中国共産党が植え付けたヘイトに騙されないで…法輪功学習者、パレードで真実を訴える

2022/07/19
更新: 2022/07/19

中国共産党による法輪功迫害から23年が経とうとするなか、日本の法輪功学習者は17日、池袋で数百人規模のパレードを行なった。中国共産党の邪悪な行為が次々と明らかになるにつれて、法輪功迫害はますます多くの人々の知るところとなった。

法輪功に対する迫害は、1999年7月20日、当時の総書記・江沢民の命令で始まった。迫害が開始された日付から、その日の出来事は「720」と呼ばれている。「3カ月以内に法輪功を消滅させよ」「肉体を消滅させ、名誉を失墜させ、財力を奪え」とのスローガンを掲げ、江沢民は警察・公安・メディア・病院など国家機関を総動員して弾圧を行なった。

迫害を正当化させるため、様々なプロパガンダや宣伝工作も並行して行われた。法輪功に対するヘイトを共産党主導で拡散し、一般人に法輪功学習者への敵意を植え付けた。中国の国営メディアは共産党のプロパガンダを報道に取り入れ、中国本土のみならず全世界の人々を惑わした。

パレードを先導する法輪大法天国楽団。7月17日池袋にて撮影(盧勇/大紀元)

理不尽な逮捕、終わらない悲劇

中国西北部の甘粛省で大学の教員として勤めていた秦さんは、まさに「720」の経験者だ。1999年7月20日。秦さんたち法輪功学習者はいつものように公園で功法を練習していた。法輪功には5式の体を動かす功法があり、いずれも音楽に合わせて練習するもの。

「皆で座禅を組んでいた。すると、音楽をかけていた学習者が知らぬ間に消えていた」。警察に連行されたと知ると、皆で政府機関に行き、釈放を求めた。「何も悪いことをしていない、ただ功法を練習しているだけで逮捕されるなんておかしい」と秦さんは考えた。

政府機関の前にはすでに多くの人々が集まっていた。シュプレヒコールはなく、皆冷静に要望を伝えていた。しかし中国共産党は秦さんたちの訴えに聞く耳を持たなかった。公安や武装警察は法輪功学習者を拘束し、監禁場所へと移送した。体育館のような場所だった、と秦さんは振り返る。

幸い、秦さんは短い拘留のあと、釈放された。のちに知ったのだが、地元の学習者の一部は長期にわたって監禁され、暴行を受けた者もいた。

同様の悲劇は中国本土で幾たびとなく繰り返された。法輪功を放棄しない学習者は監禁され、拷問を受け、長年の強制労働を強いられている。

NHKのBSで放送されたドキュメンタリー番組「馬三家からの手紙」は、海外に輸出された中国製のハロウィングッズから手紙が発見され、国際的な大ニュースになったという実話に基づくものだ。手紙を書いたのは孫毅さんという男性の法輪功学習者であり、強制労働を課せられていた。「馬三家」労働教養所は法輪功学習者への拷問で悪名高い監禁施設だった。

政府機関や企業、各種団体に設置された中国共産党の支部は共産党の政策を「貫徹」すべく、法輪功学習者の排除を行なった。学習者の多くは職場や学校を追われ、収入と福利厚生を失った。高齢の法輪功学習者に対しては、年金の支給が止められるケースもある。

医療サービスが処刑手段に

法輪功学習者は拘束されると監禁され、信仰を放棄するよう迫られる。放棄しない者には拷問が加えられ、その際に命を落とすこともある。法輪功情報サイト「明慧ネット」によると、情報が確認できる範囲内では少なくとも4828人が迫害により死亡した。

海外に逃れた法輪功学習者からは、拘束先で採血を含む身体検査を頻繁に受けたとの証言が出ている。臓器移植を待つレシピエントとの適合性を確認するためだ。

2014年7月20日、台湾の法輪功学習者は、臓器狩りのデモンストレーションを行い、問題を周知させようとしている。(Mandy Cheng/AFP/Getty Images)

