管理センタービルを例に、「ここの非正規職員は、ほぼ1年間、給与が支払われていない。そのため、多くの非正規職員が退職し、新旧職員の引き継ぎに深刻な空白が生じている」と述べた。
呉氏はまた、財政難のため、市の財政から資金を出して維持管理する必要がある多くの設備が保守されていないと指摘した。街頭の配電盤の扉が閉まらないなど、街の景観に影響する問題が長期間放置されているという。
中国の財政状況について、格付け会社フィッチ・レーティングスは、公式予算の見通しでは財政収入の国内総生産(GDP)比がさらに0.6ポイント低下し、地方財政が主な圧力の集中点になると予測した。同時に、中共政府の債務残高のGDP比は75%に上昇すると指摘した。また、財政収入の低迷に制約され、中国の2026年の財政赤字はGDP比7.3%になるとした。
唐靖遠氏は、中国の不動産危機が表面化した後、景気後退が政府財政に深刻な打撃を与えたため、中共がさまざまな方面から資金の取り立てや徴税を始めたと分析した。富裕層に対する20年前まで遡った追徴課税や、富豪の海外資産に対する集中的な課税などが含まれるという。
「当局は、なりふり構わぬ姿がどれほど見苦しいかも気にしなくなった。これらは全て、中共の経済危機が、表面上見えているよりはるかに深刻であることを示している」と述べた。
インターネット大手が相次いで福利厚生を削減
政府が苦しい生活を呼びかける中、民間企業も例外ではなく、その動きは一流のインターネット大手にも広がっている。
産業分野を扱う経済メディア「36Kr」は10月26日、「深観商業」の記事を掲載した。それによると、バイトダンスは最近、オフィスチェアを段階的に交換し、かつて標準装備だった小売価格約8千元のヒューマンスケール製チェアを、2549元の中国製品に置き換える計画だ。また、2026年から春節の祝い金の支給を停止するという。
バイトダンスの従業員、徐一帆さん(仮名)は大紀元に、「今は『節約生活』をするということで、会社が支出を節約し、椅子も安いものに替わった。祝い金はもう何年も出ていない。新年のギフトセットや、ほかの祝日の贈り物もなくなった」と語った。
バイトダンスで1年間働いている別の従業員、方韜さん(仮名)は大紀元に、「節約生活が始まってから、トイレの紙まで薄くなった。祝い金は見たことがない。入社前に廃止されていた。従業員に残業させるためのタクシー代の無料負担は、まだある」と述べた。
「深観商業」の記事は、DJIが2025年1月から夜間残業時のタクシー代の精算を廃止し、ジムなどの施設も閉鎖したと伝えた。快手、テンセント、百度も、無料の3食や住宅手当などの支出を削減したという。
記事によると、快手の2024年年次報告書では、管理費が前年比17.0%減少し、主な要因は従業員の福利厚生費の削減だった。記事は「大手企業にとって、人材の重要性が低下し始めている」と記した。
唐靖遠氏は、インターネット大手や公的部門による福利厚生の削減は、同じ危機が小企業の給与所得者層から、資金力のある大企業や公的部門にまで波及したことを示しており、経済が悪化し続ける中で当局に打つ手がないことの直接的な表れだとの見方を示した。
「今は党・政府・軍の組織と大企業がいずれも節約生活を始めている。これは消費の深刻な低価格志向を示す兆候だ」と述べた。
唐氏は、今回の景気後退は「底入れにはほど遠く」おおむねまだ中盤の段階にあると分析した。消費の低価格志向によって経済の輸出依存が強まり、対外貿易の不均衡が拡大すると警告した。欧米諸国が中国製品への関税を引き上げれば、過剰生産能力が国内に逆流し、さらに深刻なデフレスパイラルを形成して、より大きな社会・経済危機を引き起こす恐れがあるとした。
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