教師による性的被害を訴えた女性に実刑 「当局にはめられた」との声も=中国 山東

2023/12/13
更新: 2023/12/13

「10年前まで、教師から性的虐待を受けていた」。そう告発した山東省の女性がいた。ところが地元の司法当局は、この女性を逆に「有罪」と認定し、2年2か月の実刑判決を言い渡した。

今年8月25日、山東省に住む李璐さん(仮名)は、1審で「恐喝・脅迫、個人情報侵害」の罪で2年2か月の実刑判決を受けた。そのほか、罰金7千元(約14万円)の支払いを命じられた。

李さんは、この判決に不服を申し立てた。二審予定日の11月23日が近づくと、裁判所は一方的に審議の延期を決定したため、ネット上で注目された。ネット上では「(李さんは)当局に、はめられたのだ」との声もある。

今回の李さんのケースは公安、陳情部門、県政府、裁判所など複数の地方政府部門が関与しており、ここに至るまでには非常に複雑な背景がある。

2019年初め、当時32歳の李さんは、10数年前の中学校3年生の時、および高校や大学在学中に受けた継続的な性的暴行について告発した。加害者は「史」という、中学当時のクラス担任兼数学教師だった。

はじめの告発から半年後、山東省陽信県の公安局は「本人の一方的な主張以外に証拠がない。立件の条件を満たしていない」という理由で、これについての立件を拒否した。

しかし、陽信県の規律監察委員会は李さんの告発を受理した。彼女が提出した証拠や調査結果に基づいて、加害者の「史」に対して「重大な警告」をしたほか、役職の降級などの処分を下した。

それ以来「史」は、李さんと何度も衝突を起こした。そのなかで李璐さんは、実際に「史」から暴力を振るわれて、けがを負っている。

この件で地元の公安当局は介入したが、公安当局の加害者に対する処罰が不十分であり「不公正」と感じた李さんは、公安局を相手取り、裁判を起こした。

裁判は最終的に李さんが勝訴した。しかし現地の公安当局は、裁判所の判決に則した公務を執行しなかった。そこで李さんは、この件についての陳情を始めた。

2022年7月、李さんは県の陳情局に赴いた。陳情することは、もちろん市民の合法的な権利である。

ところがその時、李さんは、陳情を受け付けした職員が「県が公表している公職者と一致しない」ことを発見。それを疑問視して、陳情局に問い詰めた。

李さんはこのことで、陳情局の劉局長を怒らせることになった。李さんは、自身に暴言を吐く劉局長の様子を動画に撮り、SNSに投稿して注目を集めた。翌日、局長は解任された。

その後、李さんは官僚から暴言を受けたことをめぐって、県政府や県陳情局、劉局長に対して精神的被害を受けた賠償として、それぞれ10万元(約205万円)の慰謝料を求めた。

昨年8月、関連部門および責任者の立会いの下で、李さんと劉氏(元県陳情局長)は賠償問題を話し合うために面会した。この時、劉氏は李さんに10万元を賠償することに同意し、その場で2万元を振り込んだ。しかし後に、劉氏は「李璐に恐喝された」と訴えて警察に通報した。

こうして李璐さんは「恐喝と脅迫」の容疑で拘束され、今年8月25日に県裁判所から2年2カ月の実刑判決、および罰金7000元(約14万円)に処されることになる。

ネット上では「明らかに当局にハメられた」と李さんに同情する声が上がっている。

しかし、その一方で「中共の腐敗した官界が、市民を懲らしめたい場合、いくらでも方法はある」といった嘆きが広がっている。

 

画像は、山東省陽信県の公安局が、李さん家族に宛てた「拘留通知書」。(中国のSNSより)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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