総務省アンケートで浮かぶAIガバナンスの実像 AIの導入を見据えた動きが広がる

2026/02/19
更新: 2026/02/19

総務省は「AI事業者ガイドラインに関する事業者アンケートの結果」を公表した。アンケートからAIガイドラインが単なる参考資料ではなく、企業の実務ルールづくりの基盤として定着しつつある事がわかった。生成AIの普及に伴い、企業はAIを業務に組み込む場面が増えており、ガイドラインは社内のAI利用方針やリスク管理の出発点として活用されている。

「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」は、AIを安全に活用するために日本政府が作った「AIの共通ルールブック」で、AIに関わる企業を「作る人(開発者)」「提供する人(提供者)」「ビジネスで使う人(利用者)」の3つに分けている。

具体的には、開発者には、学習データの偏り(バイアス)の検証や、事故時に検証可能にするためのログ保存等を要請。提供者には、システム実装時の脆弱性対策や、適切な利用方法・リスク情報の利用者への周知を求めている。利用者に対しては、機密情報の不適切な入力防止や、AIの回答を鵜呑みにせず人間が最終判断する「Human-in-the-loop」の徹底を求めている。

今回の調査では、このガイドラインの認知度は回答者の所属部署で81%に達し、高い水準を維持した。また、実際に業務で活用した割合は46%となり、前年から増加した。特に「部署で認知した上で、全社的にも共有・活用している」との回答が35%を占め、企業内での横断的な取り組みが進んでいることが確認された。

活用内容としては、「社内規則の策定や更新に利用した」が最も多く、続いて「組織内での共有」「重要なリスクの整理」が挙げられた。企業からは、ガイドラインが外部機関との議論における共通の基準となったことや、自社のAIポリシー策定の参考になったとする声も寄せられた。

AIは文章生成やデータ分析など情報処理を中心とする支援ツールとして活用されてきたが、近年はAIエージェントやフィジカルAIの登場により、自律的に判断・行動したり、ロボットなどを介して現実空間に働きかけたりするツールとしての利用が広がり始めている。

アンケートの結果でも、企業のAIエージェントやフィジカルAIといった先進技術への関心も高く、これらを「開発・提供・利用している」企業は33%に達した。「今後検討」を含めると7割を超え、新しいAIの導入を見据えた動きが広がっていることが示された。

一方で、企業が重視する課題としては「セキュリティ対策」が最多となり、「偽情報への対策」「プライバシー保護」が続いた。AIの高度化に伴い、サイバー攻撃や誤情報への対応など新たなリスクへの警戒感が強まっている実態も明らかになっている。

政府は今回の結果について、AIガイドラインが企業活動の中で具体的に活用され始めたことを示すものと位置づけ、ガイドラインは法的拘束力を持たないものの、企業が自主的にAIの安全性や透明性を確保するための共通基盤として機能しつつあるとみている。

また、AIが自律的に行動するAIエージェントや、現実世界に作用するフィジカルAIへと発展する中で、ガイドラインの役割は一層重要になるとの認識も示した。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます