台湾・台北で開かれた「2026台日外交国防フォーラム」で、日本の超党派国会議員団と台湾の外交・国防専門家が、台湾有事を見据えた日台安全保障協力を協議した。北村晴男参議院議員は、政府高官の交流や安全保障協力を制度化する「日本版台湾関係法」と「日本版台湾旅行法」の制定を提唱した。
台湾と日本の交流を深める「2026台日外交国防フォーラム」が9月9日、台北市の圓山大飯店で開かれた。インド太平洋戦略シンクタンクが主催し、日本の超党派国会議員7人が北村晴男参議院議員を団長として出席した。台湾の外交・国防の専門家らと、台湾有事を想定した日台の安全保障協力について意見を交わした。
北村晴男氏が日本版台湾関係法を提唱
フォーラムは3部構成で行われた。
第1部では、台湾の林佳龍外交部長が「第一列島線は単一の戦区として捉えるべきだ」と述べた。台湾、日本、フィリピンが抱える安全保障上の課題は、それぞれ切り離して考えることはできないと指摘した。
その上で、台湾有事の際、日本が無関係ではいられず、日本の南西諸島に危機が及べば台湾も影響を受けると強調した。日台の協力については、観光、文化、経済に加え、半導体、無人機、サプライチェーン、情報共有、早期警戒、防災・救援などの分野にも広げる必要があると述べた。
北村氏は、「日本版台湾関係法」と「日本版台湾旅行法」の制定を目指す考えを示した。政府高官の交流や安全保障協力を制度化する基盤を整え、日米台の連携を深める必要があるとした。将来的な共同軍事演習の実施にも期待を示した。
中国生まれで2007年に日本国籍を取得した石平参議院議員は、日台の国交回復と、米国を含む日台米の連携強化を訴えた。「中国共産党に幻想を抱いてはならない」と述べ、台湾が享受する自由と繁栄は得難いものであると指摘した。
また、政権維持のためには手段を選ばない中国共産党の脅威に、日台はともに直面しているとし、地政学的に見れば日台は「運命共同体」であると述べた。
石平氏は昨年9月、台湾や尖閣諸島などをめぐる発言を理由に、中国共産党政府から中国への入国禁止と中国国内資産の凍結を含む制裁を受けている。
日台の防衛協力を阻む法的・制度的課題
第2部の国防対話では、日本維新の会の三木けえ衆議院議員が、日本の防衛費をGDP比2%に引き上げ、将来的には3〜5%も視野に入るとの見通しを示した。台湾有事は日本の安全保障に直結すると指摘した。
参政党の梅村瑞穂参議院議員は「台湾海峡の問題は日本自身の問題だ」と述べた。沖縄が第一列島線防衛の最前線に位置すると指摘し、両法の制定を今回の訪台における重要な目的の一つに挙げた。
日本維新の会の西田薫衆議院議員は、7人による訪台は、日本政界の対台湾政策の変化を示していると述べた。
台湾国防大学政治作戦学院の前院長、余宗基氏は、トランプ政権の「オフショア・バランシング」戦略の下で、日本の役割が大きくなっていると分析した。日本の防衛政策については、「専守防衛」から、より積極的な防衛へと変化しているとの見方を示した。
また、安倍晋三元首相が「台湾有事は日本有事」と発言して以降、日台関係は「戦略的曖昧さ」から「戦略的明確さ」へ移りつつあると述べた。
一方、日台の協力を進める上では、法的枠組みが十分に整っていないこと、装備や技術の移転が難しいこと、正式な調整機構がないことの3つが課題だと指摘した。
有事の際の日本の対応としては、自国領土の防衛に限定する対応、人道支援と米軍への後方支援、宮古海峡などの要衝における限定的な共同防衛、攻勢作戦も排除しない全面的な共同作戦という4つの想定を挙げた。
その上で、法整備が進むまでは、情報共有や認知戦の分野から協力を始め、段階的に安全保障協力を深めるべきだと述べた。
半導体・海底ケーブル・CPTPPをめぐる経済安全保障
第3部の外交対話では、日本維新の会の横田光弘衆議院議員が、台湾の半導体設計・製造技術と、日本の素材・製造装置を組み合わせる協力の可能性に触れた。CPTPP=環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定の重要な一員として、台湾の加盟を後押しすべきだと述べた。
国民民主党の山田吉彦参議院議員は、協力を政府間にとどめず、国会、民間、企業にも広げる必要があると指摘した。海底ケーブルの安全確保を訴えるとともに、造船・海運における中国への依存や労働力不足の課題についても、官民一体で取り組むべきだとした。
開南大学の陳文甲副学長は、非公式な関係でありながら、日台の協力は深い水準に達していると述べた。2022年の日台断交50周年には、「日台友情」を掲げた記念ロゴが作られ、双方の絆を示したと振り返った。
その上で、「台湾有事は日本有事」が単なるスローガンにとどまるべきではなく、政策と法律によって具体化される必要があると強調した。高市早苗首相の就任後、日台関係は「量的変化」から「質的変化」へ移りつつあると述べ、北村氏らによる両法制定の提唱を歓迎した。
国会議員には立法権があり、両法が実現すれば、産業協力や経済・貿易関係の制度化につながるとの期待を示した。
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