中国企業 台湾の半導体技術者を高給で引き抜き 17社を捜査

2026/08/27
更新: 2026/08/27

中国企業が高額な報酬やペーパーカンパニー、名義人などを使い、台湾の半導体人材や技術を狙っているとメディアが報じた。サプライチェーンの抜け穴を利用し、先端半導体やAIの計算能力を取得する動きもあるという。報道は台湾の捜査当局や研究者の話として、中共による浸透活動は一段と巧妙化していると伝えた。台湾は2021年から調査を続けており、これまでに中国企業17社がハイテク人材を違法に引き抜いた疑いで捜査対象となっている。

フランス誌「L’Express(レクスプレス)」は24日、TSMCが世界最先端の半導体製造技術を握り、その製品は主に高性能スマートフォンやコンピューター、データセンター、軍事機器などに使われていると報じた。エヌビディアなどAI半導体メーカーにとっても重要な供給元となっている。米中の技術競争が激しくなるなか、台湾の半導体産業が持つ戦略的価値はさらに高まっている。台湾はファーウェイなど中国企業による戦略上重要な製品の取得を制限するとともに、アメリカの輸出規制にも引き続き協力している。

報道によると、中国企業が台湾の技術者を引き抜く際、市場相場の3倍に達する給与を提示するケースもある。一部では、ペーパーカンパニーや名義人を使い、中国資本との関係を隠している。

新竹地方検察署の検察官、蔡宜臻氏は、中国企業がまず台湾で人材を採用し、その後、関係者を通じて技術機密を中国へ持ち出させる手法も考えられると説明した。一部の企業は台湾に拠点を置きながら、実際には中国企業とつながっており、摘発を難しくしている。

蔡氏によると、台湾の法律は中国企業などが許可なく半導体設計など特定分野の人材を台湾で採用することを制限しているが、こうした採用活動が水面下で続く恐れがある。台湾に事務所を設け、台湾人を雇用しながら、実質的には中国企業の管理下にある会社も存在する。新竹市の台元科技園区は長年、中国企業による台湾人技術者の引き抜き拠点の一つとみなされてきた。

「L’Express」は事例として、数年前、台湾のハイテク企業2社に雇用されていた数百人の技術者が、実際には中国企業ビットメインのために働いていたことが判明したケースを挙げた。

別の技術者によると、以前勤務していた台湾の半導体設計会社は、資金調達のため杭州側から出資を受けた。その後、台湾のチームは中国の研究開発担当者の育成を支援するよう求められ、最終的には中国で雇用された従業員の数が台湾側とほぼ同規模になったという。

中国側の標的は人材だけではない。先端半導体やAIの計算能力も狙われている。

国立清華大学科技法律研究所の林勤富教授は、中国共産党が規制の抜け穴を利用して先端半導体や計算能力を取得するケースがよくあると指摘した。今年3月、アメリカでサーバー大手スーパーマイクロに関係する3人が、25億ドル相当のエヌビディア製AI半導体を搭載した機器を、台湾や東南アジアのペーパーカンパニーを経由して中国へ輸送する計画に関与したとして起訴された。

台湾のシンクタンク「科学技術、民主と社会研究センター」の海外研究員、江旻諺氏は、半導体は製品ごとに技術的特性が大きく異なるため、アメリカの規制当局が規制対象外として輸出できる製品と、最終用途が軍事目的のため厳格な管理が必要な製品を見極めるのは容易ではないと述べた。

江氏は、中国が軍事システムの性能向上やミサイル関連の計算に使うスーパーコンピューターを構築する場合、こうした専用半導体が必要になることもあると説明した。中共が進める「軍民融合」のもとでは、民間技術と国防上の需要が結びつくため、先端半導体やAIの計算能力がどこに流れるか、警戒が強まっている。

報道は、台湾の半導体技術は現在も中国より約5年先行していると分析した。一方、中国側は人材や技術、サプライチェーンを通じて追い上げている。台湾にとって、規制の抜け穴をふさぎ、重要技術を守れるかどうかが、台湾の「シリコン・シールド」を支える半導体技術の優位性を維持するうえで大きな課題となる。

方芃傑