アングル:英保守党にメイ降ろしの動き、不信任の手続きとは

2018/11/17
更新: 2018/11/17

[ロンドン 15日 ロイター] – 英国のラーブ欧州連合(EU)離脱担当相らがEU離脱協定案に抗議して辞職したことを受け、同案の議会承認を求めるメイ英首相の与党保守党党首としての、ひいては首相としての地位が脅かされる事態になっている。

保守党では、党首に対する不信任動議はどのように行われるのか。

●不信任投票の実施に必要な条件は

保守党議員の15%以上が、「1922委員会」と呼ばれる保守党一般議員らで構成される委員会に不信任投票の実施を求める書簡を提出すれば、投票が実施される。

保守党議員は現在315人で、48人が書簡を提出すれば投票が行われることになる。

●メイ首相に対して不信任投票が行われる可能性は

欧州懐疑派の保守党議員の一部は、メイ首相の離脱交渉姿勢に抗議してこうした書簡を提出したと公の場で明言している。離脱協定案が14日に公表され、ラーブEU離脱担当相が15日辞任すると、懸念の声は一段と高まった。

しかし、書簡を提出した議員の数を正確に把握しているのは1922委員会のグラハム・ブレイディ委員長だけだ。秘密裏にこうした書簡を提出した議員もいるとみられる。

ブレイディ氏は先月、書簡を提出したと公言しながら、実際には提出していない議員が複数いると発言したと報じられている。

●不信任投票はどのように行われるのか

保守党の議員全員が票を投じることができる。議員数の過半数の信任票を獲得すれば、メイ氏の勝利となる。保守党の公選議員全員が票を投じる場合、メイ氏は158票以上が必要になる。

勝利した場合、メイ氏は党首の職務を続け、その後12カ月は再び不信任投票にかけられることはない。もし負ければ辞職しなければならず、次回の党首選には立候補できない。

●いつ行われるのか

保守党のルールでは、投票は可及的速やかに行われる。期日は1922委員会の議長が党首と相談して決める。

保守党党首に対する不信任投票が前回行われたのは野党時代の2003年。この時は、議長が書簡数が規定に達したと発表した翌日に投票が行われた。

●メイ氏不信任の場合、何が起きるか

後任党首を選ぶ党首選が行われる。後任の党首が英首相となる。自動的に総選挙が行われるわけではない。

立候補者が何人も出た場合は、絞り込むための秘密投票が保守党議員により行われる。この投票では、得票数が一番少ない議員が候補者から外され、最終的に候補者が2人になるまで投票が繰り返される。この投票は、火曜日か木曜日に行われることになっている。

次に、残った候補者2人について、一般の保守党党員を対象に郵送による投票が行われる。投票するには、その時点で3カ月以上党員である必要がある。

2016年のEU離脱を巡る国民投票の後に、当時のキャメロン首相が首相と党首を辞任したことを受けて党首選が行われた際は、5人が立候補。最終的にメイ氏と当時閣外相だったアンドレア・レッドサム氏が残ったが、党員投票の前にレッドサム氏が撤退したため、メイ氏が党首となった。

●メイ氏の後任として考えられるのは

後任候補として取りざたされている政治家は多数おり、明確な最有力候補はいない。立候補するとみられている議員の多くは、先月行われた保守党党大会で、党首選が行われる場合にそれぞれ打ち出す予定の政策や優先事項を表明している。

Reuters
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