中国では7月、複数の経済指標が市場予想を下回り、消費の低迷が目立った。エネルギー需要も弱まり、一定規模以上の工業企業の原油処理量と原炭生産量は大幅に減少した。発電量も約3年ぶりに前年同月を下回った。
原油処理量、15.8%減
中国国家統計局が17日に発表したデータによると、7月の一定規模以上の工業企業の原油処理量は5311万トンで、前年同月比15.8%減だった。1日平均では171万3000トンとなった。
1月から7月までの累計は3億9700万トンで、前年同期比6.5%減だった。
国内生産と輸入を合わせた7月の原油供給量は、前年同月より1132万トン減少した。国内生産は1827万トンで、2025年7月より15万トン増えた。一方、輸入は3573万トンで、前年同月より1147万トン減少した。
石炭生産も10.1%減少
7月の一定規模以上の工業企業の原炭生産量は3億4000万トンで、前年同月比10.1%減だった。1月から7月までの累計は27億トンで、前年同期比2.9%減となった。
原炭の輸入量は4272万トンで、前年同月より712万トン増えた。しかし、輸入の増加では国内生産の減少を補えず、国内生産と輸入を合わせた供給量は前年同月よりおよそ3300万トン減少した。
7月の天然ガス生産量は214億立方メートルで、前年同月比0.9%減だった。輸入量は1054万トンで、前年同月より0.84%減少した。
発電量、約3年ぶり前年割れ
7月の発電量は9439億キロワット時で、前年同月比0.1%減だった。1日平均の発電量は304億5000万キロワット時である。
国家統計局の月次データでは、発電量が前年同月を下回ったのは約3年ぶりである。発電量は工場の稼働やサービス業の活動を反映するため、景気の動きを示す指標の一つとされる。
景気が拡大すれば、工場の生産やサービス業の活動が増え、電力需要も増える。景気が減速すれば、電力需要は弱まる傾向がある。
消費・投資の低迷が映す中国経済の減速
中国経済の減速が、エネルギー需要を押し下げているとみられる。
7月の主要な経済指標は、市場予想を下回った。一定規模以上の工業企業の付加価値額の伸び率は前年同月比4.5%に鈍化した。社会消費品小売総額の伸び率は同0.6%まで低下した。
1月から7月までの固定資産投資は前年同期比6.7%減で、減少幅が広がった。
消費では、政府の買い替え支援策の対象となる商品が比較的堅調だった。通信機器は前年同月比20.4%増で、前月の16.5%増から伸びが加速した。家電・音響機器は1.9%減だったが、前月の8.7%減から減少幅は縮小した。
一方、自動車は17.0%減、建材・内装関連は14.2%減、金・銀・宝飾品は10.1%減だった。衣料品・靴・帽子類も1.0%減となった。
不動産不況と製油業界に広がる下振れリスク
オックスフォード・エネルギー研究所の中国エネルギー研究責任者、ミハル・メイダン氏はロイター通信に対し、イランを巡る戦争が中国の成長をさらに鈍らせたり、輸出市場に打撃を与えたりすれば、中国の石油需要が一段と下振れするおそれがあると指摘している。
不動産不況は建設業に打撃を与え、軽油需要を数年にわたって弱めてきた。住宅価格も下落が続いている。
中国経済の低迷が続けば、プラスチックなど石油化学製品の需要がさらに縮小し、製油業界の収益を圧迫するおそれがある。原油需要の減少にもつながる可能性がある。
AIデータセンターとEV普及下でも弱い電力需要
新エネルギー車の保有台数が増え、AI関連のデータセンターの稼働拡大も進む中で、発電量が減少に転じたことは注目される。製造業や商業、サービス業などの電力需要が弱まり、経済活動が停滞している可能性を示している。
中国当局によると、2025年のAIデータセンターの電力消費量は1700億キロワット時で、全国の電力消費量の1.6%を占めた。2026年6月末時点で、新エネルギー車の保有台数は4897万台で、自動車全体の13.19%を占めた。このうち電気自動車は3367万5000台である。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。