各地で続くウイルス感染症の猛威 当局は真の病名を隠蔽するよう圧力=中国  

2024/01/29
更新: 2024/01/30

昨年末から、中国各地で続いている発熱性の感染症は、その勢いが衰えることなく、依然として猛威を振るっている。

各地の病院の発熱外来は感染患者で大混雑し、診療待ちの人々が長蛇の列を作っている。吉林省長春市のある市民は、子供が発症したのでネットで診療の申し込みをしたところ、病院からの返信は「20日待ち」であったという。

民間では、実際の症状と感染力、およびその重篤な病状や病院の医療が有効性をもたないことから、これは「新型コロナウイルス変異株による感染症に違いない」と信じられている。

「新型コロナ」とは診断できない?

しかし中国共産党当局は、あくまでも「コロナではなく、呼吸器系疾患」だと主張する。さらには、現場の医師をはじめとする医療関係者に対し、これを新型コロナウイルス感染症と呼ぶことを禁じている。

そのため、医師が書くカルテや死亡診断書には、季節性の「B型インフルエンザ」など他の病名が記載されている。しかし、それは医師の誤診ではなく、中共当局による政治的な圧力があった結果である。

エポックタイムズは、これまで多くの中国市民に対して取材を行った結果、いま中国で流行している疫病は、依然として「中共ウイルス(新型コロナウイルス)による感染症が主流だ」という多くの民衆の声に接してきた。

中国の人々は今、家族や親族など多くの身近な人々が死亡することが、悲しみを麻痺させるほどの「日常」になっている。

しかしそのような場合でも、医師が記載する死亡診断書など各種の証明書類には、新型コロナではない「他の病名」が記入される。そうした医療現場の不可解な実態が、隠された真実がそこに存在することを、かえって浮き彫りにしているのだ。

「B型インフル」と口をそろえる医師たち

中国疾病予防管理センター主任・彭質斌氏は、25日に開かれた「国家衛生健康委員会」の記者会見のなかで「目下、中国の急性呼吸器疾患はインフルエンザウイルスが主流で、そのうちB型インフルエンザの占める割合が近頃高くなっている。中国では冬から春にかけて、多種の呼吸器疾患が交互に、あるいは同時に流行するだろうと専門家は見ている」と話している。

中国のネット上でも、多くの中国の医師が動画インタビューに答えて「B型インフルエンザが全国を席巻している」と口をそろえる。

しかし「中国の医師が皆、同じことを言う」ところに、真相を隠蔽したい当局の思惑が垣間見えると言ってよい。もちろん医師は、その本当の病名を知っているはずだ。しかし「B型インフルエンザ」と言うしかないのである。

2020年から2022年12月初めまで、中国で約3年にわたって続いたゼロコロナ(清零)政策は、中国の社会と経済に壊滅的な損失をもたらした。

今日の中国の荒廃ぶりは、総じて言えば、中共の悪政が招いた必然的結果に他ならない。その中でも、このゼロコロナの大失策は、それを決定的なものにしたと言ってよい。

しかし、諸悪の根源である中国共産党は、何がなんでも「ゼロコロナ政策によって疫病に勝利した」ことしなければならない。そのため、今後どれだけ人が死んでも、その死因はコロナ感染症ではないことにされてしまうのだ。

中国製ワクチン接種後の突然死

もちろん、民間では「医師は、そのように診断してくれないが、これはやはり新型コロナだ」と信じる市民が多い。

天津市の医療従事者である陳さんは19日、エポック・タイムズの取材に応じ、次のように明かした。

「今の新型コロナ感染症の状況について、政府は公表せず、検査もしない。とにかく何もしないし、関心さえも持たないのだ。また、人々が国産(中国製)コロナワクチンの接種を受けた後、どんな問題が現れようが、当局はそれをワクチンの副反応とは認めない」

陳さんはまた「健康だった人が、国産ワクチンの接種後に突然死するケースが多い」と言う。

医療従事者である陳さんは「天津医科大学医院の本部の入院病棟には、ワクチン接種後に様々な問題を抱えた患者を収容する病室がある。しかし医師は、それがワクチン後遺症であることを隠蔽しなければならない」と、その内実の一部を話した。

検査すれども「打つ手」なし

エポックタイムズの記者は、中国の東北三省(遼寧・吉林・黒竜江)に住む複数の市民に取材し、現地の様子を聞いた。

黒竜江省のある市民は「家族全員が感染するケースがあまりに多い。持病のない健康な人の突然死が続出している。突然死する事例には(若い人も多いため)もはや年齢は関係ない」と話している。

遼寧省大連市の李さん(女性)は、病院では高額の費用がかかる検査ばかりするが、治療のために有効な「打つ手」がない状況を、次のように語る。

「感染した人は非常に多い。家族全員が感染している。病院には長蛇の列ができていた。みな採血して血液検査やレントゲン検査を受けるが、結局、診断結果は誰もが同じ肺炎だ。治療方法といえば、点滴と薬を飲むことしかない」

李さんによると「このウイルスに感染すると、激しい咳と発熱がある。私の外孫(娘の子供)は発症して1週間になるが、咳や喉の痛みがひどく、泣き続けている。その孫を連れて小児科へ行ったが、病院は長蛇の列だった」という。

日本のような健康保険制度が整備されていない中国では、医療費は原則すべて実費である。しかも手術や入院の費用は「前払い」を求められる。

大連市の李さんも「病院で1回診てもらうだけでも数百元(約1~2万円)かかる。それでも親は、子供をなんとか早く治療したいと思うものだ。この3年の疫病期間に、どの家の高齢者も、親戚も、友人も、多くの人が死亡した。特に老人が亡くなるケースは非常に多い」と語る。

「免疫力を低下させる」中国製ワクチン

「ウイルスに対する免疫力が低下したのは、ワクチン接種のせいだ」と信じる市民も少なくない。

黒竜江省ハルビン在住の楊さんは「市内の病院は大混雑している。私の親戚は国産コロナワクチンを接種した後、体調を崩して入院した。(病院では)心臓の神経が損傷していると言われた。医師から、あなたは何回ワクチン接種したかと聞かれた。それでもワクチンの副反応であることの証明は出してもらえない」という。

吉林省長春市に住む王さんは、2歳になる外孫(娘の子供)が発症したので、市内の病院へネットで診療の申し込みをした。すると、病院からの返信は「20日待ち」であったという。

黒竜江省ハルビン市に住む張さんは「私は感染して2か月以上経つが、まだ回復していない」という。張さんも同様に「私が感染したのは、おそらく新型コロナだ」と信じている。張さんは、以下のように話す。

「私の親も、孫も、みな肺炎になった。しかし特効薬も良い治療法もない。とりあえず、そこにある薬を飲んで点滴するだけだ。医者も、この薬を飲めば良くなるとは保証してくれない。すべては自身の免疫力だけが頼りだ」

「突然死する人が、あまりにも多い。もはや物珍しい感じはなくなった。持病があるわけでもない元気だった人が突然倒れて、死んでしまう。そういうケースに出会うことに、みんな慣れてしまい、そのまま受け入れている。突然死するケースには(若い人もいるので)もはや年齢は関係ない」

「今、誰でもこの疫病の波から逃れたいと願っている。しかし、逃れられるかどうかは、自身の免疫力と、運の良し悪しにかかっている」と張さんは述べた。

画像は2024年1月23日午前、混雑する武漢協和医院の様子。(SNSより)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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