欧州議会、EU・中国投資協定審議を一時中止 人権問題で制裁の応酬

2021/03/25
更新: 2021/03/25

欧州連合(EU)、米国、英国、カナダは22日、中国新疆ウイグル自治区でウイグル人住民の人権を侵害しているとして、中国当局者らに制裁を科するとそれぞれ発表した。中国当局は同日、欧州連合(EU)に対して対抗措置を表明した。これを受けて、欧州議会は、現在行われているEU・中国投資協定の審議を一時停止すると発表した。

EUと中国は約7年間の交渉を経て、昨年12月末に包括的投資協定(EU-China Comprehensive Agreement on Investment,CAI)に関して大筋合意した。協定の批准手続きを完了させるには、欧州議会の承認が必要だ。

EUは22日、ウイグル人住民への人権侵害に関わったとし、中国の高官4人と1団体を制裁対象に指定した。EUの発表を受けて、中国当局は即座に、欧州議会の議員や学者などの個人10人と4団体に制裁を科すると公表した。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、欧州議会国際貿易委員会のウィンクラー・ジュラ(Winkler Gyula)副委員長は同日、中国側の制裁を受け入れられないと述べ、23日に予定されているCAIの審議会を中止すると示した。複数の議員は、中国側の制裁対象リストに同僚の名前が載せられている限り、審議会を行うべきではないと強調した。

中国外務省の華春瑩報道官は23日の定例記者会見で、これらの制裁を「嘘と偽りの情報に基づいている」と糾弾し、さらに「EU側は協力を言いながら、その一方で制裁を行って中国の権益を損なうべきではない」と強い口調で発言した。同報道官は、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺などの各国の歴史を提起し、欧米各国も人権問題において「自らを省みるべきだ」と話した。

ドイツのシンクタンク、グローバル公共政策研究所(GPPI)のトルステン・ベナー所長はRFAに対して、中国の威圧的な態度によって、EUが米国との歩調をさらに合わせ、強硬的な対中路線に転じる可能性があるとの見方を示した。同氏は、中国側の対抗措置で、CAIを提唱するドイツのメルケル首相や他の政治家への支持を失わせているとした。

チェコにある欧州価値観安全保障政策センター(European Values Center for Security Policy)の中国問題専門家、ヤクブ・ヤンダ(Jakub Janda)氏は、欧州各国にCAIの反対派が多くいると指摘した。同氏は、欧州議会が同協定を不承認する可能性は大きくなっているとの見方をした。

オランダ、ベルギー、ドイツ、フランス、デンマークなど8カ国政府はこの数日の間、中国の各駐在大使を呼び出し、抗議した。

(翻訳編集・張哲)

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