米豪 太平洋で抑止力強化へ 防衛協力を加速

2026/09/04
更新: 2026/09/04

ヘグセス米戦争長官(国防長官)は9月2日、国防総省でオーストラリアのリチャード・マールズ副首相兼国防相と会談した。両氏は、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカによる太平洋安全保障条約(ANZUS)の締結75周年を記念するとともに、太平洋地域での抑止力強化について協議した。

米豪  防衛協力の加速で一致

米戦争省(国防総省)によると、ヘグセス氏は会談で、米豪は国防戦略の方向性を共有していると述べた。その上で、十分な能力を持つ同盟国が集団防衛に貢献する必要性を強調し、自国の防衛力への投資が同盟全体の防衛強化につながるとの考えを示した。

ヘグセス氏は「現在の世界が直面する複雑な脅威について、われわれは共通の認識を持っている。同盟国は共同で計画を策定するだけでなく、軍事能力を相互に連携、補完できるようにする必要がある」と述べた。

マールズ氏は会談後、記者団に対し、「オーストラリアでは米軍の展開態勢を強化している」と述べ、陸海空に加え、サイバーや宇宙など幅広い分野で協力が進んでいると説明した。

また、こうした米軍の展開強化は、インド太平洋地域で抑止力を維持し、平和と安定を確保する上で重要であり、オーストラリアの国益にもかなうと強調した。

両国は、オーストラリアでの米軍展開を加速させるほか、兵站面での連携を強化し、合同演習を通じて相互運用性を高めることで一致した。

防衛産業分野でも協力を進め、誘導兵器や次世代装備の開発などについて協議した。

マールズ氏は、年内に開かれる米豪外務・防衛閣僚協議で、さらに詳細を明らかにする考えを示した。

AUKUS進展 西豪州で原潜ローテーション

両氏は、米英豪3か国の安全保障枠組みAUKUSの進展についても意見を交わした。

マールズ氏は、西オーストラリア州のスターリング海軍基地に到着した米海軍要員を歓迎した。

AUKUSの計画では、2027年から同基地を拠点に、米海軍のバージニア級原子力攻撃潜水艦を最大4隻、英海軍のアスチュート級原子力潜水艦1隻をローテーション配備する。

この計画はSubmarine Rotational Force–Westと呼ばれる。現地入りした米海軍要員は、2027年の運用開始に向けた態勢整備を担う。

配備される米原潜は引き続きアメリカが保有し、米軍の指揮下で運用する。

太平洋島しょ国への関与も強化

今回の会談は、パラオで太平洋諸島フォーラムが開かれる中で行われた。

アメリカとオーストラリアは、太平洋島しょ国への支援として計約5億8千万ドルを拠出すると発表した。一方、中国共産党(中共)も贈与や援助、インフラ整備などを通じて地域への影響力を拡大している。

太平洋地域では、島しょ国をめぐる米豪と中共の影響力競争が続いている。

ANZUS条約は1951年9月、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカの3か国が署名した。加盟国が太平洋地域で武力攻撃を受けた場合、対応を協議する安全保障条約である。

1980年代半ば、ニュージーランドが原子力艦船の寄港を認めない非核政策を打ち出したことを受け、アメリカは1986年、ニュージーランドに対するANZUS上の安全保障義務を停止した。

その後、ANZUSは主に米豪同盟の基盤になっている。現在、両国は米軍のローテーション展開や共同演習、基地・施設の利用、軍事装備の事前配備など、防衛協力を拡大している。

呉瑞昌