中国「民族団結法」施行 域外適用に米EU懸念と人権問題

2026/07/03
更新: 2026/07/03

中国の「民族団結進歩促進法」が7月1日に施行された。アメリカとEUは翌2日、この法律について相次いで懸念を表明した。同法は、中国が国外の個人や組織に対して措置を講じる際の法的根拠となる可能性があるとされている。  

中国はことし3月、この法律を可決した。第63条では、「民族団結と進歩を損なう、または民族分裂を引き起こすことを目的とする」国外の組織や個人に対し、法的責任を問うことができると規定している。さらに、すべての中国公民に対して「民族統一と各民族の団結を守る義務」があるとしたうえで、「民族や宗教、人権」を理由に民族問題に干渉する外部勢力に反対するとしている。  

アメリカ:域外での影響に懸念  

アメリカ国務省の報道官は声明で、この法律について「問題がある」と指摘した。その理由として、中国国外にいる人々に対し、中国共産党の掲げる「民族団結」に関する方針の推進を求め、従わない場合には当局による対応を受ける可能性がある点を挙げた。  

また報道官は、「アメリカは主権を守り、外国政府による過度な管轄から個人を保護する」としたうえで、外国政府が国内で対象者に対し、抑圧や威嚇、嫌がらせ、強要などを行おうとする動きに懸念を示した。  

アメリカでは近年、1917年制定の「スパイ活動法」の適用が強化されている。この法律は、外国の代理人による国内での活動を規制することを目的としている。2023年には、ニューヨークで中国の「秘密警察拠点」を運営していた疑いで起訴されたケースもある。  

人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」は、中国政府がニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコ、ヒューストンなどに秘密警察の拠点を設置しているとする報告を公表している。  

EUの指摘と国際法との整合性

EUの報道官も声明で、この法律が少数民族の文化や言語、宗教に関する権利をさらに制限する可能性があると指摘した。  

そのうえで、こうした権利は国際的な人権基準や国連の枠組みに基づき、中国が負う義務として保障されるべきだとした。  

さらに、「この法律の域外適用に懸念を抱いている」としたうえで、「EUは国際法に反する第三国による域外適用に反対する」と強調した。また、EU域内やその他の地域における越境的な弾圧の実施についても、行われるべきではないとの認識を示した。  

人権団体はこれまで、中国が国際刑事警察機構(インターポール)の「レッドノーティス」を活用し、政治的理由で指名手配した人物の国外での拘束を各国に求めていると指摘している。  

台湾への影響と政治的含意

この法律は台湾でも懸念を呼んでいる。中国共産党が「分裂分子」とみなす台湾の人々を対象にする可能性があるとみられているためである。  

台湾の大陸委員会は2日、声明を発表し、台湾は志を同じくする国や地域と連携し、中国共産党の脅威に対応していく考えを示した。  

また声明では、「これは越境的な手段による威嚇や強要にあたる」と指摘した。  

さらに、中国の法制度は台湾には及ばず、台湾政府としても中国の主権主張を認めていないと強調した。  

アムネスティ:運用に懸念  

アムネスティ・インターナショナルは、第63条について、海外の市民や活動家に対する越境的な弾圧を正当化するために用いられる可能性があると指摘した。こうした人々は、中国の非公式な警務拠点や、学生団体・文化団体などのネットワークによる監視を受けているとされている。  

同団体のサラ・ブルックス副地域ディレクターは、「どこにいても、中国の少数民族の権利を平和的に訴えるだけで、『民族団結』を損なうと見なされる可能性がある」と述べた。  

そのうえで、この文脈で使われる「団結」という言葉について、「異なるコミュニティ間の調和ではなく、中国政府の政治方針への一致を意味している」との見方を示した。

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