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財務省 少額輸入品の免税見直しへ 越境EC急増で消費税課税へ転換か

2025/05/15
更新: 2025/05/16

財務省は、少額輸入品への関税や消費税を免除する「デ・ミニミス・ルール(de minimis rule)」を見直し、消費税の課税を検討中だ。読売新聞が5月15日、報じた。中国発の越境ECプラットフォーム「SHEIN」や「Temu」の低価格商品の急増が背景にある。

日本では、課税価格1万円以下の輸入品は、税関と納税者の事務負担軽減のため、関税と消費税が免除される。これにより、海外のECサイトを通じて購入される小口の個人輸入品には、課税がかからないケースが大半である。

近年、「SHEIN(シーイン)」や「Temu(ティームー)」といった中国系の越境ECプラットフォームが、世界市場で急速に存在感を高めた。海外通販を通じた中国製の小口輸入が急増しており、国内事業者からは競争条件の不公平さを指摘する声も強い。

日本貿易振興機構(JETRO)によると、中国からの小口貨物輸入は、2023年に15億2500万ドル(約2287億円)前年比86.1%の増加を記録。2024年1~6月は9億4500万ドル(約1417億円)前年同期比27.2%増と急成長だ。

同様の問題は、国際的にも顕在化しており、各国が制度の見直しに動いていた。

アメリカは5月2日、中国と香港からの800ドル以下の輸入品の免税を廃止し、これまで無税だった商品に対し、最大120%または1個あたり100ドルの関税を課す措置を導入した(5月14日から54%に引き下げ)

イギリスも4月23日、135ポンド以下の低価格輸入品に適用されていた免税制度の見直しを発表。中国系EC企業からの大量流入が、国内小売業に与える影響に対応するため、不公正な貿易慣行への対策を強化する方針を示した。

すでに2021年に、EUでは、22ユーロ以下の輸入品に対する付加価値税(VAT)の免除を廃止した。150ユーロ(約2万5千円)以下の関税免除が現行だが、改正が議論中だ。

こうした国際的な動向を背景に、日本でも制度見直しの必要性が高まり、制度が現状のままでは、海外の越境EC企業が価格競争で有利になり、国内の小売業者が不利な立場に置かれるとの懸念が強まった。財務省は今後、関係省庁や事業者団体との調整を進めつつ、令和7年度の税制改正に向けて、検討を本格化させる見通しだ。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。