米軍は南カリブ海でベネズエラの麻薬運搬船を攻撃し、11人が死亡。トランプ大統領は映像を公開、密輸対策を強化している。
9月2日、アメリカのトランプ大統領とルビオ国務長官は、米軍がベネズエラの麻薬運搬船に対して壊滅的な攻撃を行ったと発表した。トランプ氏はその後、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」上で、攻撃の様子を収めた動画を公開した。
大統領によれば、この運搬船はベネズエラの犯罪組織「アラグア・トレイン」(Tren de Aragua、略称TDA)に属していると確認し、攻撃により船上の11人が死亡したという。米軍側に死傷者はなかった。トランプ氏は、この作戦は「アメリカに麻薬を持ち込もうとする者への警告である」と強調した。
大統領は次のように述べた。
「今朝、私の命令により、米軍は南方軍司令部の担当区域において、テロ組織『アラグア・トレイン』に対し壊滅的な軍事攻撃を実施した。『TDA』はベネズエラのマドゥロ大統領の統制下で活動するテロ組織であり、アメリカおよび西半球において、大規模な殺人、麻薬密輸、人身売買、暴力・テロ行為に関与している。彼らはアメリカへ向かう途中、国際水域で違法薬物を積載し航行していた。米軍はそこで攻撃を行い、11人を殺害した。米軍側の被害はない。今回の攻撃は、アメリカに麻薬を持ち込もうとする全ての者への警告とするものである。心得よ」(軍事攻撃映像)
公開された映像によれば、この高速艇は海上で爆発炎上し、その後再び爆発を確認した。
トランプ大統領は午後2時過ぎ、ホワイトハウスのオーバルオフィスで記者団に対し「数分前に米軍がベネズエラの麻薬運搬船を攻撃した」と正式に発表し、米軍は今後も同様の標的に対処していく方針を示した。
その後、ルビオ国務長官も記者会見でこれを確認し、「米軍は麻薬テロ組織が運用する密輸船に壊滅的な打撃を与えた」と述べた。
アメリカは先週、南カリブ海や周辺海域に大規模な増派を行い、中南米における麻薬密輸対策を強化している。これはトランプ政権による国境管理と麻薬対策強化の重要政策の一環である。
ロイター通信によると、今回の増派は通常を大きく上回る規模で、少なくとも7隻の軍艦と1隻の原子力攻撃型潜水艦を配備した。その中には、ヘリコプター発着や上陸作戦能力を備えた揚陸艦が3隻含まれている。「サンアントニオ」(USS San Antonio)および「フォート・ローダーデール」(USS Fort Lauderdale)はサンアントニオ級ドック型揚陸輸送艦であり、「硫黄島」(USS Iwo Jima)はワスプ級強襲揚陸艦で、事実上空母並みの航空作戦能力を有している。
これら3隻の主力艦艇には約4500人の兵員が乗艦しており、そのうち約2200人は海兵隊員である。また、米軍はP-8哨戒機を投入し、国際水域で情報収集任務に就いている。
ホワイトハウスのカロライン・レヴィット報道官は先週、「トランプ大統領はアメリカの力を総動員し、麻薬の国内流入を阻止する準備ができている」と強調し、さらにカリブ海やラテンアメリカの複数の国がアメリカの取り組みに賛同を示していると述べた。
一方、ベネズエラのマドゥロ大統領は、アメリカの軍派遣について「麻薬取締りを口実とした自政権打倒の意図がある」と批判した。マドゥロ政権は長年、野党や外国勢力がCIAと連携して政権転覆を図っていると主張し、西側諸国による制裁を「経済戦争」と呼んできた。しかしアメリカおよびベネズエラ野党はこの主張を否定している。
トランプ政権は現行方針の下、麻薬組織や国際犯罪集団に対して軍事力を行使できると強調し、国防総省に複数の作戦オプションの策定を命じたことを明らかにしている。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。