10月14日、アルミ業界を代表する貿易団体が、アメリカが中国へ使用済み飲料缶を輸出することを禁止するよう求めた。これは、アメリカの自動車、戦闘機、戦車、衛星の生産を支援する目的によるものである。
ロイター通信の報道によれば、米国アルミニウム協会は、アメリカでは年間500万〜600万トンのアルミ廃材が消費されている一方で、200万トン以上を輸出していると指摘。協会は、国家安全保障上の理由から、使用済み飲料缶を北米以外の地域に輸出することを即時に禁止するよう呼びかけている。
同協会によると、アメリカの廃材の大部分は中国へ送られ、現地で加工された後、製品として再びアメリカに戻ってきているという。
また、アメリカのアルミ業界は年間およそ400万トンの原アルミの供給不足に直面しており、国内自給を達成するには「何年もの期間、数十億ドルの投資、そして大量の安価なエネルギー」が必要であると述べている。
アメリカでは、使用済みアルミのおよそ半分が輸出に回されている。
同協会は、自動車、航空機、包装といった重要産業におけるアルミの需要が増加し続けていることから、こうした状況は一層深刻であるとの懸念を示している。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は、本年6月にアメリカへ輸出されるアルミ製品に対して50%の関税を課した。また商務省は8月、400種類を超える製品(多くは自動車部品を含む)に対して、鉄鋼およびアルミの関税を引き上げると発表した。これら製品の年間輸入額は、総計で2400億ドルに達する。
これらの対象品目には、自動車の排気システム、電気自動車に必要な電磁鋼、バス部品などが含まれている。
アメリカの関税措置は、鉄鋼やアルミそのものにとどまらず、これら金属を用いた「派生製品」の広範な範囲にまで拡大している。
米国税関のデータによると、アメリカはカナダ、アラブ首長国連邦(UAE)、メキシコといった国々からのアルミ輸入に大きく依存しており、これら3か国からの2024年のアルミ製品の純輸入量は、アメリカの上位10か国からの輸入全体の約80%を占めている。
米国通商代表のジェイミソン・グリア氏は、本年2月に行われた上院での指名承認公聴会において、アメリカの鉄鋼およびアルミ産業は、世界的な過剰生産能力の影響から保護される必要があると述べた。
さらにグリア氏は、中国およびその他の地域の企業が、カナダやメキシコを経由してアメリカに製品を輸出する際に、自国製品を混入させていると指摘した。グリア氏はこのような「便乗行為」を禁止し、制限する方針を示唆した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。