台湾当局は2026年の実質GDP成長率見通しを前年比11.05%へ上方修正した。AI関連需要を背景とする高成長を受け、政府は2027年度の防衛予算を初めて1兆台湾ドル超へ引き上げ、GDP比3%超を目指す方針を示した。
台湾の賴清徳総統は8月17日、2027年度の中央政府総予算案について、歳入と歳出の均衡を維持し、新たな国債を実質的に発行しない前提で、2357億台湾ドル(約1兆1800億円)の追加歳出を計上すると明らかにした。
政府は2027年、全国民に1人当たり1万台湾ドル(約5万円)を一律に給付する方針である。防衛関連予算は通常予算と特別予算を合わせ、初めて1兆台湾ドルを超える1兆1225億台湾ドル(約5兆6100億円)となる見通しだ。
経済成長率見通しを上方修正 AI・半導体が追い風
賴総統は、政府が来年も「子育て・家庭支援」「防衛力の強化」「スマート国家2.0の推進」「公共インフラ整備」「地方支援の拡充」の5分野に重点的に取り組む方針を示した。経済成長の成果を国民全体に行き渡らせるとしている。
行政院主計総処によると、台湾経済は予想を上回る伸びを続けている。第1四半期の実質GDP成長率は14.55%から15.43%に上方修正された。第2四半期の速報値は12.93%で、3四半期連続の2桁成長となった。上半期の成長率は14.15%で、半世紀ぶりの高水準となった。
主計総処は、通年の経済成長率見通しを従来の9.64%から11.05%に引き上げた。実現すれば39年ぶりの高水準となる。賴総統は、AIや高性能コンピューティング、クラウドサービスへの需要の拡大が、半導体や情報通信、製造業の受注、輸出、投資を押し上げていると説明した。
一方で、経済成長の恩恵がすべての人に十分行き渡っているわけではないとも指摘した。ハイテク産業だけでなく、サービス業や伝統産業、中小・零細企業、働く人々への支援も必要だと強調した。
国民に1万台湾ドル給付 防衛予算初の1兆台湾ドル超へ
経済成長率見通しの上方修正を受け、2027年度の中央政府の歳入を3兆9266億台湾ドル(約19兆6300億円)に引き上げた。
政府は収支の均衡を維持したうえで、2357億台湾ドルの追加歳出を計上し、全国民に1人当たり1万台湾ドルを給付する。賴総統は、AIによる経済成長の恩恵を国民全体で分かち合うためだと説明した。
現金給付に加え、賃上げ、減税、福祉の充実、家計負担の軽減、公共投資も進めるとしている。
防衛関連予算は1兆1225億台湾ドル、GDP比で3%を上回る水準となる見通しである。賴総統は「防衛への投資は平和への投資だ」と述べ、自衛力を高め、台湾海峡と地域の平和と安定を守る考えを示した。
子育て支援・AI投資・公共建設にも重点配分
子育て・家庭支援には3730億台湾ドル(約1兆8700億円)を計上する。「0~18歳成長給付」を総予算案に盛り込むほか、育児休業給付を拡充する「6+3」制度、結婚休暇と産前産後休暇の延長を進める。
科学技術開発には2292億台湾ドル(約1兆1500億円)を計上し、今年度より12.7%増やす。このうち「AI新十大建設」には406億台湾ドル(約2030億円)を充て、研究開発や計算資源、人材育成などを進める。
政府は今後8年間で1千億台湾ドル(約5千億円)を追加投入し、中小・零細企業の事業転換や賃上げを支援する。投資税額控除やAIの計算資源の提供などを行う方針である。
公共建設関連予算は7288億台湾ドル(約3兆6400億円)である。「バランスの取れた台湾」計画には1472億台湾ドル(約7360億円)を配分し、鉄道・道路、下水道、治水、給水、国土強靱化を進める。6つの地域産業・生活圏構想も引き続き推進する。
地方への財源移転は、税収配分や補助金を含めて1兆3579億台湾ドル(約6兆7900億円)となる。今年度より1929億台湾ドル(約9650億円)多い。
賴総統は、中央政府の歳出規模が2016年の約1兆9千億台湾ドル(約9兆5千億円)から、2027年度には3兆9266億台湾ドル(約19兆6300億円)に拡大したことに触れ、台湾の国力向上を示すものだと述べた。行政チームに予算案の編成を予定どおり終えるよう求め、立法院には期限内の審議を期待するとした。
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