トランプ大統領は5月13日、サウジアラビアの首都リヤドに到着し、2期目の任期における初の本格的な海外歴訪を開始した。
今回の歴訪では、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)の3か国を訪問し、経済・安全保障分野での連携を強化する狙いだ。
ホワイトハウスは今回の訪問を「中東への歴史的な再訪」と位置付けており、空港ではムハンマド・ビン・サルマン王太子が出迎えた。トランプ氏が再びサウジを最初の訪問先に選んだことは、湾岸諸国との戦略的関係を重視する姿勢を改めて示すものとみられる。
今回の訪問は、イスラエルとイスラム過激派ハマスとの紛争、インドとパキスタンの緊張の再燃、さらにはイスタンブールで調整が進むウクライナ和平交渉の行方など、地域の不安定要因と国際情勢の大きな変動が重なる中で実施された。こうした動きは、訪問スケジュールに影響を与える可能性もある。
訪問中には、サウジアラビアとカタールとの間で大規模な投資協定と防衛関連の契約が交わされる見通しで、アメリカのAIやエネルギー分野への資本流入が期待されている。初日のリヤドでは、サルマン氏との会談後、「アメリカとサウジの投資フォーラム」に出席し、経済協力の拡大について協議する予定。
サウジ政府は今後4年間で6千億ドル、UAE政府は10年間で1.4兆ドルをアメリカに投資すると表明しており、両国ともAI、半導体、エネルギーなど戦略分野への関心を強めている。
また、カタール政府は新たなアメリカ大統領専用機(エアフォース・ワン)として使用される予定の航空機を寄贈すると発表。トランプ氏は「素晴らしい贈り物だ」と述べ、退任後は大統領図書館に寄贈する考えを示した。
防衛面では、サウジアラビア向けの1千億ドル規模の武器供与計画が発表される見通し。地域の安全保障をめぐっては、イスラエルとハマスの衝突、イランの核問題、パレスチナ難民の将来などが主要議題となる。
訪問日程は5月13〜16日の予定だが、状況に応じて変更の可能性もある。トランプ氏は、ウクライナのゼレンスキー大統領とロシアのプーチン大統領による会談がイスタンブールで開催される可能性があるとして、トルコ訪問も検討していると語った。
一方、一部報道で取り沙汰されたシリアのシャラア大統領との会談については、米政府高官が否定している。ただし、トランプ氏は「制裁解除の可能性にも言及しており、シリアに『新たなスタート』を与えるべきか検討する」と述べている。
また、トランプ氏はガザ地区に拘束されていた最後のアメリカ人、エダン・アレクサンダー氏の解放を発表。「他の人質も解放されることを期待している」と語り、ハマスに捕らえられている人質はまだ20人ほどいると推定される。
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