中国湖北省の人権活動家・尹旭安(いん・きょくあん)氏が、重い病を抱えながら当局に治療を妨害されている。長期の拘禁と拷問で体を壊し、命の危機に直面する中、尹氏は近日、外の世界に向けて緊急に呼びかけた。
「もっと多くの人に自分の境遇に注目してもらい、どうか生きさせてほしい」
尹氏は2012年から市民運動に参加し、労教制度廃止や「黒監獄(法律に基づかず市民を秘密裏に拘束する施設)」の追及などで知られた。
2015年以降、たびたび拘束され、2019年には「六四天安門事件30周年」の追悼で再び逮捕された。獄中で重度の障害を負い、最高血圧が300に達する極めて危険な状態にあった。秘密病棟での490日間は監禁と拷問の連続で、体重は激減し、自殺未遂を繰り返すほど追い詰められた。

今年4月に釈放されたものの、尹氏は冠状動脈心臓病や臓器障害を抱えていた。家族は「釈放直後の彼は、息があるだけの状態だった」と形容している。医師からは「北京での緊急手術が必要」と診断されたが、治療を試みるたび公安に妨害され、現在も治療を受けられない。
残酷で非人道的な拷問を受けながらも、尹氏はなお生きたいと願い、必死に命をつなごうとしている。
中国では、政権に異を唱えるまでしなくても、自宅を強制的に壊されても補償がなく、ワクチン接種の深刻な後遺症に苦しんでも救済が得られないといった、ごく基本的な権利を求める声すら許されない。時には治療すら妨害されることも珍しくない。本紙が報じてきた事例も、その一部にすぎない。
(SNSを通じて世界に助けを訴える尹旭安氏)
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