24日午前の東京外国為替市場で、円相場が大きく上昇した。正午時点の円相場は1ドル=145円49〜50銭となり、前日17時時点に比べて1円83銭の円高・ドル安となった。
背景には、アメリカのトランプ大統領が日本時間24日朝、自身のSNSで「イスラエルとイランが完全かつ全面的な停戦に合意した」と発表したことがある。この発表を受けて、中東情勢の緊張が和らぐとの期待が市場で広がり、これまで有事の際に安全資産とされてきたドルを買う動きが一転して、ドルを売って円を買い戻す動きが強まった。
23日までは中東情勢の悪化を受けてドル買い・円売りが進み、円相場は一時1ドル=148円台まで下落していた。しかし、トランプ大統領の停戦合意発表をきっかけに、リスク回避の動きが後退し、持ち高調整による円買い・ドル売りが加速した。
イスラエル側も24日朝、トランプ大統領の停戦提案に合意したと公式に発表した。ネタニヤフ首相は「イランの核とミサイルの脅威を取り除くという目標を達成した」と述べ、停戦違反には厳格に対応すると強調した。
一方で、イラン側からは停戦合意について正式な発表はなく、局地的な攻撃が続いているとの報道もある。市場では停戦の実効性や今後の中東情勢の推移を慎重に見極める必要があるとの声も出ている。
また、原油価格も停戦合意の報道を受けて急落し、1バレル64ドル台まで下落した。これは、戦闘拡大による原油供給への懸念が後退したためとみられる。
市場関係者は「中東情勢の緊張緩和と原油価格の下落、そして日本の貿易赤字が予想よりも拡大しないとの見通しが円高を促した」と分析している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。