韓国で、中国製コネクテッドカーの軍事基地への出入りをめぐり、安全保障上の懸念が強まっている。国会議員が入手した最新資料によると、高精度センサーや通信機能を備えた中国製コネクテッドカー約200台が、韓国各地の軍事基地に出入りしていることが分かった。
これらの車両には複数のカメラやGPSなどが搭載されており、軍事機密に関わる情報がリアルタイムで中国共産党の情報機関に送信される恐れがあるとの指摘が出ている。
中国製コネクテッドカー190台超 韓国軍の主要施設に出入り
韓国紙「朝鮮日報」が10月16日に報じたところによると、国民の力の姜大植議員が前日に入手した最新資料で、BYDなど中国メーカーのコネクテッドカー少なくとも190台が通行登録され、韓国国防部や陸海空軍の主要施設への出入りを認められていることが分かった。
対象には、機密性の高い軍事施設も含まれている。
空軍基地
韓国最新鋭のF-35ステルス戦闘機を配備する忠清北道・清州の第17戦闘航空団や、先月、国産超音速戦闘機KF-21の初号機が引き渡された慶尚北道・醴泉の第16戦闘航空団。
海軍の戦略拠点
米空母が寄港する釜山の海軍作戦司令部や、潜水艦部隊の重要拠点である慶尚南道・鎮海の潜水艦司令部。
軍の指揮中枢
国防部、合同参謀本部のほか、忠清南道・鶏龍台の陸軍本部、京畿道・龍仁の地上作戦司令部、特殊戦司令部などである。
未登録車両も頻繁に進入 海軍施設だけで今年565回
これに先立ち、共に民主党の金炳周議員が10月初めに公表した国会資料からも、同様の問題が浮かび上がっていた。
金氏が軍から入手した暫定集計によると、登録されている中国製コネクテッドカーは135台で、内訳は陸軍44台、海軍42台、空軍41台、海兵隊8台だった。
このうち118台は将校や下士官らの所有車で、残る17台は配送、工事、点検などのために出入りする外部車両だった。
さらに、未登録車両の管理にも問題があることが分かった。
海軍施設だけでも、今年に入って未登録の中国製コネクテッドカーが延べ565回進入しており、鎮海海軍基地司令部、海軍軍需司令部、潜水艦部隊司令部などの主要施設に繰り返し出入りしていたという。
姜氏の最新調査と合わせると、軍が中国製車両の出入りを十分に把握、管理できていない実態が浮かぶ。
「車輪のついたスパイ」 LiDARや通信機能に情報流出の懸念
コネクテッドカーには一般に、多数のカメラ、高精度GPS、レーダー、LiDAR、マイクなどが搭載されている。
LiDARはレーザーを使って周囲の形状を測定し、3次元地図の作成などに使われるセンサーで、こうした車両は通信網を通じて周辺のデータをリアルタイムで送信する機能を持つ。
中共の国家情報法は、すべての組織と国民に対し、国家の情報活動を支持し、これに協力するよう定めている。
このため、韓国の軍事基地内で車両が取得した位置情報や地形、映像などが、中共情報機関に渡る可能性があるとの懸念が出ている。
エストニア対外情報局も2024年の報告書で、中国企業が開発したLiDARシステムが車両周辺をスキャンし、その情報を中国国内のデータベースに送信しているとの情報があると指摘した。
また、中国製技術を使用した自動運転車が情報収集に利用される恐れについても警告している。
「iPhoneは制限、中国車は無規制」 軍内部から疑問の声
韓国軍内部からも、現在の対応を疑問視する声が上がっている。
軍関係者の一人は、「軍事施設では安全保障上の理由から、iPhoneの使用さえ厳しく制限され、カメラ部分にシールを貼ったり、録音機能を制限したりしている。それにもかかわらず、多数のカメラやセンサーを搭載した中国製車両には何の規制もない。あまりにもおかしい」と指摘した。
米国では、中国と関係のあるメーカーによる2027年モデル以降のコネクテッドカーの販売を禁止する措置が決まっている。EUも今年3月、データ流出リスクに関する安全保障審査に着手した。
韓国国防部も今年4月の会議で、「軍事関連施設で映像情報が収集されれば、安全保障上の脆弱性につながる」と認めていた。
しかし現在も、中国製コネクテッドカーの軍事基地への出入りを規制する具体的な措置は設けられていない。
姜氏は、「韓国の軍事施設に関する情報がいつ中国に流出してもおかしくない。政府の問題認識と対応は著しく不十分だ」と批判した。
金議員も、政府と軍に対し、まず主要軍事施設から中国製コネクテッドカーの進入を制限するとともに、基地に出入りするすべての車両について安全基準を全面的に見直し、国家安全保障に関わる情報の流出を防ぐよう求めた。
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