中国共産党が法輪功学習者から臓器を摘出し、移植手術に使用していることは、中国東北部の病院の元職員の証言で明らかになった。その後の調査報告によれば、中国共産党は法輪功学習者を「生きた臓器バンク」として、移植ビジネスに利用している。中国の年間移植手術数は6万~10万件とされるが、実際の犠牲者数はその数倍と推計されている。

中国共産党による臓器狩りの実態について訴えるNPO団体「SMGネットワーク」の根本ゆきお氏は取材に対し、「中国共産党の言うことを聞かない法輪功学習者は拷問も受け、最後には臓器も奪われ、遺体はボイラー室で焼かれてしまう。従って、拷問と強制臓器摘出は、法輪功学習者に対する主要な弾圧手段だ」と述べた。

中国の臓器移植産業は2000年を境に急増した。これは中国共産党が法輪功学習者への弾圧を開始した時期と重なっている。

米保守系シンクタンク「ハドソン研究所」が2月17日に開催したオンラインセミナーで、中国の強制臓器摘出について長年調査を続けてきたカナダ勲章受賞の人権弁護士デービット・マタス氏は、司法や警察、医療機関、政治など国家ぐるみでこの臓器強制摘出を実施しているのは中国だけだと指摘した。米国際宗教自由委員会(USCIRF)の元委員であるニーナ・シェイ氏は、強制臓器摘出は「生存者がいないのだから完全犯罪だ」と付け加えた。

気の荒い女性が一変 法輪功がもたらした変化

法輪功は1992年に李洪志氏によって伝え出された中国の伝統的な気功修煉法だ。中国当局による統計では、1999年には学習者は7000万人から1億人を数えた。今日では日本や米国、欧州諸国を初め、世界各地で愛好者が増えている。

今回の池袋でのパレードに参加した勅使河原さんは大学に通う学生だ。法輪功を始めた後、人間関係で悩まなくなり、ストレスが緩和されたという。

「真善忍」の幟を掲げる法輪功学習者。7月17日池袋にて撮影(盧勇/大紀元)

「学校や友人関係で、嫌なことや悩むことがあったとき、怒るというよりも、落ち込むタイプでした。時には長く引きずることもありましたが、法輪功の教えで精神衛生をよく保つことができました」と勅使河原さん。「法輪功では、淡々と、悠々とすることを重んじるので、心が穏やかになりました。理不尽なことをそのまま野放しにしておくということではなく、善意を持って説明します。自分の感情をぶつけるのではなく、理性的に相手と接します。執着しないことで、ストレスが緩和されることを実感しています」。

前出の秦さんは法輪功を始める前、過労のあまり休養をとっていた。法輪功の5式の功法を練習すると、短い期間で回復したという。また、大学の同僚が法輪功を修煉した際の大きな変化を目の当たりにした。「医療室の校医だった女性はもともと気が荒く、よく人と言い争いをしていた。法輪功を始めると、まるで人が変わったかのように、いつも笑顔で人に接するようになった」。

己を律し、自らを高める法輪功は、日本の伝統的な文化とも通じる部分があると勅使河原さんは考えている。「法輪功はヨガみたいな緩やかな運動で健康を向上させるだけではなく、『真・善・忍』を指針として、精神面での健康をも保ちます。江戸時代の儒学者の貝原益軒は著作『養生訓』のなかで、健康づくりだけではなく、私欲をなくし、美徳を修め、心身を健康的に保つよう心がけるという考えがある。このように考えれば、日本の伝統的文化とも通じるところがあります」。

誤解を取り除く地道な努力

中国共産党が広めた法輪功に対するヘイトとプロパガンダにより、一部の人々は法輪功に対する誤解を抱いた。その誤解を解くため、法輪功学習者は長年にわたって、街頭でのビラ配りやパレード、政治家への陳情活動を行なってきた。

江沢民告発の署名活動の様子。7月17日池袋にて撮影(盧勇/大紀元)

