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USスチール買収劇に転機 日本製鉄「英断に心より敬意を表する」

2025/05/24
更新: 2025/05/24

日本製鉄は24日、トランプ米大統領が同社による米USスチールの買収計画についてSNSでコメントを発表したことを受け、「パートナーシップを承認した大統領の英断に心より敬意を表する」との声明を発表した。トランプ大統領は23日、自身のSNS「Truth Social」で、日本製鉄とUSスチールによる「パートナーシップ」を支持すると表明し、買収計画が大きく前進する形となった。

トランプ大統領は投稿で、「USスチールは今後もアメリカに残り、本社はピッツバーグに維持される」と強調した。さらに、「このパートナーシップは今後14か月で少なくとも7万人の雇用を創出し、米経済に140億ドルの投資をもたらす」と述べ、米国内での大規模な設備投資や雇用創出への期待を示した。

今回の発表は、バイデン前大統領が国家安全保障上の懸念から日本製鉄による買収を阻止した経緯を覆すものとなった。トランプ大統領も当初は「USスチールは米国企業であるべき」と述べて買収に否定的だったが、日本製鉄が米国内での投資拡大を約束したことで方針を転換した。

一方、買収の詳細や最終的な所有権の構造については現時点で明らかにされていない。米政府の対米外国投資委員会(CFIUS)は安全保障の観点から買収案を審査しており、今後数週間で最終的な合意に向けた調整が続く見通しだ。

アメリカの工業技術ニュースサイトmining-technologyによると日本製鉄は、USスチールの主要工場であるインディアナ州ゲーリーやペンシルベニア州モンバレーでの設備投資をすでに約束しており、米国内での生産基盤強化と雇用維持を掲げている。

USスチールの労働組合は依然として買収に懸念を示しており、「日本製鉄は過去に不公正な貿易慣行を繰り返してきた」と主張し、国内雇用や産業への影響を警戒している。

トランプ大統領の承認表明を受けて、USスチールの株価は急騰し、市場では買収実現への期待が高まっている。今後の交渉の行方が注目される。

大道修
社会からライフ記事まで幅広く扱っています。