自民党が日本のインテリジェンス機能抜本強化へ提言

2026/03/04
更新: 2026/03/04

2026年(令和8年)3月3日、自由民主党政務調査会のインテリジェンス戦略本部は、「我が国のインテリジェンス機能の抜本強化に関する提言」を発表した。ロシアによるウクライナ侵略や中国・北朝鮮の動向など、日本の安全保障環境は戦後最も厳しく複雑な状況にある。戦いの領域が宇宙やサイバー、認知領域等へ拡大し、「外交・情報・軍事・経済・技術(DIMET)」の統合的な国力が問われる中、日本独自のインテリジェンス能力を抜本的に強化し、自律的な戦略判断を可能にする体制の構築が急務とされている。

インテリジェンス司令塔の創設と再編

本提言の最大の柱は、インテリジェンスの司令塔機能の強化である。具体的には、以下の新組織の設置を求めている。

  • 国家情報会議の設置: 内閣総理大臣をトップとし、関係閣僚で構成される会議を法律に基づき設置する。これによりインテリジェンス活動の基本方針などを決定し、政治によるガバナンスを強化する。
  • 国家情報局の創設: 現在の内閣情報調査室を発展的に解消して設置する。トップである「国家情報局長」は政務官級(国家安全保障局長と同等)の政治任用へと格上げされ、インテリジェンス・コミュニティ全体に対する企画立案・総合調整と、高度な総合分析(オール・ソース・アナリシス)を実施する権限と責任を持つ。

政治の意識改革と運用ルールの見直し

組織のハコモノ作りにとどまらず、運用面の改革も強く促している。政治家はインテリジェンスの「カスタマー(顧客)」として、受け身の「寿司屋のおまかせ状態」から脱却し、目的を持って情報要求から政策反映に至るインテリジェンス・サイクルに主体的に関与する責任があると指摘している。

申入れを受ける高市総理(出典:首相官邸ウェブサイト)

また、情報漏洩を防ぐ防諜プロトコルについても抜本的な見直しを求めている。ファイブ・アイズ(機密情報を共有するために米英加豪NZの5か国で結成された世界で最も排他的かつ強力なインテリジェンス同盟)諸国に倣い、首相官邸などの枢要な政府施設や会議への携帯電話等の電子機器持ち込みを禁止するルールの徹底が必要視されている。さらに、情報共有の質を高めるため、口頭報告から文章レポート形式への移行を原則とし、機密レベルに応じた省庁横断の安全な電子情報共有プラットフォームを早急に構築するべきだとしている。

情報収集能力とカウンターインテリジェンスの強化

対外情報収集においては、圧倒的な重要性を占める通信・電波などの「シギント(SIGINT:Signals Intelligence)」能力の強化を最優先課題に挙げている。これを基盤としつつ、外務省の国際テロ情報収集ユニット(CTU-J:Counter-Terrorism Unit – Japan)の拡充を通じた「ヒューミント(HUMINT:Human Intelligence,人的情報収集)」の強化や、AIやビッグデータを活用した「オシント(OSINT:Open Source Intelligence ,公開情報分析)」の高度化も推進するとしている。また、これらの活動が適切に行われるよう、議会や独立機関による民主的監視のガバナンス制度の検討も求めている。

一方、国内への脅威に対抗するカウンターインテリジェンスの強化についても言及している。外国政府の指示を受けて国内で影響工作を行う個人や法人に登録・報告を義務付ける法的措置の導入や、外国勢力による諜報活動を摘発・牽制するための法制(スパイ防止法制)の検討を求めている。

今後の展望

自民党は本提言を踏まえ、2026年(令和8年)夏ごろを目途に政府内に有識者会議を立ち上げ、制度設計や早期の法制化に向けた検討を加速させるべきだと結論づけている。同志国に比肩する強力なインテリジェンス体制の構築に向け、日本政府の迅速な対応が求められている。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。