中国共産党(中共)軍内の粛清は続いている。ロケット軍では歴代4人の司令員が相次いで失脚した後、中共当局はこのほど、同部隊の調達をめぐる違法・不正行為に関する情報提供をあらためて募集した。調査対象は物資・サービスや工事にとどまらず、副食品、医薬品、消耗品など、末端の後方支援物資の調達にまで及んでいる。
専門家は、軍内部の腐敗が深刻化していること、そして習近平政権が徹底した粛清に踏み切らざるを得ない状況が浮き彫りになっていると指摘している。一方で、こうした粛清が長期化すれば、軍内部に不満や動揺が広がると指摘している。
ロケット軍 調達不正の情報提供を募集
8月24日、中共軍調達ネットワークは、「ロケット軍部隊における不正調達問題に関する情報提供の募集について」と題する公告を発表した。
公告は、ロケット軍の調達に関与した供給業者、審査専門家、入札代理機関、入札代行業者のほか、軍内部で案件に関係した者に対し、不正調達に関する情報提供を呼びかけている。対象となるのは、ロケット軍が実施する物資・サービス、工事、副食品、医薬品、消耗品などの調達をめぐる不正行為である。
2023年7月26日には、中央軍事委員会装備発展部が、2017年10月以降に実施した装備調達の入札・審査における専門家の規律違反や不正行為について、情報提供を募る公告を出していた。この調査は2017年10月までさかのぼるもので、当時、装備発展部を率いていた李尚福・前国防相を念頭に置いたものとみていた。その後、ロケット軍をめぐる一連の粛清につながった。
今回の公告と2023年の公告には、いくつかの重要な違いがある。

中国問題の専門家、李林一氏は大紀元に対し、魏鳳和、周亜寧、李玉超、王厚斌という歴代4人のロケット軍司令員が相次いで失脚し、さらに、装備部門の関係者にも調査が及んでいる。ロケット軍内部の粛清は終わっておらず、その対象範囲は一段と拡大していると述べた。
歴代4司令官の失脚と続く人事の混乱
2023年7月31日、中共党首習近平は、2020年から海軍副司令員を務めていた王厚斌をロケット軍司令員に任命し、空軍出身の徐西盛を同軍の政治委員に起用した。この人事は、李玉超・前司令員と徐忠波・前政治委員が事実上更迭されたと受け止めた。海外メディアの一部は、両氏の失脚は機密漏洩と関係していると報じている。
2025年10月17日、中共第20期中央委員会第4回全体会議を前に、中共軍は、政治局員で中央軍事委員会副主席の何衛東ら9人について、「特に巨額の」職務犯罪の疑いがあるとして党籍・軍籍を剥奪し、軍事検察機関に送致したと発表した。9人の中には、就任から2年余りロケット軍司令員だった王厚斌も含まれていた。
中共当局が公表した情報によると、ロケット軍で処分または調査の対象となった人物には、次の者が含まれる。

このほか、元ロケット軍副司令員の劉光斌も、当局が公表していない調査対象者だという。香港メディアによると、同氏は2023年4月に連行され、調査を受けた。全国人民代表大会(全人代)の代表でも、中共中央委員会の委員・委員候補でもなかったため、中共当局は同氏に対する調査を正式には発表していない。
また、2023年7月末に習近平が任命したロケット軍政治委員の徐西盛も、2025年10月ごろから公の場に姿を見せなくなった。ロケット軍の元副司令員、呉国華・中将についても、死去から約1か月後に「病死」として公表している。
同じ時期には、軍や軍需産業の高官に対する調査も相次いだ。中央軍事委員会委員、国務委員兼国防相を務めた李尚福も調査対象となった。
2026年5月、中国の軍事裁判所は魏鳳和と李尚福にそれぞれ死刑・執行猶予2年の判決を言い渡し、全財産の没収を命じた。執行猶予期間の満了後に無期懲役へ減刑された場合も、終身収監とし、減刑や仮釈放は認めないとした。
習近平政権の軍内粛清 長期化の反作用
ロケット軍は、中共が2015年末に実施した軍改革で、第二砲兵部隊を改編して発足した部隊である。地上発射型の核・通常戦力のミサイルを管轄している。
ブルームバーグは2024年1月6日、関係者の話として、品質の劣るミサイルや主要兵器の不具合が、中共軍内の粛清の一因になったとの米情報機関の評価を報じた。評価では、ミサイルに燃料ではなく水が入っていた例や、中国西部にある多数のミサイルサイロで蓋が正常に開かず、ミサイルを有効に発射できないことなどが挙げられた。
李林一氏は、今回の情報提供募集で、末端の後方支援物資の調達にまで調査対象が広がっていることは、軍内の腐敗ネットワークが複雑に絡み合っていることを示すと指摘した。徹底した調査が進めば、現役の将官だけでなく、多数の退役将官にも影響が及ぶ恐れがあるという。
同氏はさらに、習近平政権による長期的な粛清は軍内の動揺を招き、習近平への反発を強めかねないと分析した。こうした動きが統治上の危機を深め、最終的には政権に逆効果をもたらす危険性もあると述べた。
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