米誌「フォーリン・アフェアーズ(Foreign Affairs)」は今月3日、中国共産党(中共)による近年のラテンアメリカでの影響力拡大戦略について分析した報告を掲載し、その手法が従来の巨額資金を投じた象徴的な大型インフラ事業から、より小規模で目立ちにくい地方自治体や州政府レベルの協力事業へと転換していると警告した。
中共は「細分化」した投資を積み重ねることで、現地政府との実質的な結び付きを強め、気付かれにくい形で影響力の基盤を構築しているという。
大型事業から小規模案件へ 投資規模は依然巨額
『フォーリン・アフェアーズ』の記事によれば、過去10年間、中共はペルーのチャンカイ港やエクアドルのコカ・コド・シンクレア水力発電所など、大型プロジェクトに巨額の資金を投入してきた。これらの事業は、米国の歴代政権の強い警戒を招いてきた。
これに対しワシントンは、ラテンアメリカ各国の当局者に対する外交的非難やビザ取り消し、さらには地域政府への軍事行動の可能性まで示唆するなど、圧力を強めてきた。
トランプ政権が2017年に発表した初の『国家安全保障戦略(National Security Strategy)』でも、中共当局が国家主導の投資を通じてラテンアメリカを自らの勢力圏に取り込もうとしていると警告していた。
しかし、関連データは、米国側の警戒と圧力を受けて、北京が戦略を修正したことを示している。
記事によると、従来の「一帯一路」によるラテンアメリカ向け政府融資額は、2010年には約250億ドルに達していたが、現在では年間平均約13億ドルにまで減少している。
一方で、個別の小規模投資案件を合計すると、2024年だけでも中国企業によるラテンアメリカでの商業投資額は約85億ドルに上った。
こうした資金の多くは、現地の電力配電会社や鉱山資産の買収、警察装備や監視機器の販売などに向けられている。これらの投資は形態が分散しているため全体像が把握されにくく、統計にも表れにくい。
しかし、こうした「下から積み上げる」分散型投資は、相互依存関係のネットワークを形成し、結果として中共の影響力を拡大させる基盤となっている。
地方の生活インフラへ浸透
記事は、中共が地方レベルの社会システムに入り込み、影響力を確立する動きを強めていると指摘する。
例えば、中国企業は南米各地の都市に数千台規模の電気バスを供給している。都市化率が世界でも極めて高い同地域において、公共交通網を支える重要な役割を担っている。
また、中国製の鉄道車両は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスを走る主要3路線の電化鉄道で通勤客を輸送している。
現在、中国系企業はペルーの首都リマにおける電力配電事業を全面的に運営している。また、アルゼンチンのフフイ州では、中国資本企業がリチウム鉱山開発事業の過半数の権益を取得している。
さらに、エクアドルの全国緊急対応システム「ECU-911」は、2011年以降、中国系国有企業である中国電子科技集団(CEIEC)が建設を担当し、華為(ファーウェイ)の監視カメラシステムを基盤として運用されている。同システムには、中国国家開発銀行が石油販売契約を担保として融資を提供している。
協力の入り口は無償援助
記事はまた、中共による影響力拡大は、多くの場合、相手国への無償援助から始まると指摘。例えば、ボリビア軍への暴動鎮圧装備や装甲車の供与、カリブ海諸国の警察へのオートバイの寄贈などである。
これら一つ一つの援助は、装備不足に直面し、治安対策を迫られる現地当局者の需要に応える形で提供される。
しかし、こうした個別の支援が積み重なることで、中共は地方行政や治安機関との関係を深め、長期的な影響力を築く足掛かりとしている。
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