中国の若年失業率17.9% 大卒1270万人 就職難深刻化

2026/08/24
更新: 2026/08/24

中国の若年失業率が上昇している。国家統計局によると、学生を除く16~24歳の7月の都市部での失業率は17.9%で、前月から3ポイント上昇した。過去最多となる1270万人の卒業生が就職市場に参入する中、低賃金の短期雇用や不安定な「柔軟な雇用」に流れる若者も増えている。

大学を卒業しても就職先が見つからず、低賃金や不安定な雇用を受け入れざるを得ない若者が増えている。保護者からは「苦労して大学まで出したのに、意味がなかった」と嘆く声も聞かれる。

短期・低賃金雇用も就業扱い 統計が映さない実態

中国当局が8月19日に公表した統計によると、7月の若年失業率は17.9%で、前月から3ポイント上昇した。昨年9月以来の高水準で、過去3年の7月として最も高かった。

コンピューター関連を専攻し、今年卒業した東東さん(仮名)は、「多くの学校では、就職率が実態より高く見えるようにされている」と話す。自身も就職先が見つからず、「小さな会社には行きたくないが、大企業には採用されない」と語った。

台湾の経済専門家、黄世聡氏は、夏は大学卒業生が一斉に就職市場に参入する時期であり、失業率が上昇しやすいと指摘した。その上で、実際の若年失業率は当局発表の数値を上回る可能性が高いとの見方を示した。

中国の失業統計は、都市部で積極的に求職活動をしている人を主な対象とする。低賃金の短期雇用や臨時雇用も就業者として数えられる一方、求職を諦めた人、親の支援で生活している人、大学院への進学などにより就職していない人は失業者に含まれない。専門家の間では、実際の若年失業率は20%を超えていても不思議ではないとの見方がある。

背景には、経済成長の鈍化、不動産不況、内需の低迷がある。企業はコスト削減を進め、実務経験の乏しい若者の新規採用を抑えているという。

大卒1270万人が就職市場へ 採用減で競争激化

今年、中国の大学や専門学校などの卒業者は1270万人に達する見込みで、前年より48万人多い。大量の卒業生が就職市場に流入する一方、企業の採用意欲は弱く、就職環境は一段と厳しさを増している。

重慶市で今年卒業した小華さん(仮名)は、「本当に仕事が見つかりにくい」と話す。保険やローンの勧誘を行う電話営業などの求人が多く、経験者を求める企業が目立つという。

在学中は月給3千元程度(約6万円)と聞いていたが、実際には2千元台(約4万円台)の求人が多かった。小華さんは現在、基本給2千元(約4万円)に歩合給を加えた営業職に就いている。「無職よりはましなので、とりあえず続ける」と話した。

「大学学位はただの紙切れ」保護者が語る就職難

広東省深圳市では、環境デザインを学んだ女子学生が卒業後も就職できずにいる。保護者は「一般的な4年制大学だが、大学から求人の紹介もない。一般家庭の子どもは大学まで出ても、自力で将来を切り開くのが難しい」と話す。

「苦労して大学まで進学させたのに、学位はただの紙切れになってしまった。正社員どころか、アルバイトすら見つからない。大学まで出した意味がなかった」と嘆いた。

広西チワン族自治区玉林市で環境デザインを学んだ卒業生も、就職先が決まっていない。都市部の基本給は2千~3千元程度(約4万~6万円)で、未経験者を採用する企業は少ないという。同級生の多くも自宅で過ごしており、働いているのはわずか1~2人だと話した。

拡大する「柔軟な雇用」 安定雇用を得られない若者

安定した仕事を得られない若者の受け皿となっているのが、フードデリバリー、配車サービス、動画配信などを含む「柔軟な雇用」である。

中国新就業形態研究センターの「2025年中国ブルーカラー層雇用研究報告」によると、2025年に柔軟な雇用に従事した人は2億8千万人に上る。2026年には3億2千万人に増える見通しで、就業者総数を7億2千5百万人とした場合、全体の44%以上に相当する。

北京大学国家発展研究院の張丹丹教授は、柔軟な雇用について「一種の福利厚生だ」と発言し、議論を呼んだ。正規雇用より自由度が高く、働く時間を自ら選べることに価値があるとの趣旨である。

しかし、投資業界の専門家である徐真氏は、こうした働き方には収入の不安定さ、社会保険や労災補償の不足、アルゴリズムによる厳格な管理、老後の保障の乏しさといった問題があると指摘する。

政府対策の限界

中国の人力資源社会保障部などは2026年8月、地方政府に対し、地域コミュニティーに設ける雇用枠を通じて大学卒業生の採用を増やすよう求める通知を出した。企業にも新卒採用の拡大を促している。

ただ、黄氏は、こうした対策の効果は短期的なものにとどまるとみる。地方政府は財政難を抱え、人件費を増やす余力が限られているためである。

徐氏も、若年失業率の高止まりは、景気悪化に伴う企業倒産の増加や、民間企業の先行き不安を背景とした採用縮小が主な要因だと指摘する。行政主導で雇用枠を増やしても、一時的に失業率を抑えることはできるものの、持続的な雇用改善につながるかどうかは不透明である。

唐兵
顧暁華
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。