高市首相 イラン大統領と電話会談 ホルムズ海峡の「追加負担なき安全航行」を要求

2026/08/13
更新: 2026/08/13

高市早苗首相は8月12日午後、イランのペゼシュキアン大統領と電話会談を行った。焦点となったのは、日本の原油輸送の生命線であるホルムズ海峡の航行を巡る問題である。首相は、追加的な費用を伴わない自由で安全な航行の確保が重要だと強調し、海峡利用国を含む国際社会と丁寧に協議するよう求めた。両首脳の電話会談は、2月末に始まった米国・イスラエルとイランの軍事衝突以降、4回目となる。今回の会談は約20分間行われた。

ホルムズ海峡はペルシャ湾と外洋を結ぶ狭い海峡で、日本が輸入する原油のおよそ9割がここを通過するとされる。首相があえて「追加的な費用」に言及した背景には、ホルムズ海峡を巡り、イランとオマーンが新たな航路の設定に向けた協議を進めている事情がある。新航路に通航料が課される可能性も取り沙汰されており、海上輸送に依存する日本にとって、輸送コストの増加と航行の自由の制約に直結しかねない問題である。

会談で首相は、ホルムズ海峡の安定的な利用に向けて、イランが関係国との協議を続けていることを踏まえ、「軍事的緊張を緩和し、一刻も早く事態を沈静化することの重要性」を指摘した。さらに、米国とイランが覚書に基づいて協議を進め、核問題を含む最終合意に早期に至る必要があるとの日本の立場を伝えた。その上で、外交を通じた事態の早期沈静化に強い期待を示した。

バブ・エル・マンデブ海峡とフーシ派の脅威にも懸念

懸念はホルムズ海峡にとどまらない。首相は、紅海の出入り口に位置するバブ・エル・マンデブ海峡についても、エネルギー安全保障と海上交通の安全の観点から深刻な懸念を抱いていると伝えた。同海峡周辺で貨物船への攻撃を続けているとされる、イエメンの親イラン武装組織フーシ派に対し、自制を求めるよう強く働きかけた。

日本は、ホルムズ海峡を巡る情勢悪化を受け、紅海を経由する代替輸送ルートの活用を進めてきた経緯がある。しかし、その紅海側でもフーシ派による脅威にさらされている。日本は、二つの海上交通の要衝で同時にリスクに直面している状況である。

これに対し、ペゼシュキアン大統領は、オマーンが仲介するホルムズ海峡を巡る協議の現状と今後の見通しについて、イラン側の考えを説明した。バブ・エル・マンデブ海峡を巡る問題についても、サウジアラビアと対話を重ねながら解決に努めているとの説明があったという。

このほか首相は、邦人保護の観点から、イラン国内で拘束され、4月に保釈された邦人1人に関する案件の早期解決を改めて求めた。この邦人は、NHKテヘラン支局長とみられる人物だと報じられている。

高市政権は、米国との連携を基調としながら、イランとの対話の経路も維持してきた。エネルギーの中東依存度が高い日本にとって、対立の当事国であるイランに対し、首脳レベルで直接、自制と協議を求められることは外交上の重要な基盤となる。首相官邸は、今後もイランとの緊密な意思疎通を続ける方針を示している。