スコット・ベッセント米財務長官は9月1日、トランプ大統領とプーチン大統領の会談後もロシアがウクライナへの爆撃を続けていることを受け、ロシアに対する新たな制裁を慎重に検討すると述べた。またベッセント氏は、上海協力機構(SCO)サミットについて「表面的なパフォーマンスに過ぎない」と批判した。
ベッセント氏はFOXニュースのインタビューで、ロシアに対する制裁の可能性について言及した。
「私は、あらゆる選択肢が検討対象にあると考えている。アラスカ州アンカレッジでの歴史的会談、そしてその後、欧州の首脳やゼレンスキー大統領とホワイトハウスで行われた対話や電話会談を経てもなお、プーチン大統領は建設的な行動を取らず、むしろウクライナへの爆撃を激化させるという、極めて忌まわしい手段に出た」とベッセント氏は述べた。
同氏によれば、8月28日にロシアがウクライナの首都キーウ(キエフ)をミサイルとドローンで攻撃し、少なくとも17人が死亡、48人が負傷した事件を受けて、ホワイトハウスは追加制裁を検討しているという。死亡者の中には2~17歳の子供4人も含まれていた。
「トランプ大統領の指導の下、すべての選択肢が検討されている。今週中にこれらの選択肢について、より詳細な分析が行われることになる」と同氏は述べた。
トランプ政権はこれまでにもロシアに対して制裁の可能性を示してきたが、ロシアとウクライナの和平交渉を後押しする目的で、新たな制裁には慎重な姿勢を取ってきた。プーチン大統領との首脳会談後、トランプ大統領は「ロシアが本気で交渉に臨んでいるかどうか、2週間以内に判断する」と述べたが、期限を過ぎても具体的な動きは見られなかった。ただし、トランプ氏は交渉から完全に撤退する可能性も示唆している。
ベッセント氏 上海協力機構はパフォーマンスに過ぎず
ベッセント氏はまた、中国・天津で8月31日から9月1日まで開催れた上海協力機構(SCO)サミットについて、「実質的な問題解決の場ではなく、政治的なパフォーマンスに過ぎない」との見解を示した。
モディ印首相、プーチン大統領、習近平国家主席が揃って顔をそろえた今回の会談に対しても、「注目に値するような実質的成果は期待できない」と冷ややかに見ている。
「仮に中国が西側市場から締め出された場合、現実的な経済的困難に直面することになる。これらの国々の国民の一人当たり所得は高くなく、北京はアメリカ、ヨーロッパ、英語圏経済に大きく依存している」と述べた。
ベッセント氏は、「上海協力機構は毎年同じような内容で開催され、ほとんどが表面的な演出に終始している。インドは実際、ロシアに資金提供しており、中国(共産党)も同様だ。我々と同盟国は、積極的な対応に出るだろう」と警告した。
さらに、「インドは世界最多の人口を抱える民主主義国家であり、その価値観は中国やロシアと比べて、よりずっと我々に近い。上海協力機構は形式的な会議にすぎない」と強調した。
また、米印間の貿易交渉が進展していないことについても触れ、「これはホワイトハウスが関税引き上げを検討する要因の一つになっている」と付け加えた。
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