トランプ米大統領は22日、イラン紛争に伴う原油高を受け、米国内の石油生産を拡大するため、1950年制定の国防生産法に基づく大統領覚書を発出した。石油の生産・精製から貯蔵、輸送に至るインフラの整備を促し、国家安全保障に必要なエネルギー供給能力の強化を図る。
覚書は、ピート・ヘグセス陸軍長官に対し、石油関連インフラの拡充に向け、物資の購入や契約上の確約、金融支援を進めるよう指示した。対象には、石油の探査・生産施設、貯蔵施設、海上ターミナル、集油・送油パイプラインなどが含まれる。
トランプ氏は覚書で「石油は米軍、産業基盤、重要インフラを支えている」と指摘。「連邦政府が直ちに行動しなければ、米国の防衛能力は供給途絶の危険にさらされ続ける」と強調した。
冷戦期に制定された国防生産法は、国家安全保障を理由に、大統領が国内の産業基盤に介入する権限を認める法律。政府による直接購入や購入契約、融資、融資保証などを通じ、重要物資の生産・供給拡大を促すことができる。
覚書は、供給網の制約や資金調達の困難、インフラ整備・許認可手続きの停滞、事業開始までの長い期間などを挙げ、同法に基づく措置が必要だと説明。石油の生産・精製・物流能力の拡充は、国家防衛を損なう重要資源や技術品目の不足を防ぐために不可欠だとした。また、能力増強を急ぐため、同法に定められた通常の法的要件の一部を適用免除とした。
トランプ氏は2025年1月にも、大統領令14156号により国家非常事態を宣言。当時、米国のエネルギー生産、精製、輸送、発電の能力が不十分で、経済と国家安全保障に「異常かつ重大な脅威」をもたらしていると主張していた。
バンス副大統領は先週、テキサス州タイラーにあるデレクUSホールディングス所有の製油所で、国防生産法を活用して燃料生産を拡大する計画を明らかにした。「現在の生産量に加え、商用規格と軍用規格の燃料を数百万ガロン生産したい」と述べた。
トランプ氏は4月にも同法を発動し、石炭の供給網や液化天然ガス(LNG)の供給能力、天然ガス輸送能力の拡大に向けた複数の覚書を発出している。
今回の措置は、2月のイラン戦争開始以降、原油価格が大幅に上昇する中で打ち出された。国際指標の北海ブレント原油は22日時点で1バレル当たり113ドルを超えた。米自動車協会(AAA)によると、米国内のレギュラーガソリン平均価格は1ガロン当たり4.27ドル、軽油は6.30ドルだった。
トランプ氏は22日、11月の中間選挙を前にイランが原油価格のつり上げを図っていると非難。自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、イランは原油価格を押し上げるため「あらゆる手を尽くしている」と主張した。
さらに、ホルムズ海峡の原油通過量は紛争開始前を上回っていると述べ、イランが攻撃や機雷に関する偽情報を流していると批判した。
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