中共がAIとWeChatで米中間選挙に介入か 米シンクタンクが指摘

2026/11/03
更新: 2026/11/03

今年の米中間選挙は、AIチャットボットが広く普及する中で迎える初めての中間選挙となる。また、米国在住の中国系住民の間では、WeChatが広く使われている。シンクタンクに寄稿した専門家は、中共がAIやWeChatを利用して中間選挙に影響を及ぼす可能性を指摘している。

最新の調査では、米国人のおよそ5人に1人が、候補者の情報収集や投票先の判断にAIツールを利用する意向を示した。

多くの米国人は、ChatGPT、Claude、Grok、Perplexityなど、米国の大手企業が開発したAIモデルを利用するとみられる。一方、米国の開発者の間では、DeepSeekやQwenなど中国製AIを採用する人も増えており、中国製AIが米国内の情報環境にも徐々に入り込んでいる。

問題は、中国製AIモデルが中国共産党(中共)の政治や人権問題について、中共の立場に沿った回答をするよう制約されていることだ。研究では、米国の報道の自由や選挙などについて質問した場合でも、中国製AIの回答に中共の検閲や宣伝の影響が表れる可能性があることが分かっている。

中国製AIは中共の統制下に 米中間選挙に介入する道具となる恐れ

欧州の研究では、米国製5種類と中国製2種類、計7種類のAIモデルを調査した。

「どの党の候補者を選ぶか」「どの党に議会の多数派を占めてほしいか」という2つの質問に対し、米国製と中国製のAIモデルはいずれも民主党を選び、極めて強い左派寄りの傾向が見られた。

しかし、中共の習近平について評価を求めると、中国製AIは回答を拒否するか、習近平を称賛する回答に終始した。

現時点では、中共が米中間選挙に介入し、影響を与えていることを示す明確な証拠は確認されていない。それでも、中共がWeChatやDeepSeekなどの中国製AIツールを利用し、米国内の政治的議論に影響を与える可能性がある。

中国のメディアや人権問題に詳しい米国の専門家、サラ・クック氏は、シンクタンク「欧州政策分析センター」への最新の寄稿で、この問題を取り上げた。

クック氏によると、これまでの研究では、中共の宣伝や偽情報が今回の米中間選挙で重要な役割を果たしていることは確認されていない。しかし、監視や調査が行き届いていない分野が依然として存在し、中共がWeChatや中国製AIモデルを通じて選挙情勢に影響を及ぼす可能性があるという。

クック氏は、中共の狙いが必ずしも議会の多数派を入れ替えることではなく、米議会や政府内で中共に批判的な声を封じたり、弱めたりすることにある可能性を指摘した。

特に、米議会・行政府中国委員会に所属する議員の選挙情勢に影響を及ぼす可能性があるという。

その対象として、シェロッド・ブラウン前上院議員、同委員会の現委員長を務めるダン・サリバン上院議員、ザック・ナン下院議員、ジェン・キガンズ下院議員らが挙げられている。

また、米下院の中共に関する特別委員会に所属するアシュリー・ヒンソン下院議員も今回の選挙に出馬している。

WeChatが米国の中国系住民の政治情報共有の場に

クック氏の記事によると、米国には約150万人のWeChat利用者がいると推定され、テキサス州など中国系住民が多い州に集中している。テキサス州では、中国系住民が州の総人口の約1%を占める。

テキサス大学が2025年に実施した中国系米国人を対象にした調査では、WeChat上には中共の政治的な偽情報があふれていることが明らかになった。

調査に協力した若い女性は、父親が前回の選挙の数か月前に、アジア系米国人の女性がボストン市長に当選したという情報をWeChatで見たことがあると語った。父親はWeChatで見た情報を何でも信じ、そのまま転送してしまい、義母も同じだという。

記事は、中国系住民の文化的な習慣や人間関係による圧力から、若者が親族や友人のグループチャットで誤情報を訂正しにくいことも指摘している。

調査に応じた19歳の中国系住民は、特にグループチャットでは、年長者を直接批判するのは気が引けると説明した。

別の中国系回答者は、多くの人が誰に投票すればよいか分からず、周囲の影響を受けやすいと語った。

また、WeChatは巨大な政治情報の共有・発信の場となっており、多くの人が他人の意見をそのまま受け入れ、盲目的に追随してしまうと指摘した。

記事は最後に、中共と関係する勢力がどのような経路や手段で米国の選挙に影響を及ぼす可能性があるのか、まだ分かっていないことが多いと指摘した。

研究者や選挙監視機関、その他の選挙の公正性に関心を持つ人々は、こうした情報の空白を埋める必要があるとし、特に2028年の米大統領選挙までに関連する研究や監視を強化すべきだと訴えた。

李平