「それは罪だ」新性文化戦争は男女二元論を拒絶することを目的としている=作家が警告

2023/06/17
更新: 2023/06/17

作家のスティーブ・ディース(Steve Deace)氏は、今、米国を牛耳っている新しい性文化を過激に擁護する者たちは男女二元論による性自認を排除し、代わりに人々に、彼らの「精神疾患」に同意するよう強要しようとしている、と警告した。

ディース氏は6月7日、ジョシュア・フィリップ氏の番組「クロスロード」のインタビューで、それまでの60年代の性革命に続く性文化戦争と、過去5〜10年の間に目立ち始めた新しい性文化戦争の違いを指摘した。彼によれば、それまでの文化戦争は男女に限定されないジェンダーあるいは性別があると主張してきた一方で、新しい文化戦争は、それらをすべて否定しようとしているのだという。

新しく生まれた「LGBTQ」という概念は、「私は生まれた時の私とさえ同じではない。私は男でも女でもない。二元論的に決められる存在ではない」と主張する。ディーン氏は、「この場合、彼らは他人に対し、最初から彼らの精神疾患に同意するよう求めているのである。我々は彼らの現実に対する拒絶に同意しなければならない」と指摘する。

かつての文化戦争で言えば、「自分と異なる道徳観で生きる人々を認めるのに、彼らの不道徳に付き合う必要はなかった」という。

しかし今の新文化戦争では、「ある人を認めるためには、その人の狂った精神に合わせなければならない。そして自分がそれを認めることで、今度は自分を男や女として生んでくれた創造主をも否定しなければならない。それは罪だ。私にはそれはできない。いうまでもなく、正気の沙汰ではない」とディーン氏は述べた。

「今度はこれが子供にも売り込まれはじめた。“家庭向けのオカマショー”、アダルトグッズ、その他なんでも子供の目の届くところに並べられている。そして、同性婚にあまり関心がない人でも、これをみて『ああ、とんでもない。こんなもの狂っている。私が関わりうる限りにおいては絶対ありえない』と言うだろう」。

共著『ジェンダーの嘘を暴く:いかにして10代の若者をトランスジェンダー産業の誤った思想から守るのか(仮題)』を発表したジェフ・マイヤーズ博士は5月、「米国思想リーダー」のインタビューの中で、トランスジェンダー主義は現実の本質に対する認識において「人々を惑わせることで、力を得ようとする思想だ」と警告した。

この本の2人目の共著者で、ジャーナリストのブランドン・ショーウォルター氏は、ソーシャルメディアやネットのインフルエンサーが若者に対して、自分たちは間違った体に生まれたのだと信じ込ませようとしている、と非難した。多くのこれらの若者は自閉スペクトラム症(ASD)にかかり、精神病に苦しむという。

「生理学上、逆の性別に変わることは不可能だ。以前にも社会的な風潮の蔓延により、拒食症やリストカット、その他の自傷行為などが起こった。今回も同じことが起こっている」、ショーウォルター氏はそう語った。

「自閉スペクトラム症の人は、症状の度合いに関わらず、自身の抱える問題がジェンダー・アイデンティティ思想を通じて解決されたように思えるような文化にはまってしまう」

同意と服従

性革命後の文化戦争は5〜10年前までは、新文化戦争とは違った方法で左か右を定義していた、とディーン氏は「クロスロード」のインタビューで指摘した。

「もしあなたが本質的にややリベラルあるいは左寄りならば、個人の自律性を認めることになり、唯一、自らの行動が他人を害したと証明されうる場合のみ制限を受ける。そして同意は実に道徳的だ。もし他の成人があなたの行動に同意しなたらば、それは問題ないということになる。そして、同意以上に価値の高いものはない」

「右寄りの場合はよく、別の権威、すなわち単なる人の同意を超えた創造主が存在するとされていた」、「よって、これらの二つの側面は一世代にわたって戦争を行った。両者共に、行為主体と自律については合意した。彼らはただ、これらを誰が統治し、どのような制限がかけられるべきかをめぐって争っていただけだった」

「一方新文化戦争の場合、人は制限のない行為主体であり、どれほど道徳的に堕落していようと思うままに行動する自律性があると主張する。もしくは新型コロナウイルスの感染爆発に現れたように、人は行為主体もなにも持たず、完全に誰かの言いなり、政府の保護下に置かれる存在でなければならない、と主張する」

