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米連邦準備制度に中国共産党が浸透 新証拠とスパイ事件を暴露

2025/08/07
更新: 2025/08/07

アメリカ連邦準備制度(Fed)で中国共産党による組織的浸透工作と経済スパイ事件が発覚した。複数の職員が機密情報を中共に漏洩し、国家安全保障への脅威が高まっている。

アメリカの保守派政治記者ナタリー・ウィンターズ氏は8月4日、自らの調査報道において、中国共産党(中共)が長年にわたり米連邦準備制度(Fed)に対して組織的な浸透工作を行い、スパイ活動を通じて米国経済の生命線を掌握しようとしている実態を明らかにした。

ウィンターズ氏は米上院および司法省の報告書を根拠に、中共がハニートラップ、経済的利益供与、学術交流、脅迫など多様な手段を駆使してFed職員に影響を与え、敏感な経済データを盗み取り、アメリカの金融政策に干渉する工作を行っていると指摘する。

少なくとも13名のFed職員が「赤く染められた」

2022年に米国上院国土安全保障・政府問題委員会が発表した報告書によれば、Fedの内部防諜部門は全米8地域準備銀行において中国と関係があると判断される13名の職員を特定し、これらの人物を「Pネットワーク」(P-Network)と命名した。

これら職員はすべて、中共に関連する行動パターンを示し、違法なデータ転送、中共の公式機関との秘密接触、中共の人材計画への参加などの行為を行っていた。

報告書とその後の調査は、中共による浸透行為が根拠のないものではなく、以下の具体例がそれを裏付けている。

【ケースA】訪中時に資料提出を強要

2019年、あるFed職員が上海滞在中に中共側人員に4度拘束され、ノートパソコンおよび連絡先リストの提出を強制された。中共の情報人員は「協力しなければ家族に危害を加える」と脅迫し、秘密保持契約への署名を迫った。この職員は帰国後も機密資料へのアクセス権限を維持していた。

【ケースB】中共中央銀行関連機関に機密モデルを提供

別の職員は、Fedのモデルプログラムコードおよび機密データを中国人民銀行に関連する大学に送信し、協力関係の強化を提案した。

【ケースC】中共の宣伝機関との連携

この職員は中共から資金援助を受けて中国に渡り、客員教授として教鞭を執りながら、新華社と連携してアメリカ金融官僚との非公式ルートでの接触を支援した。

【ケースD】「千人計画」参加を隠蔽

ある職員は秘密裏に中共の「千人計画」に加入し、アメリカの研究資料を盗み出し、大量の情報を中国機関に転送しようとしたが、連邦準備制度には一切報告していなかった。

元上級顧問も関与 司法省が起訴

今年1月31日、米司法省は元連邦準備制度国際金融部上級顧問ジョン・ハロルド・ロジャース氏を逮捕し、長期にわたり中共情報部門に対して敏感な経済データを提供し続けた経済スパイ行為で起訴した。

ロジャースは2013年から中共の工作員と接触し、2018年以降は私用メールや印刷文書を使って資料を漏洩させた。彼は中国の大学で授業を行い、45万ドルの報酬を得ながら、中金公司(CICC)、北京大学、清華大学などで中共の人員に連邦準備制度の機密情報を提供していた。

学術協力は中共浸透の「トロイの木馬」

ウィンターズ氏は中共が学術交流を情報収集の隠れ蓑として活用していることを強調する。連邦準備制度のエコノミストが執筆した研究論文の多くが、中共関連機関の学者と共同執筆されており、『前向き金融政策と従来の金融政策ショックの伝達』(復旦大学)、『預金準備率と中国最適安定化政策』(上海交通大学)などがその例である。

表面的な学術協力に見えるこれらの活動は、実際には中共に対する浸透ルートを提供するものであり、特に上海交通大学はスパイ活動との関与が度々指摘され、その卒業生も米国で機密漏洩事件に関与している。

パウエル議長の責任問題

報道では、ジェローム・パウエル連邦準備制度議長が内部スパイリスクへの対応を怠ったことが指摘されている。議会が中共との協力に警告を発しているにもかかわらず、依然として一部の職員が調査対象外であり、報酬や外国との関係申告も行われていない。

2021年に連邦準備制度は職員が「敏感国家」から報酬を得ることを禁じたが、無償協力は依然として容認されており、外国人材計画への参加禁止や国際協力審査制度も未だ確立されていない。

国家安全保障の危機

中共の狙いは明確である。米ドルの主導権を奪い、人民元を代替通貨として押し上げ、世界金融システムを掌握することである。連邦準備制度の内部資料――金利予測、ストレステスト、市場介入戦略――を掌握することは、中共にとって戦略的優位性をもたらす。

ウィンターズ氏は、これは単なる職務怠慢のスキャンダルではなく、「静かな経済戦争」であると警告した。そして、米政府が連邦準備制度に対する外国勢力の干渉を徹底的に調査・改革し、国家金融主権と安全を守る必要性を訴えている。

ナタリー・ウィンターズは、保守派メディア『ウォールーム・バトルグラウンド』の共同司会者である。ウィンターズは長年にわたり中共の対米浸透活動や、政治・学術界のスキャンダルを暴いてきた。今年初め、彼女は『ウォールーム』を代表してホワイトハウス記者室に入り、同番組初のホワイトハウス記者証を取得した記者となった。

王君宜
王君宜