安倍晋三元首相の辞任後に誕生した4つの政権について、世論調査データを基に就任直後と退任直前の支持率を比較すると、政権ごとに支持構造の違いが明らかになった。特に2025年に発足した高市内閣では、若年層の支持が過去政権と比べ突出して高く、政治的構造の変化が表れている。
菅政権 「安定感」を背景に高支持で発足するも急落
2020年9月に発足した菅内閣を「支持する」と回答した人は66%で、不支持は22%だった。安倍政権の政策継続が期待され、歴代でも高い就任時支持率となった。
しかし、退任直前(2021年9月)には支持率31%、不支持60%となり、1年で支持が半減した。新型コロナ対応の遅れが影響したとみられる。
岸田政権 「穏健路線」で中位の支持からのスタート
2021年10月の就任時調査では、岸田内閣を「支持する」が56%、「支持しない」が28%だった。派手さはないが安定感が一定の評価を受けた形だ。
ただ、2024年9月の退任直前には支持24%、不支持65%と大幅に下落。自民党の政治資金問題への不信が支持離れを招いた。
石破政権 「改革期待」は限定的、就任時支持は50%
2024年9月に発足した石破内閣の支持率は50%、不支持は32%で、過半数は確保したものの歴代平均を下回る水準だった。少数与党の構造が影響したとみられる。
2025年9月の退任直前調査では支持34%、不支持54%となり、政権基盤は終始安定しなかった。
高市政権 若年層が支持を牽引、就任時支持71%
2025年10月の緊急調査によると、高市内閣を「支持する」は71%、「支持しない」は18%で、4政権の中で最も高い発足支持率となった。特に18~39歳での支持が80%に達し、若年層の支持が政権を牽引している点が特徴的である。
4政権の共通点として、いずれも就任時に一定の期待を集めたが、菅・岸田・石破政権は1~3年で支持率が急落し退陣した。高市政権は就任時点で高い支持を得たものの、過去3政権と同じ軌道をたどるかどうかは、政策遂行の速度と結果にかかっている。
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