ウクライナ情勢 極限化する無人機戦争と見え隠れする和平への模索

2026/02/20
更新: 2026/02/20

防衛省・自衛隊は16日、Xにおいてウクライナ情勢に関する最新の動向を報告した。公表された資料は、戦闘が長期化する中で無人機(ドローン)への依存が極限まで高まっている戦況や、双方の膨大な人的被害、そして水面下で進む外交交渉の動きを浮き彫りにしている。本稿では、防衛省の公表資料に基づき、2026年2月16日時点のウクライナ情勢を概観し、今後の展望を分析する。

泥沼化する東部・南部戦線と「ドローン戦争」の激化

防衛省の報告によれば、2026年2月16日時点においても、ロシア軍はウクライナ東部および南部地域での攻勢を緩めていない。特にドネツク州のポクロウスク方面やザポリージャ州などの要衝では激しい攻防が続いており、ウクライナ軍参謀本部の発表では、2月16日までの過去24時間だけで前線における衝突が235件発生したとされる。

特筆すべきは、戦況がかつてない規模の「無人機(ドローン)戦争」へと変貌している点である。資料によれば、ウクライナのゼレンスキー大統領は「敵目標の80%以上が無人機によって破壊されている」とし、2025年だけで約82万の敵目標を無人機で破壊したと表明している。一方、ロシア側も2025年の1年間でウクライナに対し約5.5万機の自爆型無人機を発射したとの英国防省の分析があり、2026年1月だけでも6千機以上の無人機を投入するなど、物量による飽和攻撃を継続している。

ウクライナ側もこれに対抗し、国防相は過去半年間で220万機の多様な無人機が軍に供給されたとし、毎日1500機の迎撃用無人機が供給されている状況を明らかにしている。双方が無人機による打撃と、それを迎撃する消耗戦を極限まで繰り広げているのが現状である。

甚大なる人的被害とインフラの危機

長期化する侵略は、双方に壊滅的な人的被害をもたらしている。英国防省の2026年1月14日時点の推計によれば、ロシア軍の死者は約121.3万人に達したとされる。一方、ウクライナ軍の被害についても、CSIS(戦略国際問題研究所)は死者10〜14万人、死傷者50〜60万人という推計を出しており、国連(UN)はウクライナ市民の死者が1万4999人に上ると報告している。

また、ロシア軍によるインフラ攻撃は苛烈を極め、中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を含む長距離精密誘導兵器が使用されている。これによりウクライナの電力インフラは深刻な打撃を受けており、2026年1月21日時点で首都キーウの60%が停電するという危機的状況に陥っている。

政治・外交面での動きと今後の予測

軍事的な膠着と消耗が続く一方で、政治・外交面でも大きな動きが見られる。ウクライナ国内では、ブダノフ情報総局長が大統領府長官に、フェドロフ第一副首相兼デジタル転換相が国防相に起用されるなど、戦時体制の人事刷新が行われた。

国際的な外交の舞台では、相反する二つの動きが進行している。一つは、仏パリで開催された「有志連合」首脳会合において、ウクライナへの軍展開に関する意向書への署名や安全の保証に関する宣言がなされた動きである。もう一つは、UAEのアブダビにおいて米国・ウクライナ・ロシアの高官が直接協議を実施(2026年1月23日、24日)したという動きだ。

今後の予測としては、以下の3点が懸念される。

  1. 無人機戦のさらなる高度化と自動化:双方が数百万機単位でドローンを投入している現状から、AIを用いた自律攻撃や迎撃システムの重要性がさらに増し、戦場の無人化が加速すると考えられる。
  2. ウクライナの継戦能力の限界:電力インフラの過半が破壊され、市民生活が脅かされる中、西側諸国による防空システムの供与とインフラ支援が間に合うかが、国家としての存続の鍵を握る。
  3. 和平交渉への模索:アブダビでの直接協議など、水面下での接触が表面化していることは、双方が軍事的解決の限界を意識し始めている可能性を示唆する。しかし、ロシアが東部での攻勢を継続している以上、予断を許さない状況が続くだろう。

防衛省・自衛隊による今回の報告は、2026年に入り、ウクライナ戦争が単なる地域紛争を超え、無人機技術と国家の総力戦が融合した新たなフェーズに突入していることを示している。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。