彼は新文化戦争の影響として、ロッカールームのシャワー室でチームメイトと共にシャワーを浴びる少年たちを例に挙げた。

「シャワールームで誰か裸になっている子供がいたとする。おそらく彼は自分とは見た目が違っていたのでしょう。自分よりも恵まれていたか、あるいは恵まれていなかったかもしれないが、それを声に出して言ったりはせず、心の中に留めておくだろう?」

「今はどうだ。私がTikTokでビデオを撮って、こう言ってみる。『ねえ、他の男の子が裸だってことに気づいたんだ。何か私におかしいところはあるのかな?』。すると、どんどん反響が大きくなっていく。ほら、みんなTikTokをやっているでしょ、みんな飛びついてこう言うんだ。『おまえはゲイだ、トランスジェンダーだ、もしかしたら本当に女性かもしれない』などとね」

「それに今、そういった反応を押し返す勇気はないだろう。そうすると君は頑固者だと思われ、非難され、しまいには不貞の烙印を押される。そのようにして、この風潮は勢いを増していき、最後には無意識的に行われるようになる」

「『よし、おかしな方向に向かいはじめているから、一旦ここで立ち止まろう』と唱えるような道徳的基準はない。そして、我々は気づく間もなく診察室に連れ込まれ、性別適合手術のためのカウンセリングを受けるのだ」

このようなことが起きるのは、今日の米国において最も価値があるとされるのが、損得でも、道徳でも、意義でも、思いやりでもなく、「服従」だからだと指摘する。

「自分は政権の意志に、ソーシャル・メディアの大衆に従っているだろうか? それこそが、美徳と容認を実現する形だ。大衆に従うことこそが意義になっているのだ」

反動的な動き

ディース氏は更に、LGBTQの推進は、結局は逆効果をもたらすと指摘する。「我々の多くはとっくの昔に、あるいは今頃までには反発に遭っていると思っていたのではないだろうか。現在、米ビールブランド『バドワイザー』、米小売大手『ターゲット』の株価急落は、今まさに反動が起きていることを示唆している。そしてディズニーについても同じだ」。

彼は、「企業によるLGBTQの推進は、今や数年前ほど不快に思われるものではなくなった」、と述べ、「神への畏れが、米企業に襲いかかっているのではないだろうか」と語った。

「イーロン・マスクは先日、素晴らしい指摘をした。他の時代だったら、投資家たちは、ディズニーやターゲットなどのような上場企業に対してクラスアクション(集団訴訟)を起こしていただろう、『君らの政治的正義のために我々の株を暴落させてなにがしたいんだ?』、とね」

「今の時点ではまだそこまでは至っていない。ただ、彼らは我々を限界ギリギリまで追い詰めたと思い、手遅れになる前に手を引くかもしれない」

ターゲットとバド・ライトはLGBTQイデオロギーを推進してから、ここ数週間の間、ボイコットに直面していた。ターゲットは、プライド月間(Pride Month)の一環として、服や本、家具、カレンダーをはじめとする商品を2千点売り出した。そのうちのいくつかは、子供向けだった。

一方の大手ビール製造会社「アンハイザー・ブッシュ」が保有するビールブランド、バド・ライトは、TikTokインフルエンサーであるトランスジェンダーのディラン・マルバニー(Dylan Mulvaney)氏の顔を缶ラベルに起用し、本人にビール缶を送った。すると、トランスジェンダー問題を推進している、と批判を受けた。同ビール缶のデザインは、マルバニー氏の性転換一周年を記念するためにつくられたものだった。

5月1日〜6月9日の間、ターゲットの株価は725.2億ドル(約10挑1120億円)から586.1億ドル(約8兆1792億円)まで下落し、19%の下落幅となった。一方、アンハイザー・ブッシュの株価は、4月3日〜6月9日の期間に1320.6億ドル(約18兆4184億円)から1094.2億ドル(約15兆2695億円)まで下落し、17%を超える下落幅となった。

エポックタイムズのベテラン調査記者。EPOCH TVの番組「クロスロード」で司会を務める。超限戦、非対称戦、ハイブリッド戦、破壊工作の専門家として知られており、中国共産党や破壊工作などに関する10年以上にわたる調査・研究を通して、世界が直面する脅威と政治情勢に対する独自の見識を持つ。
英語大紀元記者。担当は経済と国際。
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