中共メディアがインドのニパウイルス流行を喧伝する背景

2026/02/02
更新: 2026/02/02

近ごろ、インドで発生したニパウイルス感染に関する報道が、中国メディアの複数のウェブサイトで相次いで掲載され、関連話題は微博(ウェイボー)上で急速に拡散し、トレンド入りした。

報道によると、インド東部・西ベンガル州でニパウイルス感染が確認され、これまでに5人が確定診断を受け、そのうち4人は医療従事者で、約100人が隔離措置を受けているという。現在、世界的にこのウイルスに対するワクチンや特効薬は存在しない。

ニパウイルスは極めて高い致死率で知られている。マレーシアのニパ村で初めて確認されたことからこの名が付けられた。ウイルスを保有する果実食性コウモリ(オオコウモリ)が感染源とされ、人は感染した動物や植物(果物)と密接に接触することで感染する。新型コロナウイルスと同様に肺を攻撃するだけでなく、脳にも深刻な影響を及ぼし、致死率は40〜75%に達する。潜伏期間は4日から最長45日で、その長さが隠蔽性と危険性を一層高めている。

果実食性コウモリは主に熱帯雨林に生息しているため、これまでの感染事例はマレーシアやインド周辺に集中しており、多くの中国人にとってニパウイルスはなじみのない存在だった。しかし、中国本土メディアが数日間にわたりニパウイルス流行を集中的に報道した後、中国の武漢ウイルス研究所が国際学術誌に研究成果を発表し、経口ヌクレオシド系抗ウイルス薬「VV116」がニパウイルスの予防・治療に有効であるとする内容を伝えた。

さらに数日後の1月27日には、中国の生物製剤企業「博暉創新」が、独自に「ニパウイルス核酸検出試薬キット(蛍光PCR法)」の開発に成功したと中国メディアが報じ、ニパウイルス病原体の検出が可能だとしている。

こうした一連の動きは、多くの人々に意外な印象を与えた。ニパウイルスは中国人と直接的な関係があるとは考えにくいにもかかわらず、武漢ウイルス研究所が先行して研究と実験を行い、さらに中国の企業がすでに核酸検査キットを開発したという点は、かつての新型コロナ感染拡大と3年間に及ぶ都市封鎖の記憶を呼び起こした。ネット上では「来た。見慣れた光景が全部戻ってきた」との声も上がった。

新型コロナウイルスは当時「武漢ウイルス」とも呼ばれ、中国共産党(中共)は発生源が華南海鮮卸売市場であると主張した一方、アメリカは「研究所からの流出」を指摘してきた。感染は武漢で最初に拡大したが、中共当局は初期段階で流行を隠蔽し、著名な専門家が「人から人へは感染しない」と公言した。しかしその後、武漢は突如封鎖され、多数の市民が感染・死亡した。ウイルスは最終的に中国全土、さらには世界へと拡散し、世界全体の死者数は約800万人に達したとされる。(中国の実際の死者数は含まれていない)

アメリカは一貫して新型コロナの起源解明を求めてきたが、中共はこれを否定し、アメリカに責任を転嫁し、武漢で開催された軍事スポーツ大会に参加したアメリカ人選手がウイルスを持ち込んだと主張。これに対し、ネット上では「アメリカ人が持ち込んだウイルスが世界に被害を与えたのなら、なぜアメリカは起源調査を求めるのか。自分で自分を責めるのか」「100以上の国から選手が参加したのに、なぜこの記事の場所だけが爆発的に感染したのか」といった疑問の声が上がった。

こうした経緯を踏まえ、今回のニパウイルスをめぐって中共が異例の積極姿勢を見せていることに、ネット上では強い皮肉が相次いでいる。

感染が中国に広がる前から、メディアを通じて流行していると報じ、武漢ウイルス研究所の薬剤研究成果や核酸検査キットを発表したことに対し、「まだ中国に広がっていないのに、もう特効薬があるのか」「このスピードを見ると、人為的でないとは信じられない」「もう少し控えめにできないのか。インドで母株が捕獲されたばかりだ」「国内に症例がないのに、なぜ急いで検査キットを作るのか」「これほど早く研究成果が出るとは、国民を全員バカだと思っているのか」といった声が並んだ。

さらに、多くのネットユーザーは、中共のこれまでの対応パターンから、次に登場するのは強制ワクチン接種と核酸検査だと見ている。「また核酸検査をやるのか」「このウイルスの話を聞いたばかりなのに、もう論文を書いて発表している」「論文だけでなく、ワクチンもすでに用意されているのでは」「3回接種分のワクチンはもう揃っているだろう」「今回は何本打たせるつもりなのか」といった投稿が相次いでいる。

新型コロナの流行期間中、中共は「感染防止」を名目で、多くの中国人に深刻な被害をもたらした。人々に強制的にワクチンを接種し、繰り返し核酸検査を受けさせ、隔離施設への移送を強要した。帰る家を失い、病気になっても治療を受けられず、感染死や移送中の交通事故死、さらには餓死やうつによる自殺、飛び降り自殺に至ったケースも報告されている。

こうした痛ましい記憶は、まだわずか3年前の出来事である。にもかかわらず、「再び次の封鎖を準備しているのではないか」との疑念が広がっている。

同時に、3年間の封鎖政策を経た中国社会は、医療保険基金の枯渇、ワクチン後遺症による死亡、失業・解雇の急増、経済低迷と所得減少といった厳しい現実に直面している。生活が立ち行かないと感じる人々は増え続けている。

こうした状況の中、ネット上では中共の宣伝に対する不信感が一層強まっている。「悪魔がまた出てきた」「また人を害するのか」「もう誰も信じない。ウイルスにかかっても、二度とあの連中の罠にははまらない」「博暉創新が検査キットを出したなら、そのうち別の会社がワクチンを発明すると言い出すだろう」「自分で毒をまき、自分で解毒剤を売る」といった書き込みが見られる。

中共の官製メディアによる報道は一方で、ニパウイルスは新型コロナのように空気感染しないと強調しながら、他方で、変異すれば人から人へ感染する可能性を否定できないとも述べている。こうした表現は、ニパウイルスの「機能強化」を示唆するものとして、人々に強い不安を与えている。

実際、2022年にはアメリカの専門家であるスティーブン・クワイ博士が米上院の公聴会で証言し、武漢ウイルス研究所が新型コロナウイルスの機能獲得研究を行っていたと指摘すると同時に、ニパウイルスについても同様の研究が行われていたと述べた。

クワイ博士は書面証言で、「私がこれまで見てきた中で、最も危険な研究だ」と表現している。ニパウイルスが機能獲得によって人から人へ感染する能力を得た場合、その致死的影響は新型コロナ流行の60倍に達する可能性があるという。

分析では、中共が今回、インドで発生したニパウイルス流行を集中的に報じ、効果的な薬剤や核酸検査キットを迅速に打ち出した背景には、武漢ウイルスをめぐる責任追及から目をそらし、イメージを修復する狙いがあるとみられる。

また、前例のない内憂外患に直面する中で、外国の感染症を利用して世論の焦点をそらそうとしているとの見方もある。対外的には、アメリカや国際社会からの追及が強まり、対内的には失業問題や各種事件、高層部の権力闘争が続く中、インドのニパウイルスをめぐる騒動は、こうした危機を覆い隠すには力不足だとの指摘も出ている。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
張菁