香港警察、デモ参加者らの暗号化ネットワークを検閲 個人特定の企み

2019年11月12日 14時09分

6カ月間続く香港デモの参加者は主に、匿名性の高いチャットアプリを使用して、情報のやり取りを行っている。しかし、警察は暗号化の解除をセキュリティ専門家に要請して、抗議者の身元特定を行うなどしている。

6月以降、犯罪容疑者の中国本土への移送を可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する多くの市民が、大規模な抗議活動に加わった。参加者たちは暗号化されたチャットアプリ「テレグラム(Telegram)」を使用して、デモの計画や、クラウドファンディングの呼びかけ、警察の配置などについて情報収集を行っている。

このアプリは、参加者が、暴力的な鎮圧を行った警察官を特定する場としても使用されてきた。例えば、グループ名「Dadfindboy」は、写真と個人情報(名前、警察のバッジ番号、自宅住所、学歴、ソーシャルメディアのアカウント)を収集して公開した。このグループの参加者は20万2000人を超える。

11月7日までに、グループ「Dadfindboy」は、「テレグラムの利用規約に違反している」ため利用できなくなった。グループのなかでも、取り立てて警察官の個人情報を収集公開してきたアカウント「tanakayotsuba(タナカヨツバ)」は、個人情報を晒した罪で起訴されている。

香港警察は、香港外のサイバー専門家に暗号化の解除を求めるなどして、警官の個人情報を晒すアカウントを操作する人物の逮捕を試みている。

大紀元の取材に応じた匿名のサイバー専門家は、香港の上級検察官から、すでに過去数カ月にわたって、繰り返し「必要なあらゆる手段」を使用して指定人物の身元を明らかにするよう求められていたことを明らかにした。

上級検査官はサイバー専門家への1回目の電話で、グループ「Dadfindboy」とアカウント「tanakayotsuba」の管理者が誰で、どこに住んでいるかを調べるよう協力を要請した。また、テレグラムの暗号化を解除することができるかどうかを尋ねたという。

「警察は無慈悲だ」と、この専門家は述べた。警察はテレグラムに対して管理者レベルの権限を求めていたという。専門家は、要求を拒否した。しかも、要求自身も技術的にはほぼ不可能という。「暗号化には特に、米情報局などの連携が必要だ」と述べた。

テレグラムは、電話番号で登録するチャットアプリ。送信者と受信者のみがメッセージを読むことができるよう工夫され、高い暗号化サービスとして知られている。インターネットサービスプロバイダー、デバイスが接続するWi-Fiルーターの管理者、または他の第三者によって傍受されても、テレグラムが送受信するデータは解読できないという。

大紀元に提供された情報では、香港の上級捜査官は別のサイバー専門家に対して、電話番号に基づいて、テレグラムのアカウントから身元を調査するよう要請した。また、この捜査官は約2000万におよぶ香港のすべての携帯電話の番号を、GPSを利用して、マップ化する機能があるかどうかを尋ねている。

こうした情報は、抗議者たちのネットワークに広がり、警察がチャットアプリを傍聴して、個人の特定に動いていると危惧されている。香港当局は、通信企業に電話番号の所有者の身元を開示するよう要求する可能性がある、とエンジニアは推測している。

今夏、香港のエンジニアのチャットグループは、香港当局がテレグラムの情報安全の脆弱性を利用して、電話帳を同期化して、連絡先を入手していると警告した。アプリの脆弱性が発覚したのち、テレグラムは8月にシステムを更新し、ユーザーはアプリ内で電話番号を隠すことができると説明した。

香港大学ロースクールの弁護士兼教授サイモン・ヤング氏は、警察がSNSを監視しながら調査を行うことは合法であるが、テレグラムは一般に暗号化されたアプリとして作成されているため、サイバー専門家にハッキングを依頼することは「犯罪にあたる可能性がある」とみている。

「さらし上げ」の取り締まり

香港警察は最近、インターネットで警官の個人情報をさらすことを禁止するルールを強化した。10月25日、香港高裁は警官とその家族の個人情報を使用、公開、通信、または開示を禁じる臨時禁止令を発表した。違反者は罰金刑か、禁固刑が下る。

香港司法省と警察署長が正式な禁止令の発布を裁判所に申し入れる予定。民主派議員らは、禁止令に異議を唱え、警察の暴力行為へのチェックが弱まると主張する。

民主派の楊岳橋(アルビン・ヨン)議員は、「この数カ月間、数え切れないほどの暴力事件を目にしてきた。警察の暴力行為を明らかにすることができなくなるならば、他にどのようなチェック方法があるのだろうか」と訴えている 。

AFP通信11月9日の報道によると、著名活動家、ジャーナリスト、議員など抗議活動を支援している約200人がインターネットの「さらし上げ」の被害に遭っていると伝えた。民主派の香港大手紙「蘋果日報(アップルデイリー)」の女性記者は、脅迫電話が何百本もかかってきたと同メディアに告白している。記者は電話番号の一時停止を余儀なくされた。

インターネットで掲載された動画によると、香港警察は、抗議現場で市民や報道関係者に対して、唐辛子スプレーを吹き付けたり、催涙弾を発射するなどの過剰な暴力を振るっている。

警察は、抗議活動に関連するインターネットおよび「さらし上げ」の罪で複数人を逮捕し、起訴している。9月、電気通信業者に務める人物が、会社のコンピューターを使用して警察官の家族の個人情報にアクセスして公にさらしたとして、刑事起訴された。警察はこの人物が「タナカヨツバ」と共謀したという。7月、警察は、同意を得ずに個人データを開示したなど「インターネット関連犯罪」で9人を逮捕したと発表した。

 (アニー・ウー/翻訳編集・佐渡道世)

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