米国とベネズエラが石油協定締結 ライト長官「中国側に新たな収益への請求権なし」

2026/09/03
更新: 2026/09/03

クリス・ライト米エネルギー長官は9月2日、ベネズエラでインタビューに応じ、ベネズエラ政府が債務再編を進め、一連のエネルギー協定に署名していると述べた。ベネズエラで新たに採掘される石油から生じる収入について、中国側は今後、債権を主張する権利を持たないという。

ホワイトハウスは8月31日、米国とベネズエラの最新の石油協定の詳細を公表し、「世界史上最大規模の石油取引」と説明した。協定に基づき、米国はベネズエラの確認済み石油埋蔵量650億バレル超の過半数に対する支配権を取得し、米政府は費用を負担する必要がない。ライト氏は9月1日夜にベネズエラへ出発し、翌日、現地でブルームバーグなどのメディアによるインタビューに応じた。

ライト氏は、現在、ベネズエラの債務再編が進められており、民間企業が原油生産を迅速に拡大するため、複数の協定に近く署名すると述べた。また、これらの新油田の開発はベネズエラ国民、米国民、世界のエネルギー市場に利益をもたらすと強調し、新たな生産量から生じる収入について、中国側が債権を主張することはないとした。

協定の主な内容

ベネズエラ暫定政府は、民間石油企業ノース・アメリカン・ブルー・エナジー・パートナーズ(North American Blue Energy Partners、NABEP)に対し、17油田について100年間の事業権を付与した。対象となる油田には、650億バレルを超える確認済み埋蔵量がある。

NABEPは、親会社の株式35%を米戦争省の戦略資本局に付与した。また、米国務省に対し、石油生産量の20%を生産原価で購入できる保証された権利と、残る80%の生産量に対する優先購入権を付与した。

ホワイトハウスは次のように述べた。

「NABEPが近く操業する新規油田の大部分は、かつてロシア企業や中国企業、またはマドゥロ、チャベス両ベネズエラ元大統領の腐敗した側近によって支配または運営されていた。これらの悪意ある外国勢力はベネズエラの資源を略奪し、キューバ、ロシア、中国共産党など、米国の敵対勢力に利益をもたらす一方、ベネズエラのインフラや発展には投資しなかった」

企業の投資動向

ライト氏によると、民間企業が締結する協定のうち、最大規模となるのはシェブロンとの協定である。

シェブロンは9月2日、ベネズエラの合弁事業がオリノコ・ベルトにある「Carabobo-1」と「Carabobo-2 South-A」の二つの新区域について開発権を取得したと発表した。今後5年間で70億ドル超を投資し、生産量を日量約60万バレルへ引き上げることを目指す。採掘費用は1バレル当たり20ドル未満となる。

ベネズエラへ再参入、または事業を拡大するその他の企業には、イタリアのエニ(Eni)グループ、シェル(Shell)、英石油大手BP、スペインのレプソル(Repsol)などがある。

中国共産党とベネズエラの関係

過去20年間、中国共産党の政策銀行はベネズエラに600億ドル超を融資し、現在も少なくとも100億ドルが返済されていない。融資の多くは「石油と融資の交換」方式で行われた。この間、米国がベネズエラに制裁を科していたにもかかわらず、中国側はベネズエラ産石油の最大の買い手の一つだった。

トランプ政権は現在、民間企業による投資を促している。その目的の一つは、ベネズエラの石油産業における中国共産党とロシアの影響力を低下させることである。

中国共産党がベネズエラで進めた「石油と融資の交換」(oil-for-loans)は、ウゴ・チャベス氏が1998年にベネズエラ大統領に当選した後に始まった。中共は一時、大量の石油と戦略的利益を獲得した。ベネズエラに衛星追跡施設を建設し、現在もこれらの施設に立ち入り、使用する権限を保持している。

2016年に原油価格が急落した後、ベネズエラは融資債務を返済するため、引き渡す石油の量を増やすことを余儀なくされた。中国側は同年、新規融資を停止したが、既存融資の返済期限を延長した。ベネズエラ政府は2017年に債務不履行に陥った後、公的債務に関する完全なデータの公表を停止した。

米議会が今年1月に公表した中国側とベネズエラの関係に関する「ファクトシート」によると、過去20年間に中国共産党の政策銀行がベネズエラへ供与した融資額は、ほかのどの中南米諸国に対する融資額よりも多く、少なくとも600億ドルに上る。現在も、少なくとも100億ドルの銀行融資が返済されていない。

ファクトシートはまた、米国による制裁にもかかわらず、中国が依然としてベネズエラ産石油の最大の買い手であり、輸出量の50~89%を占めていると指摘した。石油収入はベネズエラ政府の財政収入の半分以上を占める。

中国共産党の公式統計では、ベネズエラからの輸入品の3分の2超を石油と石油関連製品が占める。しかし、この割合も過小評価されている可能性がある。中国がベネズエラから輸入する石油の大部分が、ブラジルやマレーシアなど、ほかの国を原産地とする貨物として記録されているためである。

石油の購入に加え、中国共産党が支配する中国石油天然気集団(CNPC)は、米国の制裁対象となっているベネズエラ国営石油会社(PDVSA)と複数の合弁事業を運営している。

また、中国企業3社は2024年、PDVSAと生産物分与契約を締結した。中国企業が投資と採掘を行い、生産された石油を合意した割合で分配する仕組みである。

今回、米国とベネズエラが合意した歴史的な石油取引は、中国共産党がこれまで「石油と融資の交換」を通じてベネズエラの新たな生産能力を支配してきた経路を明確に断ち切った。

責任編集:李琳

李思奇