出入国在留管理庁によると、2024年末時点で日本の在留外国人は376万人となり、前年末から35万人(10.5%)増加し、3年連続で過去最多を更新した。国籍別では中国が最多の87万人、次いでベトナムが63万人、韓国が40万人となっている。
自民党の小野田紀美参院議員は、5月12日の参院決算委員会において、近年急増している在留外国人をめぐる日本の管理体制について強い危機感を表明している。小野田氏は、出入国在留管理庁の人員体制が現状のままで十分に対応できていないことや、在留資格をめぐる制度運用の問題点を指摘し、抜本的な見直しを求めた。
小野田氏は特に、在留資格「特定活動」や外国人留学生の就労制度について、「制度が乱発されている」との懸念を強調した。具体的には、大学卒業後に在留資格「特定活動」を取得した留学生が、家族の帯同を認められ、在留年数の上限なく日本で就労できる現状を問題視。「法律を改正せずに運用で拡大している」とし、「政治の圧力で特定活動が乱発され、審査や書類、情報が混乱している。そろそろ制度を整える時期だ」と訴えた。
また、留学生の就労について、「世界のルールでは留学生は労働できないのが一般的だが、日本では労働力不足の補填や大学の学生数の水増しに使われている」と述べ、制度の見直しを求めた。
日本においては週28時間以内(長期休暇中は1日8時間)と留学生の就労制度を認めているが、2023年には約32万人の留学生が日本で学業とアルバイトを両立しており、留学ビザの目的と就労実態の乖離が見られる。
政府は「適正な運用を進めたい」と答弁したが、小野田氏は「国民が納得する管理体制の構築が必要だ」と重ねて訴えた。
さらに、小野田氏は出入国在留管理庁の「入国警備官」の人数が横ばいであることにも触れ、「急増する外国人観光客や労働者を現状の人員で管理できるのか」と問題提起し「情報の電子化と関係機関の連携を進め、必要な情報を効率的に確認できるシステム構築が必要」と述べ、管理体制の強化を訴えた。
これらの問題は単なる「管理体制の不備」という枠を超え、日本の国家としての安全保障・治安維持に直結する問題にもつながってくる。
近年、中国からの訪日旅行ツアーに参加した観光客が無断で団体から離脱し、行方不明になるケースも相次いでいる。
中国の旅行業界関係者によると、2024年5月と6月だけで十数件のツアーで離脱が発生し、「前例のない数字」だと指摘された。特に広東省発の大阪・京都ツアーで多くの離脱者が出ており、日本当局は中国の11の旅行会社に対し、訪日観光ビザの代理申請権を停止する措置を取った。この背景には、旅行会社が申請希望者に偽の書類を提供し、不法滞在に加担した疑いがあるとされる。
日本の広州総領事館は、こうした事案を受けて、ビザ申請の審査を厳格化している。
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