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高市総理 自衛官確保「至上命題」に 創設以来初の俸給表改定と過去最高の給与水準へ

2025/12/22
更新: 2025/12/22

12月22日、高市総理は首相官邸において、「第6回自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」を開催した。本会議では、自衛官の処遇改善や人材確保に向けたこれまでの進捗状況が報告されるとともに、今後の抜本的な改革案が示された。

会議のまとめを行う高市総理(出典:首相官邸ウェブサイト)

人材確保を「至上命題」とする危機感

我が国の安全保障環境が厳しさを増す中、防衛力の中核を担う自衛官の確保は、政府にとって「至上命題」となっている。少子化や労働人口の減少により、民間企業との人材獲得競争が激化していることが大きな課題である。

この状況を打破するため、政府は昨年10月に関係閣僚会議を設置し、同年12月には「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針」を策定した。これに基づき、令和7年度予算や法改正を通じて、手当の新設・引き上げや再就職支援の強化が段階的に進められてきた経緯がある。

志願者増と中途退職者の減少

会議では、「基本方針」策定以降の取り組みが着実な効果を上げていることが報告された。

  • 人材確保の改善: 令和7年度の志願者数は、前年度と比較して全種目で約6.0%増加した。また、入隊率も向上しており、前年度以上の採用数を目指している。
  • 離職の抑制: 中途退職者数は、幹部、准・曹、士の全ての階層で減少傾向にあり、特に「士」の階層で大幅な減少が見られる。
  • 再就職支援の拡充: 鉄道業界や日本郵政グループなど、多方面との協力体制を構築した結果、退職自衛官向けの求人数は前年比で1.14倍に拡大した。

今後の方向性と予測

高市総理は、自衛隊員が高い士気と誇りを持って任務に当たれるよう、さらなる施策の加速を指示した。今後の具体的な予測・予定は以下の通りである。

① 自衛官俸給表の歴史的改定

来年末の「国家安全保障戦略」など三文書の改定に合わせ、自衛隊創設以来約70年間で初めてとなる「自衛官俸給表」の独自改定を令和9年度に前倒しで実施する方針が示された。これにより、自衛官の任務や勤務環境の特殊性に見合った相応しい処遇が早期に実現される見通しである。

② 処遇・勤務環境のさらなる向上(予算・法案)

  • 給与の大幅増額: 令和7年度補正予算において全自衛官の給与を増額し、年収で20万円以上の増、過去最高の給与水準を目指す。
  • 生活環境の整備: 約1,700億円を投じ、老朽化した隊舎・庁舎の整備や備品の更新を前倒しで実施する。
  • 若年定年退職者への手厚い支援: 退職後の所得水準を引き上げ、65歳までの収入を確保するため、「若年定年退職者給付金」の見直しや再就職支援の期間拡大(65歳まで)を次期通常国会に向けて検討する。

③ 社会的地位の向上と包括的な処遇改善

高市総理は、与党間の合意も踏まえ、自衛官の社会的地位の向上を含む包括的な処遇改善策を検討し、可能なものから速やかに実施することを各大臣に指示した。

今後の自衛隊は、単なる処遇改善に留まらず、組織文化の改革や公的部門(海上保安庁や総務省等)での退職自衛官の活用拡大などを通じ、「一生を通じて国に貢献できる」新たな生涯設計の確立へと向かっていくと予測される。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。