「坊や よい子だ ねんねしな」
現在、40代以上の人なら、一回は聞いたことがあるだろう懐かしい歌詞のオープニング。
1975年の放送開始から50年を迎えたアニメ『まんが日本昔ばなし』の公式動画配信(VOD)サービスの開始に向け、制作を手がける愛企画センターが準備を進めている。
公式Xアカウント(@aikikakucenter)で明らかにした。サービスの売上全額を作品のデジタル化費用に充て、未デジタル化の1千話以上を後世に残すことを目指す。
『まんが日本昔ばなし』は1975年から1994年まで、市原悦子と常田富士男の2人の俳優が、子どもから老人、農民から殿様、怠け者から働き者まで、全ての役柄の声をこなし、馴染み深い音楽と、味わい深い絵で、20年もの長い間、日本の茶の間を楽しませてきた。
内容も楽しかったり、怖かったり、可笑しかったり、厳しかったり、日本各地の様々な昔ばなしがあり、そうした話の中から、人を思いやる心や自然への敬意、正直さの尊さ、人間の愚かさや世の中の理不尽さなど、日本人が長い年月をかけて育んできた知恵や倫理観を描いてきた。
必ずしも幸福な結末ばかりではなかったが、何が正しく、何が大切なのかを考える機会を視聴者に提供してきた。
公式アカウントは、刺激的なコンテンツがあふれる現代だからこそ、物語を観て考え、家族や周囲の人と語り合う時間が必要だと訴えている。かつて作品を観て育った世代が親や祖父母となり、子どもや孫と一緒に鑑賞することで、新たな思い出として受け継がれることを期待している。
また、家庭だけでなく学校や地域での活用、日本各地の伝承地に残る歴史や文化の保存、海外の子どもたちへの発信も視野に入れる。
公式アカウントは「懐かしいから、残すのではない。これからの日本に、そして世界に、必要な物語だと信じているから、残したい」と作品継承への思いを表明した。
一方、作品の保存には課題もある。全1467話のうち、現在デジタル化されているのは一部にとどまり、1千話以上が未デジタル化の状態にある。フィルムやテープ自体は良好な状態で保存されているものの、すべての作品をデジタル化するには多額の費用と時間が必要となる。
こうした課題を解決するため、愛企画センターは公式VODサービスを通じて得られる売上の全額をデジタル化費用に充当する方針だ。視聴者が作品を観ることで、未デジタル化作品の修復や復元を進める仕組みを構築し、次の50年、100年へと作品を継承していく。
同センターは、動画配信だけでなく「作品を知り、好きになり、誰かに伝え、未来へ残していく場所」をつくることを目指している。
さらに、麻布台ヒルズでの開催に続く全国各地でのイベントや、公式ECサイトでのグッズ販売も準備している。いずれも作品を未来へ残す取り組みの一環と位置付ける。
今回の計画では、長年作品を支えてきたファンの意見も重視している。公式Xでは、VODサービスに求める機能や視聴したい作品、イベント開催を希望する地域、販売してほしいグッズなどについて、広く意見を募集している。
公式アカウントは「この作品を未来へ残すのは、私達だけではありません。どうか、皆さまもその一人になってください」と呼びかけた。
視聴やイベントへの参加、グッズの購入、意見の提供などを通じて、ファンとともに作品を次世代へ引き継ぐ考えだ。
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