勅使河原さんは日本で法輪功迫害を訴え続けることについて「中国国内の陳情だけでは、共産党の迫害を制止するのは難しいので、国際社会から訴えかけていく必要がある」と語った。「中国共産党は、中国国内の問題であるとして『内政干渉だ』と言ってくるかもしれないが、これは詐欺的なレトリックだ」と指摘、ナチスのホロコーストやウイグル人への迫害を挙げ、「人権問題は国際社会全体にかかわる問題」だと述べた。

「SMGネットワーク」の根本ゆきお氏は、テレビや新聞といった主要メディアが報道しないため、法輪功に対する残虐行為の実態を一般人が知るのはハードルが高いのが現状だと語った。

「インターネットで冷静に情報収集してみれば、中国共産党が法輪功学習者に残虐行為をしていることは明らかだと思います」。法輪功弾圧について、家族に話したり友人知人に伝えたりするだけでも「正義感のある素晴らしい振る舞いだ」と述べた。

法輪功迫害を指示した主な責任者である江沢民を告訴する動きも世界で広がっている。根本氏は、街頭やインターネット上で行われている署名活動に参加することも残虐行為を止める力になると指摘した。

「善い行いをする人が冤罪に遭っているのを黙って見過ごせない」と秦さんは語った。弾圧が始まった当時、周りの人々は「天安門焼身自殺事件」などの中国共産党の宣伝に騙されており、法輪功に対して誤解を抱いていた。「真実を伝えなければならないと思った。人々に法輪功とは何かを伝え、誤解を解くことを始めた」。

疾風勁草、法輪功への声援絶えず

迫害開始から23年。法輪功は今や100以上の国と地域に広まり、その主要な著作『転法輪』は40以上の言語に翻訳されている。法輪功学習者による20数年来の真実・真相を伝える取り組みにより、中国共産党のプロパガンダは徐々に効力を失っていった。同時に、中国共産党の邪悪さは多くの民衆や政府の知るところとなり、中国本土では4億人近い人々が共産党組織からの離脱を発表している。

「中国共産党にノーを突きつけよう」の横断幕を掲げる法輪功学習者。7月17日池袋にて撮影(盧勇/大紀元)

大紀元が行なった街頭インタビューでは、法輪功を支持する意見や、中国共産党の蛮行を非難する声が聞かれた。

池袋の企業に勤務する50代男性は法輪功について知っていたが、パレードを見て「日本に関係者がこれだけいることにびっくりしました」と驚きを隠せいない様子だった。中国共産党による一党独裁の体制下では、宗教の自由が認められるのは難しいとしつつ、「教え自体は素晴らしいものだと思うので、広めてほしい」と語った。

新疆ウイグル自治区での弾圧や臓器の摘出をオンライン記事で知ったという40代男性は、「弾圧は良くない。(中国共産党は)弾圧をするというイメージが前からあった」と語った。また、「中国共産党はフェアではない主張をしがちだ」とも指摘した。

歩道からパレードを見ていた20代男性は「政府が人々の信仰を奪い、さらに生命を残酷な形で奪うのは許されないと思う」と述べた。

中国共産党の残虐行為に対し、日本の政界からも人権擁護の声が上がっている。すでに数十箇所の地方議会で中国の人権侵害問題に対して調査及び抗議を求める意見書が可決されたほか、2022年北京冬季五輪の直前に衆議院で中国の人権状況に関する決議案が採択された。

今年5月のSMG4周年記念集会では、石橋林太郎衆議院議員(自民)は、中国の強制臓器摘出問題について、国会議員連盟を立ち上げるべきとの考えを示した。中国共産党の脅威について日本社会が「一緒になって危機感を共有して立ち向かっていかなければならない」と強調した。

「疾風に勁草を知る」とは、古代中国の書物『後漢書』の一節だ。中国共産党の23年にわたる残酷な迫害は、決して法輪功学習者の信念を動揺させることはできなかった。かたや挙国の資源を迫害に注ぎ込んだ中国共産党は四面楚歌の境地に陥り、内憂外患に悩まされている。

パレードは1時間ほど池袋の街中を練り歩いた後、ゴール地点に到着した。終始平和的で、穏やかな行進だった。

政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。
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