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(SAM YEH/AFP/Getty Images)

韓流ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」にみる道徳観

 【大紀元日本1月28日】ここ数年来、韓流ドラマブームがアジアに広がり、人気を博している。ハリウッド映画のスケールもなく、中国カンフー映画の派手なアクションもない韓流ドラマが、なぜ人々に受け入れられ、大ヒットしているのだろうか。「宮廷女官チャングムの誓い」など一連のドラマをみると、古き良き道徳観が生かされていることが分かる。

 男女の情には礼儀あり

 中国の古人は、「人の情は男女の間で発生するが、礼儀の制約を受ける」(発乎情、止乎礼)と言った。韓流ドラマでは、人の持つ感情描写が細かく自然に描写されている。海に向かって誓った愛、真摯で長く続く友情、涙を誘う感情表現、多くの恩や従順を感じさせる師弟間の絆など、人間に見られる深い感情表現は、観る人に深い感動を呼び起こす。そのなかで、最も尊いと思われるのものが「止乎礼」である。それは、単なる人と人の繋がりの終焉ではなく、情の内涵の一つであり、情の最高の境地を意味しているのだ。

 『宮廷女官チャングムの誓い』の中で、チャングムは母親への深い思いを抱き、母親の遺志を叶えようと苦しみに耐え、何度も生死をさまよった。しかし、どのような環境に遭遇しても、苦痛や憎しみを心に生じさせることはない。人を救うことを根本とする医療と個人的な恨みの狭間から抜け出し、彼女は報復心を捨て、多くの苦しみを自分に与えた崔尚宮(チェサングン)を鍼灸で救ったのだ。

 道徳的な倫理において、美しい愛や深い恨みなどの様々な情は、すべて「礼儀」の内に留まるべきである。この情の最高の境地が多くの人々の心の琴線に触れるのだ。

 主役が決め手

 良いドラマとは、ストーリーの展開が楽しめるばかりでなく、人の様々な生き方や歴史的な流れなども教えてくれる。誰を主役にして、誰を脇役にするのか、ということがドラマの重要なポイントだ。脚本家が意図的に、あるいは歴史的事実に基づいて制作したのかもしれないが、韓流ドラマには正の役である主役と、負の役の脇役が登場する。二つの役は硬貨の表と裏のように、「相生相克」として存在するのだ。正と負の役はぶつかり合い、根本的な観点が異なっている。

 たとえば、『宮廷女官チャングムの誓い』の中で、クミョンとチャングムの二人は性格が良く善良であったが、二人は別々の道を歩む。正の役で主役のチャングムはいかなる圧力の前でも善良と純真を守り、最後には医学の道を歩み、様々な人生の試練を経験する。負の役として演出されたクミョンは、本来すばらしい人格をもちあわせ、心に理想を抱いていたが、一族の使命や利益の前に屈してしまい、最終的には敗者となりすべてを失う。

 度重なる正と負の葛藤の中で、繰り返しひとつの理が蘇る。つまり、成功とは正義そのものであり、正義が主役である。脚本の中の主役は、役の原型となる歴史上のヒーローである。私たちの現実の生活においても、道徳的で正義を守ることが本当の意味での成功ではないだろうか。

 盗人にも仁義

 韓流ドラマの中で、負の要素である敵役の人物描写も、見る人たちに様々な思いを抱かせる。中国の歴史小説の中では、英雄、烈女、明君、文士に限らず、悪人にも最低限の規範が定められている。例えば、人を殴っても、顔は決して殴らないとか、「君子は財を欲するも、その取得には徳行というものがある」(君子愛財取之有道)などのモラルの規範が挙げられる。物を得るにも良し悪しを心得るべきであり、たとえ山中に入って山賊になったとしても、「盗人にも仁義」(盗亦有道)という定めがある。これらの規範は韓流ドラマの中で鮮明に語られている。

 『宮廷女官チャングムの誓い』の中で、ライバル役の崔尚宮(チェサングン)が断崖から危うく足を踏み外しそうになった時、両手で木の枝をつかむ。恍惚の中で自分に殺された昔の親友、韓尚宮(ハンサングン)、朴明伊(パクミョンイ)の子どものころの様子が心に浮かぶ。崔尚宮には、まるで二人が彼女を呼びよせ、すでに彼女を許したかのように感じたのだ。そして崔尚宮は、微笑みながら木の枝を離した。罪深い魂が、一種の解脱感を味わった瞬間だった。
(翻訳編集・李頁)


 (12/01/28 07:00)  





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韓流ドラマ  ブーム  チャングム  中国の道徳観念  


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